Obsidianのすすめ(フォルダ構成と環境構築)
現代のデジタルワーク環境では、情報管理の効率化が重要な課題になっていると感じます。
多くの方が次のような悩みを抱えているのではないでしょうか:
「増え続けるメモが散在し、必要な情報にすぐアクセスできない」
「プロジェクトごとに異なるツールを使い分けることで、管理が複雑化する」
これらの課題をシンプルかつ効果的に解決するのが Obsidian と思っています。
Obsidianは従来のメモアプリの枠を超え、「知識のネットワーク」を構築するための強力なツールです。双方向リンク機能によりノート間を有機的につなげることで、個人の知識を体系化し、活用可能なデータベースとして構築できます。
使い方次第で、ビジネスドキュメントの管理から学術研究まで、様々なシーンでその真価を発揮できると思います。
今まで様々なノートアプリを利用してきましたが、このObsidianが一番しっくりきています😌
e.g. 私のObsidian環境
Obsidianの便利なところ
Obsidianの魅力は、その多機能性にあります。ここでは特に便利な3つの機能を紹介します。
- 柔軟なテンプレート機能: 議事録や読書メモなど、用途に応じたテンプレートを作成できます。これにより、定型文書の作成効率が劇的に向上します。
- 強力なリンク機能: ノート間をリンクで結びつけることで、関連情報が自然と集まります。まるで脳の神経細胞のように知識のネットワークが広がり、新たな発見を促します。
- 拡張性の高いプラグイン: 1,000を超えるプラグインから、必要な機能を追加できます。例えば、「Excalidraw」プラグインを使えば、ノート内に手書きの図やスケッチを直接埋め込めます。
Obsidianの導入方法
Obsidianを始めるのはとても簡単です。
-
公式サイトからダウンロード
- Obsidian公式サイトにアクセスし、お使いのOS(Windows, macOS, Linux)に合ったインストーラーをダウンロードします。
-
インストール
- ダウンロードしたファイルを実行し、画面の指示に従ってインストールします。
-
保管庫(Vault)の作成
- 初回起動時に「保管庫(Vault)」の設定を求められます。これは、すべてのノートを保存する専用のフォルダです。
- 「保管庫を新規作成する」を選び、好きな名前(例:
my-notes
)と場所を指定すれば、準備は完了です。
設定内容の紹介
Obsidianを最大限に活用するためには、初期設定が重要です。ここでは、私が実践している「Zettelkasten(ツェッテルカステン)」という知識管理術を参考にした設定を紹介します。これはあくまで一例ですので、ヒントになれば幸いです。
フォルダ構成
Zettelkastenは、情報を小さなカード(ノート)に分割し、それらをリンクで繋いでいく手法です。この考え方に基づき、情報の性質ごとにフォルダを分けることで、思考が整理されやすくなります。
この構成で、「情報収集 → アイデア創出 → 知識の体系化(情報整理)」という知的生産のフローをスムーズにしていきます。
上記フォルダ構成は、以下の記事を参考にさせて頂きました。
index(索引ノート)とstructure(構造ノート)の違い
index-note(参照ノート)
- 目的: 「入り口」や「目次」として機能するノート。
- イメージ: 図書館の「索引カード」や「本の目次」。
-
特徴:
- 単純にリンクを並べて、探したいノートにすぐアクセスできるようにする。
- 主に「タグやテーマごとの一覧」を作る。
- 内容の関係性まではあまり記述せず、ナビゲーション重視。
e.g.
# Index: 学習法
- [[Zettelkastenとは]]
- [[アクティブリコールのメリット]]
- [[分散学習(Spaced Repetition)]]
- [[メタ認知と学習効率]]
👉 このノート自体は「リンクのリスト」。読むというより「どこに何があるか探す」ため。
structure-note(構造化ノート)
- 目的: あるテーマについて、ノート同士の関係性を整理し、ストーリーや構造を組み立てる。
- イメージ: 本の「章構成」や「論文のアウトライン」。
-
特徴:
- 単なるリンク集ではなく、リンクに説明や文脈を付ける。
- ノートを並べる順番や階層を工夫して、理解を深めるための「知識の地図」にする。
- 後に記事や本を書くときの「骨組み」になる。
e.g.
