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二項分布の期待値導出、特に総和の添え字処理を丁寧に添えて

2025/02/05に公開

示すこと

(Ω,P)上の確率変数XBin(n,p)に従う時の、期待値E[X]を求める。

式変形

q=1-pとした上で、離散型確率分布の期待値の定義に基づき計算すると、

E[X] = \sum_{k=0}^{n} k{}_{n}C_{k} p^kq^{n-k}\\ = \sum_{k=0}^{n} k \frac{n!}{k!(n-k)!} p^kq^{n-k}\\

ここで上式はk=0のときの和の項は0である。従って総和の添え字範囲の下限を0≦kから1≦kに変更することが可能である。

加えて、kの下限が1≦kであればk/k!=1/(k-1)!と式変形が可能である。

以上を合わせると、

= \sum_{k=1}^{n} \frac{n!}{(k-1)!(n-k)!} p^kq^{n-k}\\ = \sum_{k=1}^{n} \frac{n(n-1)!}{(k-1)!(n-k)!} (p \cdot p^{k-1}) q^{n-k}\\ = np\sum_{k=1}^{n} \frac{(n-1)!}{(k-1)!(n-k)!}p^{k-1}q^{n-k}\\

ここで、m = k-1とおく。

すると総和の添え字範囲は

1≦k≦n⇒0≦k-1≦n-1⇒0≦m≦n-1
となる。

また、

n-k=n-(m+1)=(n-1)-mである。

従って、

= np\sum_{m=0}^{n-1} \frac{(n-1)!}{m!((n-1)-m)!}p^{m}q^{(n-1)-m}\\ = np\sum_{m=0}^{n-1} {}_{n-1}C_{m} p^{m}q^{(n-1)-m}\\ = np(p+q)^{n-1} \\ = np\cdot 1^{n-1} \\ = np\cdot 1\\ = np

となる。

以上より、E[X]=npである。

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