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カスタマイズ可能なDebian環境: WSL 2 に Debian をインストールする方法

2025/02/13に公開

tl;dr

Windows Terminalで以下のコマンドを実行すると、WSLDebianをインストールします。

  1. wsl --set-default-version 2を実行
  2. wsl --install -d Debianを実行
  3. Windows Terminalを再起動すると、新しいDebianプロファイルが自動的に追加される

以上で、Debianのセットアップが完了します。

はじめに

この記事では、WSLを使用してDebianをインストールする手順を紹介します。
WSL 2 では、実際の Linux カーネルを使用するため、ネイティブに近い動作が可能です。

この記事では、Linux ディストリビューション の 1つであるDebianをインストールします。

技術用語

  • WSL:
    Windows Subsystem for Linuxの略で、Windows上でLinux環境を動作させる機能。

  • Debian:
    安定性とセキュリティに優れたLinux ディストリビューション

  • Windows Terminal:
    Windows で利用できるモダンなターミナルアプリケーション。

  • wsl:
    WSLの設定や、Linux ディストリビューションのインストールなどの操作を行なうコマンド。

  • Virtual Machine Platform:
    Windows上で仮想化環境を提供する機能で、WSL 2の動作に必要な機能。

  • Microsoft Store:
    Windows アプリケーションのオンラインストアで、各種アプリケーションのほかにWSL用のLinux ディストリビューションも配布。

1. WSLの概要

WSLは、Linux 環境を Windows 上に構築するための機能です。
WSLを使用することで、AWSGCPなどのクラウド環境に近い開発環境を構築できます。

1.1 WSL 2 を選ぶ理由

WSL 2は Windows の仮想化技術を活用し、WSL 1よりも高いパフォーマンスと互換性を提供します。
主なメリットは次の通りです。

  • 完全なLinux カーネル:
    Linux カーネル搭載により、多数のLinuxツールが利用可能

  • コンテナ環境への対応:
    Dockerなどのコンテナ環境に対応し、開発用途に最適

1.2 WSL 2をデフォルトバージョンに設定

WSLのデフォルトバージョンをWSL 2に変更するには、次のコマンドを実行します。

  1. wsl --set-default-version 2コマンドで、WSL 2を指定する

    wsl --set-default-version 2
    

    実行すると、以下のような出力が表示されます。

    C: /wsl > wsl --set-default-version 2
    
    WSL 2 との主な違いについては、<https://aka.ms/wsl2>
    を参照してください
    この操作を正しく終了しました。
    
    C: /wsl >
    
  2. wsl --statusでデフォルトバージョンを確認する
    次のコマンドで、デフォルトバージョンを確認します。

    wsl --status
    

    実行すると、以下のような出力が表示されます。

    C: /wsl > wsl --status
    既定のディストリビューション: Debian
    既定のバージョン: 2
    
    C: /wsl >
    

既定のバージョン: 2と表示されていれば、設定は成功しています。

2. Debianのインストール

WSLの設定とDebianのインストールは、wslコマンドを使用します。

2.1 wslコマンドでDebianをインストールする

wsl --installコマンドを使用し、次の手順でDebianをインストールします。

  1. wsl --installコマンドでDebianをインストールする

    wsl --install Debian
    

    実行すると、以下のような出力が表示されます (出力内容は環境によって異なることがあります)。

    C: /wsl > wsl --install Debian
    インストール中: Debian GNU/Linux
    Debian GNU/Linux はインストールされました。
    Debian GNU/Linux を開始しています...
    
    

2.2 UNIXユーザーの作成

Debianの初回起動時に、ユーザー名とパスワードの入力を求められます。
ここで設定したUNIX ユーザーDebian 環境でのデフォルトユーザーとなります。

Debian初回起動時に表示されるプロンプトに従い、UNIXユーザーを作成します。

  1. UNIXユーザーを作成する
    ユーザー名を設定するプロンプトが表示されます。
    ユーザー名パスワードを設定して、UNIXユーザーを作成します。

    Please create a default UNIX user account. The username does not need to match your Windows username.
    For more information visit: <https://aka.ms/wslusers>
    Enter new UNIX username: poweruser
    
    New password:
    Retype new password:
    
    

以上で、UNIXユーザーの作成は終了です。

3. Windows Terminalの設定

3.1 プロファイルにDebianを追加する

通常、Windows Terminalのプロファイルには、Debianが自動で登録されます。
ただし、登録されない場合は手動でプロファイルを追加できます。
Windows Terminalの再起動後は、以下の画像のようにプロファイルにDebianが追加されています。

プロファイル
プロファイル

4. トラブルシューティング

4.1 代表的なトラブルと対処法

  • エラー: WSL 2 requires an update to its kernel component. For information please visit https://aka.ms/wsl2kernel
    • コマンド: wsl --set-default-version 2

    • 原因: WSL 2のカーネルが古い

    • 対処法: WSLを最新のバージョンに更新

      wsl --update
      

  • エラー: Please enable the Virtual Machine Platform Windows feature and ensure that virtualization is enabled in the BIOS.

    • コマンド: wsl --set-default-version 2
    • 原因:
      • Windowsの機能でVirtual Machine Platformが無効
      • BIOS/UEFIで仮想化機能 (Intel VT-x または AMD-V) が無効
      • 対処法:
        • PowerShellを管理者権限で開き、以下のコマンドを実行:

          dism.exe /online /enable-feature /featurename:VirtualMachinePlatform /all /norestart
          
        • BIOS設定で、仮想化支援機能(Intel VT-x または、AMD-V) を有効化

  • エラー: There is no distribution with the supplied name.

    • コマンド: wsl --install Debian
    • 原因: WSLにインストールされたLinuxディストリビューションがない
    • 対処法:
      • Microsoft StoreからLinux ディストリビューションをインストール
  • エラー: WSL default version remains as WSL 1

    • コマンド: wsl --status
    • 原因: wsl --set-default-version 2が正しく適用されていない
    • 対処法:
      1. PowerShellを管理者権限で開き、次のコマンドを実行:

        wsl --set-default-version 2
        
      2. Windowsを再起動

おわりに

以上で、Windows上に Debian がインストールできました。
これにより、AWS や他のクラウドサービスの Linux 環境に近い開発環境を Windows上に構築できます。
また、Linux ツールが利用できるのも大きな利点です。

次からは、インストールした Debian をカスタマイズし、開発環境を構築する手順を紹介します。
カスタマイズした Debian をコピーすることで、勉強用を含む各種開発環境が簡単に構築できます。

まずは、使いやすい Debian 環境を構築してみましょう。

それでは、Happy Hacking!

参考資料

Webサイト

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