オンデマンド容量予約
みなさま、こんにちは。
AZPower 株式会社のクラウドインテグレーション部に所属しているSUGI-CHANです。
前記事に続き今回も、最近のAzureの新機能について紹介させて頂きます。
★分類:インフラ・リソース管理
★機能:オンデマンド容量予約の機能強化
★提供:GAされている(2024/09)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/virtual-machines/capacity-reservation-overview
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そもそも容量予約とは?
・Azureの「オンデマンド容量予約」は、特定のVMサイズ・リージョン・可用性ゾーンにおけるコンピューティングリソースを事前に確保する機能
・従来の「予約インスタンス(RI)」とは異なり、契約期間の縛りがなく、いつでも作成・削除可能できる
容量予約がなかった頃は、どうしていたか?
・VMを事前に構築して停止しておく(ただし起動保証はない)
・RIを使ってコスト削減を図るが、可用性保証はない
・VM起動失敗時は、サイズ変更やリージョン変更などで対応
何ができるようになったか?
これまでも、容量予約自体はできたが、特に今回の機能強化で、以下の様な新しい機能が増えた
・機能強化で対応するようになった主なVMサイズ:
Av2、Bpsv2/Bsv2、Dadsv5/Dadsv6/Ddv5/Dds/Dlsv5/Dldsv5/Dplsv5、Easv5/Eadsv5/Ebdsv5/Ebsv5 など
今回の機能強化が提供されたことによるメリットは?
・VM起動失敗リスクの回避(特に障害対応時に有効)
・柔軟な運用(必要なときに予約・削除可能)
・SLA保証による信頼性向上
・RIとの併用でコスト最適化も可能
SLA保証の明確化とは、どういうこと?
・オンデマンド容量予約に対して、明確なSLA基準が適用されるようになった
・使用できない時間(分)を定量的に計測し、SLA未達成時にはサービスクレジットが発生する仕組みが導入された
・SLA対象となるのは、予約に紐づけられたVMのみ。紐づけがない場合はSLA対象外
→障害対応やBCP設計時に、SLAベースでの信頼性確保が可能になった。
スケールセットとの連携強化とは、どういうこと?
・フレキシブル・均一スケールセットの両方で容量予約が利用可能になった
具体的には、スケールセット作成時に、容量予約グループを指定可能になった
・スケーラブルな構成でもVM起動保証が可能。
・ただし、障害ドメイン数が多すぎると予約に失敗する可能性あり
こんなユーザーに特におすすめ
・金融、医療、製造業などのミッションクリティカルなシステム
・BCP対策として緊急時のVM起動を確保したいユーザー
・VMサイズやリージョンが固定されているシステム構成
デメリットや注意点は?
容量予約は大変便利な機能だが、今回の機能強化に関係なく、従来から以下の注意点が存在する
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具体的な設定手順
①AzurePortalで「容量予約グループ」を検索する
②サブスクリプション、リソースグループ、容量予約グループ名 等を設定する
③予約するVMサイズ、必要数(インスタンス)を設定する
※VMと予約のサイズ・ゾーンが一致していないと割り当て不可
④必要に応じタグを設定し、「確認及び作成」をクリックする
⑤作成後、AzurePortal上で、割り当てたいVMを停止する
⑥該当するVMの画面で、左のメニューから「設定」→「構成」を開く
⑦容量予約の中から、
※対象VMと可用性ゾーン、サイズが一致している予約のみ選択できます
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まとめ
・オンデマンド容量予約は、VMの起動保証を目的とした可用性向上機能
・契約期間の縛りがなく、柔軟に作成・削除可能
・VMサイズ・リージョン・ゾーンが固定されるため、設計時に要注意
・AzurePortal・CLI・PowerShellで設定可能
終わりに
「オンデマンド容量予約」は、可用性と信頼性を重視するAzure運用において、非常に有効な選択肢です。
特に、障害対応や緊急時のVM起動が重要なシステムでは、一定の容量を事前に確保しておくことで、運用リスクを大幅に軽減できます。
今後も、いろいろな記事を投稿していければと思います。
簡単ではありますが、今回はここまでとさせていただきます。
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