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AvaCloud簡易アーキテクチャガイド

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はじめに

本記事は、AvaCloud の評価・導入を検討している方向けに、できることと提供範囲を短時間で把握できるようにまとめたガイドです。

AvaCloud とは

AvaCloud は、Avalanche の L1 ブロックチェーンを導入・運用するためのフルマネージド基盤です。ノード運用(定期アップグレード、パッチ適用)、監視、SLA 対応をサービスとして提供し、アプリケーション開発者がビジネスロジックに集中できるように支援します。PoC から本番までのライフサイクルを一貫して支え、ノード配置やセキュリティ要件にも配慮した運用設計を行っております。

https://docs.avacloud.io/getting-started/overview

AvaCloudの全体アーキテクチャ


Mainnet Starter Plan を前提にした構成図

こちらが全体像の一枚絵です。AvaCloud の提供範囲とアプリ側の領域をひと目で把握できます。

本ガイドで扱う全体像は、以下のレイヤで構成します。

  • User Layer: 利用者や運用者がクライアントやツールからアクセスします。
  • Application Layer: 事業アプリのバックエンド/フロントエンドが動作します。
  • Infrastructure Layer(提供範囲): Public/Developer RPC、Validator/Node、Indexer・Data API・DB、Explorer を含みます。
  • Blockchain Layer(提供範囲): Subnet-VM(例: Subnet-EVM)上でトランザクションが処理されます。
  • Interoperability(提供範囲): Avalanche Warp Messaging(AWM)や Teleporter による P-Chain、C-Chain、他 L1 との連携を提供します。

代表的なデータフロー

  • 読み取り: ユーザ → Public RPC / Data API → 応答(Explorerでの可視化など)
  • 書き込み: アプリ Backend → Developer RPC → Validator/Blockchain → Indexer 反映
  • クロスチェーン: L1 でのイベント → AWM Relayer → Warp/Teleporter → 連携先チェーン

アーキテクチャ詳細

上記全体アーキテクチャに登場する各コンポーネントについて簡単に紹介しておきます。

Public / Developer RPC

Public RPC は L1のエンドユーザー向けに設計されています。レート制御・監視を行います。
多数の同時接続をしてくるユーザーが低レイテンシでチェーンに同時アクセスし、一般的なエンドユーザーのワークロードをサポートしています。

これを実現するために、Public RPC は次の機能を備えています。

  • パブリックアクセス、認証なし
  • IPアドレスごとのレート制限

Developer RPC は、バックエンド サービス、開発者、およびサードパーティのサービス統合で使用するために設計されています。
Developer RPC では以下の機能を提供します

  • アクセストークンで認証されたプライベートアクセス
  • 基本的なDoS防御以外ではレート制限なし
  • Websocketエンドポイント

https://docs.avacloud.io/faq/what-is-the-difference-between-public-and-developer-rpc-services

Validator / Node(実行・コンセンサス)

Validator ノードは、ブロック提案・検証およびファイナリティを担保します。可用性要件に基づき、台数およびリージョン配置を設計します。AvaCloud は、定期アップグレード、パッチ適用、健全性監視を標準プロセスとして実施します。加えて、可用性・復旧性の観点から複数種のアーカイブノードを配備し、お客様の運用要件に応じて地域、台数、仕様を計画します。

Indexer / Data API / DB(データと検索)

チェーン上のデータを取り込み、検索・分析に適した形へData API として提供します。

Explorer(可視化)

ブロック、トランザクション、アカウント、イベントをわかりやすく可視化します。
開発・運用・サポートにおけるトラブルシューティングを支援し、状況把握と原因切り分けを迅速化します。
https://subnets.avax.network/

Interoperability(AWM Relayer / Warp / Teleporter)

AWM Relayer がメッセージの中継を担当し、P-Chain/C-Chain/他の L1 との連携を実現します。

その他

※ 全体図には載せていませんが、AvaCloud には Gas Relayer/Wallet as a Service/VRF/Gnosis Safe などの統合機能も用意しています。こちらに関しても機会がありましたら記事で紹介していこうかと思います。

料金プラン

AvaCloud Portal では、Testnet と Mainnet の双方で以下のプランが提供されています。
Testnet: Starter / Pro / Enterprise
Mainnet: Starter / Pro / Enterprise

本記事で示したアーキテクチャは、Mainnet の Starter プランを前提に説明しています。登場するコンポーネントの種類自体は共通ですが、台数などはプランや要件に応じて変わります。
また、Pro / Enterprise では、非機能面(例:オンコール体制(pager alerting)、Pro SLA など)が強化されます。個別のお見積もりや要件適合性の確認については、別途ご相談ください。

Testnet 提供プラン一覧

Mainnet 提供プラン一覧

なお、上記の提供プラン一覧は、Portal にログイン後の L1 作成フローでもご確認いただけます。
Testnet の Starter プランは、クレジットカード登録なしで 5 日間お試しいただけます。AvaCloud のアカウントを作成・ログインのうえ、テストネットで Starter プランの L1 を作成すれば、約 15 分で環境構築が完了します。
詳細手順はこちら:
https://docs.avacloud.io/portal/l-1-creation/how-to-create-an-l-1-with-the-free-trial-plan-on-testnet-with-basic-setup

まとめ

AvaCloud は、L1運用に必要なコンポーネントをマネージドに提供し、開発スピードと信頼性を両立させます。

AvaCloud は、L1 運用に必要な要素(RPC、Validator/Node、Indexer・Data API・Explorer、AWM/Teleporter 連携など)をフルマネージドで提供し、開発スピードと運用信頼性の両立を実現します。本記事は「評価・導入を検討している方向けに、できることと提供範囲を短時間で把握」できるよう、全体アーキテクチャと各レイヤの役割、責任分界、代表的なデータフローを整理しました。

AvaCloud は L1 に必要な運用コンポーネントをマネージド化し、プロダクト開発に集中できる環境を提供します。この記事で示した概要と提供範囲を手がかりに、まずは Testnet Starter で小さく試してみてはいかがでしょうか?

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