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Amazon Appstore DevTestのはじめかた

に公開

はじめに

Amazonのアプリ内課金の動作確認方法に新たに「Appstore DevTest」というものが追加されたのでその使い方などをまとめます。

Appstore DevTestとは

アプリ内課金の動作確認において Google のアプリ ライセンスを使用したアプリ内課金のテストのようにローカル環境にて Amazon と実際に通信して、動作確認ができるサービスです。

今までは Amazon と実際に通信して動作確認するには「ライブアプリテスト」と呼ばれるサービスにアプリを申請し、任意のテスターに配布しなければ確認できませんでした。

Appstore DevTest であればアプリ申請不要でローカルで本番環境に近い動作確認が可能になります。

従来のテストツール・サービスとの比較

従来のテストツール・サービスには「App Tester」と呼ばれる Amazon との通信部分をシミュレートするアプリと「ライブアプリテスト」という本番環境に近い状態で動作確認できるサービスがあります。

App Tester はローカルでの動作確認が可能ですが、Amazon との通信部分をシミュレートされているため、あくまで本番環境とは異なる環境での確認となります。

一方、ライブアプリテストは Amazon Developer Console にてアプリを申請、任意のテスターにアプリを配布することで、本番環境に近い状態で動作確認ができます。ただし、アプリ申請が必要なため、開発中に頻繁な変更や検証には不向きです。

Appstore DevTest はApp Tester とライブアプリテストのそれぞれのメリットを併せ持った仕組みのイメージです。Amazon との通信が実際に行われるため本番環境に近い状態で、かつローカル環境で手軽に動作確認がででき、忠実度と作業効率の両立が可能になっています。

参考:ライブアプリテストとの相違点

使用条件

Appstore DevTest を利用するには、Fire OS のバージョン要件があります。(2025年6月時点での対応状況は以下の通りです。)

FireOSのメジャーバージョン DevTestに必要なFire OSの最小リリース
Fire OS 6 6.7.1.1
Fire OS 7 7.6.9.7
Fire OS 8 8.1.3.7

引用元:サポートされているFire OSのバージョン

準備

1. 必要なもの

Appstore DevTest を使用するにあたり必要なものは以下です。

  • 証明書(.pemファイル)
  • アプリパッケージ名

証明書については、Androidアプリに署名済みで.keystoreファイルがある前提で進めます。 .pemファイルは、下記コマンドで. keystoreファイルから抽出します。

keytool -exportcert -alias <key alias名> -keystore <keystoreファイル名> -rfc -file <.pemとして出力したいファイル名>.pem

出力すると以下のような.pemファイルが得られます。こちらはこの後の手順で使用するので控えておいてください。

-----BEGIN CERTIFICATE-----
MIIC5DCCAcwCAQEwDQYJKoZIhvcNAQEL
(省略)
jRhMQ0YKM5kwq4PeHveoy/HJEs9YvQEd
-----END CERTIFICATE-----

2. アプリの登録

  1. Amazon Developer Consoleの [IAP用Amazon Appstore DevTest]を開きます
  2. 必須の詳細情報にある証明書欄に先ほど準備した証明書(.pemファイル)の中身を貼り付けます
  3. 同じく必須の詳細情報にあるパッケージ名欄に、アプリのパッケージ名を入力します
  4. [登録]ボタンをクリックします

正しく登録されれば、画面上に「アプリがIAP用Amazon Appstore DevTestに正常に登録されました。」と表示されるはずです。登録完了するまでは約半日ほどかかりました。なお、2025年6月時点では登録したものは変更できない仕様となっていますのでご注意ください。

3. テスター追加

Appstore DevTest を使用するテスターを追加しておきます。ここで登録したテスターが「アプリの登録」手順で登録したアプリを使用した場合は Appstore DevTest が使用可能になります。

以上が Appstore DevTest を始めるための準備になります。

使用方法

あらためて Appstore DevTest を使用するための前提条件は以下になります。

  • アプリの登録にて設定したパッケージ名のアプリを使用すること
  • アプリの登録にて設定した証明書で署名されたアプリを使用すること
    • 例:debug.keystoreから.pemを抽出した場合、debug.keystoreで署名されたアプリを使用する
  • Appstore DevTest のテスター登録されている Amazon アカウントで Amazon デバイスにログインしていること
  • Appstore DevTest が使用可能な Fire OS バージョンの Amazon デバイスを使用していること

上記の条件をすべて満たした上で、アプリ内課金の処理を実行すると 実際に Amazon との通信しての動作確認が可能となります。

以下が実際に定期購読を実行した時のスクショです。App Tester やライブアプリテストを使用せずともローカル環境で本番環境に近い状態の動作確認ができました。

状態 アプリ画面
アプリ起動時
(ユーザ情報&商品情報取得)
購入選択時
購入完了時
購入情報取得

購入時にメールが届くことも確認できました。

まとめ

Appstore DevTestを利用することで、アプリの申請をせずに本番環境に近い形でアプリ内課金の動作確認がローカルで行えるようになりました。事前に必要な証明書やテスター登録などの準備はありますが、従来より手軽に動作確認が進められると思います。

参考

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