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レッドオーシャンに一石を投じるつもりで変なSNSを8ヶ月以上運営してかなり病んだ話

に公開

序文

ご存知ないかと思いますが、私はKeik(NonFict.me)というSNSを8ヶ月以上前に開発し、以後運営し続けています。

http://keik.org

  • 入力に45秒の制限時間を設け、タイピング中の内容をリアルタイムで共有、リプレイ可能な形で記録する。これにより、投稿を待たずともリアルタイムでの会話が可能になる
  • 閲覧者の画面をリアルタイムでそのユーザーのプロフィール画面に中継する
  • ActivityPubではなく、Bluesky社のAT Protocolに連携(現在3番目に大きいPDSを擁する)
  • 疑似通貨"High-Potion"、物理演算の適応されるリアクション機能、その他

など非常に尖ったSNSとなっています。
これはこのサービスの理念が「嘘をつこうとした瞬間、本音が露呈する(それはそれとして隠し事はできる)空間を構築し、社会実験を行う」であるためです。
牧歌的で平凡なインターネットに飽き飽きした皆様、エメラルドの都できらびやかなディストピアライフを送ってみませんか?
皆様の参加をお待ちしております。

宣伝完了。

以後サービスの運営者としてあるまじき、かなりネガティブな愚痴怪文書を書くので読みたくなければ帰ってください。

年表

-2ヶ月目〜0ヶ月目: JKに買収される

NonFictはリリース(つまり2024年12月)から2ヶ月以上前の2024年10月から開発開始していました。

根底のアイデア、「タイピング中の内容の共有」はそこからさらに4ヶ月前に思いついたものです。
それをnoplaceというSNSが数億ドルの出資を得たことを知り、このレッドオーシャンにもまだやりがいがあると気づきクラスメイト全員に「これは金になる!!」とプレゼンしたところ、当時まともに知り合ってもいなかった女子に食いつかれました。
当時の私には「このアイデアは絶対上手く行く」という確証があったのです。

彼女はフライドチキンの皮の部分が大好きで、メイク道具を集めるのが趣味な陰陽中道のギャル腐女子で本気でお金が欲しかったらしく、"60万円の黒字"という明確な目標を掲げプロジェクトを進めていきます。
しかしながらそれは見かけ上のみで、要は外側で彼女が営業ごっこをする横で、私が引くほど徹夜を繰り返しシステムを構築することになります。レッドブルやドクペを何十本も飲みました。

彼女はそれを見て心配こそしましたがゲラゲラ笑っていました。
正直私以上に将来が心配になる方です。

1ヶ月目: (NonFictとしての)リリース直後

苦労は報われ、リアルタイムでのカオスな会話が行われることでユーザーの皆も驚き、楽しんでもらうことができます。



アクティブユーザーはたった1日で3桁に達し、ピーク時には数分間で100件の投稿がなされたときもありました。また、複数の絵師さんが"祝杯アート"として私のファンアートを描いてくれました。(諸事情あってNonFict時代の画像データは吹き飛んでしまい、一部見られなくなりましたが今も画像フォルダに大切に保存してあります…)

しかし直後(直後ですよ)投稿数もアクティブユーザー数も下落し、まともに利用がなされなくなります。
単に飽きられてしまったのでしょうか。

なぜ投稿数を対数スケールのグラフにしたのか……

しかし私は当時自分のサービスがまがりなりにも一度うまく行った事実で承認欲求を満たして全能感を取り戻し調子に乗っており、危機感を一切持たず、最初にこのサービスをクラックしてきた人間と文系の東大生2人を迎え入れ団体を結成してしまいました。
寿司屋でオフ会をして豪遊したり、調子に乗ってふざけたことを色々とやっているうちに旧NonFictの投稿数は砂漠地帯に入ってしまいます。

この期間に広告でも打てば少しはアクティブユーザーも回復したのでしょうか?今となってはわかりません。

2ヶ月目〜5ヶ月目: 再リリースまでの空白期間

全能感の魔法も解け危機感を感じ始めた私は、まだかろうじてアクティブユーザーのいたNonFictを自分で使うわけでもなく、受験勉強も学校も休んでリニューアル版を構築することになります。
当時の私はこのアイデアは軌道に乗りさえすれば役に立つことは事実として確定しているので、努力は報われると本気で信じていたのです。

その後Hyperloglogというアルゴリズムの存在を知り、これを既読機能として使うことで疑似通貨を構築する、"High-Potion"という機能を思いつき実装しました。

この期間、私はフリーランスとして仕事を受けることを1度か2度経験してお金の大切さを学びます。
しかしその金はすぐにエナドリ代に消えていきました。

その後、チキンJKには寿司屋でのプレゼン料としてなかなかの大金をせびられた挙句決裂します。
当然ながらCFOとして使う予定だった文系東大生も決裂し、開発は個人に近い形態に戻りました。

そして、そうこうしているうちにJiffcyというほとんど同じ機能を有し特許まで取っている(幸いにも微妙に被らなかった)SNSが黒字化を達成します。
もう本当に焦っていた私は、βテストさえ碌にせず突飛工事でKeikをリリースしてしまいます。
これが運の尽きでした。