# Structure: 学習理論
学習効率を高めるための重要な理論をまとめる。
1. 学習の基本原則
- [[Zettelkastenとは]] … 情報を小さく分割し、リンクでつなぐ思考法
- [[アクティブリコールのメリット]] … 思い出すこと自体が学習を強化する
2. 学習を支える心理学的要素
- [[分散学習(Spaced Repetition)]] … 記憶の定着には間隔をあけることが有効
- [[メタ認知と学習効率]] … 自分の理解度を客観的に把握する力
👉 ただのリストではなく、「どう繋がるか」「どんな順番で理解すると良いか」が書かれている。
Option設定とショートカット
基本設定
今回のフォルダ構成に合わせて、Optionsに以下を設定しておきます。
- Files and links
- Folder to create new notes in:
fleeting-note
... 新規ノートを作成するフォルダ - Attachment folder path:
_config/extra
... 添付ファイルフォルダのパス
- Folder to create new notes in:
- Core Plugins
- Daily notes: ON
- Templates: ON
テンプレート設定
毎回同じ情報を手入力するのは非効率です。Templater
プラグインを使って、ノート作成を自動化します。
1. Frontmatterテンプレートの作成
Frontmatter
とは、ノートの作成日やタグなどのメタデータを記述する部分です。これを共通化します。
まずは、以下のFrontmatterテンプレートファイルを作成します。
_config/templates/_frontmatter.md
---
id: {{date:YYYYMMDDTHHmmssSS}}
aliases: []
tags: []
created: {{date:YYYY-MM-DDTHH:mm:ss}}
updated: {{date:YYYY-MM-DDTHH:mm:ss}}
---
#
次に、プラグインTemplaterをインストールします。
Core Plugins > Templaterの設定は下記を参考にしてください。
- Template folder location:
_config/templates
- Folder templates:
2. デイリーノート用テンプレートの作成
日々の記録を効率化するためのテンプレートです。
まずは、以下のデイリー用テンプレートファイルを作成します。
_config/templates/daily.md
---
id: {{date:YYYYMMDDTHHmmssSS}}
aliases: [{{date:YYYY/MM/DD}}, {{date:YYYY年M月D日}}]
tags: [daily/{{date:YYYY/MM/DD}}]
created: {{date:YYYY-MM-DDTHH:mm:ss}}
updated: {{date:YYYY-MM-DDTHH:mm:ss}}
---
# Memo
## 今日やること
## 気になること
## 一時的なメモ
次に、Core Plugins > Daily notes の設定を行います。
- New file location:
daily
- Template file location:
_config/templates/daily
これらのテンプレートを設定することで、ワンクリックで整形されたノートを作成できます。
ショートカットキーのカスタマイズ
VSCodeなどのエディタに慣れている方は、キーボードショートカットを統一すると作業効率が上がります。
- Move line down:
Alt + ↓
- Move line up:
Alt + ↑
- Navigate back:
Alt + ←
- Navigate forward:
Alt + →
外観のカスタマイズ
長時間を共にするツールだからこそ、見た目は重要です。
テーマの変更
設定画面の 外観 > テーマ
から、コミュニティが作成した多くのテーマを試せます。
-
設定のAppearence > Themes の「Manage」ボタンをクリックし、適用したいテーマを取得する
-
取得したテーマは、Themesで設定すると反映される
フォントの変更
私は、温かみのある手書き風フォント「ふい字P」を愛用しています。Custom Font Loader
プラグインを使えば、好きなフォントを簡単に導入できます。
- 利用したいフォントをダウンロードする
e.g. ふい字P ... ふい字Pの詳細情報 : Vector ソフトを探す! - Obsidianに、Custom Font Loaderプラグインをインストールする
-
.obsidian/fonts/
フォルダに、ダウンロードしたフォントのファイル(.tts
)を保存する
おすすめプラグイン
Obsidianの真価はプラグインによる拡張性にあります。ここでは、おすすめの5つのプラグインを紹介します。
-
Update time on edit
ノートを編集した際に、更新日時を自動で記録してくれます。情報の鮮度を保つために重要なプラグインです。- プラグイン:beaussan/update-time-on-edit-obsidian
- 私が利用している設定例:
- Folder to exclude of all update:
_config
... コンフィグのファイルは更新不要なため除外 - Minimum number of minutes between update: 5 ... 5分間隔で更新
- Folder(s) to exclude for updating the created property:
_config
... コンフィグのファイルは更新不要なため除外
- Folder to exclude of all update:
-
Excalidraw
Obsidian内で、高機能なホワイトボードアプリのように手書きの図やスケッチが描けます。複雑なアイデアを視覚的に整理するのに最適です。
- プラグイン:Excalidraw
- 私が利用している設定例:
- Zoom and Pan > Right-click drag to pan: ON ... 右クリックでドラッグ移動
- Zoom and Pan > Mouse wheel to zoom by default : ON
-
Iconize
ファイルやフォルダにアイコンを設定できます。視覚的に区別しやすくなるため、ノートが増えてきても直感的に目的のファイルを見つけられます。 -
Remotely Save
ノートデータをOneDriveなどのクラウドストレージに自動で同期します。これにより、スマートフォンや他のPCからも同じ環境にアクセスできます。 -
Git
GitHubと連携し、ノートの変更履歴を自動で保存します。誤ってデータを消してしまっても、いつでも過去の状態に復元できるため安心です。
まとめ
Obsidianを導入することで、以下のメリットを得られると思います。
- 知識の体系化: 点在していた情報が有機的につながり、新たな洞察やアイデアが生まれる。
- 業務効率の向上: 必要な情報に瞬時にアクセスでき、意思決定やアウトプットの質とスピードが向上する。
- データの永続性: オープンなMarkdown形式なので、特定のサービスに縛られることなく、長期的に安心して知識を蓄積できる。
- 無限の拡張性: 豊富なプラグインにより、あなたの成長に合わせてツールも進化し続ける。
まずは、日々のメモを取ることから始めてみませんか?
その小さな一歩が、あなたの知的生産性を劇的に変える、大きな飛躍へと繋がるはずです。たぶん...
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