【公式doc】【学習ログ】GA4における「ユーザー」という概念
ユーザーとは何か
GA4での「ユーザー」は、単に「アクセスしてきたブラウザ」や「1つのデバイス」を指すわけではない。
実際には、同じ人物の行動をデバイスやプラットフォームをまたいで一つの軌跡として捉えるための識別を行う。その基盤となるのがユーザー識別スペースと呼ばれる仕組みで、代表的なものがUser-ID、ユーザー提供データ、デバイスID、そしてモデリング。
User-IDの役割
User-IDは、サイトやアプリのログインユーザーに一貫したIDを割り当て、GA4に送信するための仕組み。自社で生成した一意のIDを使い、同じユーザーには常に同じIDを渡すことが重要になる。
たとえばログイン時にメールアドレスから生成したIDを使用すれば、その後の訪問でも同じ人物として認識できる。
注意点として、空白やダミーのIDを繰り返し送信するとデータが不正確になり、場合によっては分析に必要なデータを永久に失うこともある。同じIDを複数人に割り当てれば、別の人物の行動が混ざってしまい、実態を誤って解釈するリスクが高まる。
実装のポイント
GA4のgtag('config', ...)で設定するuser_idは、全ページやイベントで固定文字列をハードコードする必要はない。
通常は、ログイン中のユーザー情報をもとに動的に値を差し込む。
const userId = getLoggedInUserId(); // 自社実装で取得
gtag('config', 'G-XXXXXXXX', {
'user_id': userId
});
このように、そのときのユーザーに応じた値を送ることで、正確なユーザートラッキングが可能になる。
その他の識別スペース
- ユーザー提供データ
- ログインしていない場合でも、同意を得た個人情報(ハッシュ化済みメールアドレスなど)を送信すれば、User-IDと同様に識別に活用できる。優先順位はメールアドレス、電話番号、名前、住所の順。
- デバイスID
- ウェブではクライアントID、アプリではアプリインスタンスIDとして扱われる。
- モデリング
- Cookie同意が得られない場合、類似ユーザーのデータから行動を推定して補完する。
レポート用識別子の決まり方
GA4のレポートでは、利用可能な識別スペースを優先順位に沿って選び、一人のユーザーとしてまとめる。
混合型(User-ID→デバイスID→モデリング)、計測データ型(User-ID→デバイスID)、デバイスベース型(デバイスIDのみ)といったオプションがあり、User-IDを使える設定にするほど人物単位での追跡精度は高まる。
学びのまとめ
GA4で「ユーザー」として計測される対象は、単発のアクセスではなく、識別子を通して統合された人物単位の行動履歴。User-IDを正しく設定することで、デバイスやプラットフォームをまたいだジャーニーが一つにつながり、分析の精度も向上する。逆に、IDの重複や欠落はデータの信頼性を損ね、誤った意思決定につながりかねない。今回改めて、GA4の「ユーザー」はただの訪問者カウントではなく、設計と運用の一貫性が前提になっていることを再認識できた。
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