6ヶ月目: Keikリリース直後 理事、発狂

リリース直後Xで宣伝しようとした私はアカウント(@r_4981)のパスワードを忘れ、パスワード復元のためのメアドも忘れたことに気づきます。
まがりなりにもITに携わるものとは思えない失態です。
これでは宣伝が行えないと思った矢先、Misskey.ioに昔作るだけ作ったアカウントの存在を思い出し、使うことにします。

宣伝投稿をした後、私はnoplaceやBlueskyなど有名なSNSの名前で片っ端からMisskeyを検索し、出てきたユーザーをフォローすることをします。
今思えば本当にマナーに反する行為です。
ですが問題なのはここからです。

Misskey.ioの有名人の方がKeikについての投稿をリポストし、いかにも画期的なSNS!という風で宣伝をしてくれました。
最大の投機だったはずですが、NonFictからKeikにリニューアルする過程で追加した機能や良かれと思ってWebSocketに導入していたzstd圧縮・msgpack(本当に何故)が仇となり、恐ろしくサーバーに負荷がかかります。

そして、私は焦燥感や自己嫌悪も相まってでしょうか。サービス運営者としてあってはならないことをしてしまいます。
ユーザーに暴言を吐いたのです。

システムに負荷がかかっていることへの当然の指摘に対して「言いがかりだ、ネガキャンだ」、好意を持って使ってくれている方に「去れよ」などと吐いた私の姿はMisskeyで晒しあげられ、かなりのバッシングを喰らいます。
そして脆弱性を探そうとするエンジニアなども現れ、(流石に大きなものは存在しなかったため大事にはなりませんでしたが)かなり玩具として弄ばれました。

そして尚、大量のユーザーをフォローしては解除を繰り返した、スパムも真っ青の行為が運営に勘付かれ、仇となり、私はMisskey.ioからBANされてしまったのです。

本当に自業自得です。深く反省しています。
Misskey関係者の方々、当時の利用者の方々、もしこれを見ていましたら改めて謝罪を申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。

7ヶ月目〜: Blueskyの偉い人に見つかる

毎日10時間以上コードを書き、必死で脆弱性やUXの問題点を探しては修正し。なんとか使えるものにはなったと思った時には、すでにアクティブユーザーは完全に元の木阿弥になっていました。

私は今まで以上の自己嫌悪に陥り、この程度のサービスは8ヶ月もかければどんな新卒エンジニアでも小学生や中学生でも軌道に乗せ黒字化できる、この歳にもなってそれができない自分は世界一無能であるという真理に辿り着きます!!!
いや〜ここまで長かった。
どさくさに紛れてXアカウントは復元でき、なんとか宣伝を行うためにまた依頼を受けたりもしますが、身銭をはたいて売ったLINE広告は鳴かず飛ばず。
X広告はかなり効果があり、ごく一時的にMisskeyで宣伝された時以上の効果が出ますが、1週間と経たないうちに集客したアクティブユーザー全員が飽きてしまいます。

その後サーバーが1度落ち、データが消失しかけ、すぐに復旧できましたがMisskey.ioでまた批判された挙句、
本当に鬱気味になって死を選ぶことも検討し始めたその時、Bluesky社の幹部社員や創設関係者、さらにはATProto関係の有名人がBluesky上でKeikのことを結構ネタにしていることを知り、かなり喜ばしく思うことで自死は免れました。



そして学校に再び通い出し、世界一無能なエンジニアは私ではなくマーク・ザッカーバーグであるというさらなる真理に辿り着きます。
19歳にもなって振られた女の腹いせにFaceMashのような犯罪まがいの行為で注目を集め、ウィンクルボス兄弟という他人のアイデアで脆弱性まみれのサービスを作りレッドオーシャンを荒らしまわって全能感に浸った挙句、親友も出資者も裏切るような、責任感も責任能力もない人間は私以上に無能でしょう。
19歳は若くありませんし、責任能力を問われる立派な大人です。
また、そもそも承認欲求を満たしたいからとユーザーのいるサービスを作ってレッドオーシャンに飛び込むような行為は極めてコスパが悪いです。そのような行為をする奴は承認欲求以前に問題があります。
しかしそんな彼が成功できた以上、私が成功できないことはないはずです。彼のおかげで結構勇気づけられました。感謝

ご存知の通り私は世界で5本の指には入る無能なエンジニアですが、だからと言って悲観する必要はありません。
無能だからこそ、本来天才しか飯を食えない世界でも生き抜き、天才さえ利用する側に立てるのです。

さておき、これからNimとRust、C++でシステムを構築し直し、改めて自腹でインスタ広告を打つことでひとまずアクティブユーザーを立て直すつもりです。
正直本当にこれだけの時間をかけて日間アクティブユーザー4桁にすら達せていないのは当初の予定としてあまりに想定外でしたが、某Misskeyとは180°違う身銭の叩き方で必ず彼らより早くアクティブユーザー7桁に達してみせます。
嘘のないインターネットのために今後も進み続けます。黒字化できたらまた改めてポエムを書きます。

以上
ご清覧いただきありがとうございました。

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