Core Walletの設定手順
概要
Ava Labsが提供しているCore Walletの登録方法についての説明です。
Avalanche L1開発時に必ず必要になるプロセスなので、ローカル環境でデプロイされる方も事前にウォレット登録は済ませておきましょう。
本記事の流れとしては下記になります。
- ウォレットの簡単な説明とCore Walletについての紹介
- Core拡張機能からの登録方法
- テスト用のアカウントのインポート方法と注意点
- まとめ
ウォレットについて
まずウォレットについて簡単に説明します。
ウォレットは秘密鍵と公開鍵を扱い、送金や署名などを行うための仕組みです。秘密鍵は資産を動かすための権限そのものであり、絶対に外部に漏らしてはいけません。従来のWebサービスのように運営側がアカウントを管理しているわけではないため、秘密鍵を失うと二度と復旧できません。
公開鍵は、いわば「口座番号」にあたります。相手に公開鍵を渡すことで、そのアドレス宛にトークンなどを送金してもらうことができます。
ブロックチェーン上で送金やコントラクト操作を行う処理はトランザクションと呼ばれます。トランザクションを成立させるには、正しい権限を持ったユーザーによる操作であることを証明する必要があります。これを可能にするのが秘密鍵による署名です。銀行で例えるなら、秘密鍵は印鑑や暗証番号のような役割を果たしていると思ってください。
従来の"ログイン"との違い
では、従来のWeb2アカウントとの違いは何でしょうか?
Web2のアカウントは、サービス提供者(GoogleやAppleなど)によって管理されています。ユーザーはIDとパスワードでログインし、もし忘れてしまった場合でも運営側に問い合わせれば復旧が可能です。言い換えれば、最終的な権限はサービス提供者にあり、場合によっては規約違反などで強制的にアカウント停止といったことも伴います。
一方、Web3では秘密鍵を持つ本人が唯一の管理者です。秘密鍵による署名によって所有を証明し、その正当性はブロックチェーン全体によって検証されます。秘密鍵さえあれば複数のアプリやチェーンにアクセスできますが、紛失すれば誰も復旧できず、資産やアカウントは二度と取り戻せません。
Core Walletについて
Core WalletとはAva Labsが提供しているウォレットサービスです。
特徴:
- AvalancheのC-Chain / X-Chain / P-Chainすべてをサポート
- BitcoinやEthereumなど他のチェーンにも対応
- Seedlessアカウントに対応(Gmail / Apple IDなどのWeb2サインインで作成可能)
- 拡張機能版(Core Extension)とモバイル版がある
特にSeedlessアカウントは、従来のシードフレーズと秘密鍵の管理を不要にし、Web2 ログイン感覚で利用できる点が画期的です。
Core WalletのSeedlessを可能にするために、裏側でCubist CubeSignerという技術を採用しています。Cubist CubeSignerの仕組みに関してご興味がある方は、AWSブログの記事を参照してください。
Core拡張機能からの登録方法
Chromeブラウザからの登録方法を説明します。
スマホアプリの方はまた別途で登録が必要です。SeedlessアカウントであればGoogle/Appleサインインでログインするだけで同じアカウントをPCでもスマホアプリ側の両者から確認できます。
もちろんシードフレーズを自己管理する方法もありますが、今回の記事では割愛します。
必要なもの:
- Chromeブラウザ
- GoogleかAppleアカウント(Seedless用)
- まずはCore Walletの拡張機能をChromeブラウザにインストールしてください。下記のChromeストアのリンクからインストールできます。
- 次にCore Walletをクリックすると登録ページが表示されるので、Continue with Google / Appleのいずれかを選択してください。
手動での登録(シードフレーズの作成)は、本記事では割愛します。
- 次にMFA(多要素認証)を追加するかどうか選択できます。MFAを追加すると、他のデバイスでウォレットにアクセスする際に利用できます。(後からの追加も可能です)
- Core Analyticsへの参加について「Unlock」または「No Thanks」を選択します。
- ウォレットにアクセスするときに使用するユーザー名とパスワードを作成します。
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登録後にAirdropへの参加を確認するモーダルが表示されるので、参加するかしないかのどちらかを選んでください。
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登録完了後にモーダルが表示されます。下記がログインした状態のCore Walletの画面です。
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左端にあるハンバーガーメニューからCore Webをクリックするとブラウザ上にCore Walletを表示させることもできます。
テスト用アカウントの接続方法
次に開発用のアカウントの登録方法を説明します。
もし登録したSeedlessアカウントを開発用やローカル環境用に使用したくない場合は、EWOQアドレスを代わりに使用することができます。
EWOQアドレスとは、秘密鍵が一般公開されている開発/テスト用アドレスです。
テスト時に毎回新しい鍵を作成する必要がなく、事前にこの必要鍵を設定して使えるため、開発や検証を簡単に行うことができます。
アドレス(公開鍵)
0x8db97C7cEcE249c2b98bDC0226Cc4C2A57BF52FC
秘密鍵
56289e99c94b6912bfc12adc093c9b51124f0dc54ac7a766b2bc5ccf558d8027
Core Walletへのインポート方法
- Core拡張機能を開き、Account Managerに移動してください。
- 右側の矢印ボタンをクリックし、Import Private Keyを選択します。
- EWOQアドレスの秘密鍵を入力し、Import Private Keyをクリックしてください。
アカウント名の変更
インポート後にアカウント名を変更することも可能です。
3つのドットメニューをクリックし、View Details → Editを選択するとCore Wallet内での表示名を変更することができます。
誤ってEWOQアカウントを本番利用しないように、DO NOT USEなどわかりやすい名前に設定することをお勧めします。
まとめ
本記事では、Avalanche L1開発に必要となるCore Walletの登録方法とテスト用アカウント(EWOQ)のインポート方法について解説しました。
ポイント:
- ウォレットは秘密鍵と公開鍵を扱う仕組みで、秘密鍵は資産を動かす権限そのもの。紛失・漏洩すると復旧できません。
- Web2 のログインと違い、Web3 のアカウントは完全に自己管理。
- Core WalletはAvalanche公式のウォレットで、Seedlessアカウントに対応。Gmail/Appleログインで簡単に利用でき、Cubist CubeSignerによりセキュリティも担保されています。
- Core Walletは、Chromeストアから拡張機能をインストールし、Google/Appleアカウントで登録できます。
- EWOQアカウントは開発やテスト用に使える公開鍵付きアドレス。便利ですが、秘密鍵が公開されているため本番環境での利用は避けましょう。
👉 Core Walletチームの公式からも英語ですがFAQを出しているので、わからないことがあればこちらも参照してください。
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