【図解あり】nmcliとnmtuiで固定IPアドレスを設定する方法(AlmaLinux OS 9)
IPアドレスを固定する2つの方法
デフォルトではDHCPでIPアドレスが割り振られますが、サーバーとして使用する場合は常に同じIPアドレスを使いたいシチュエーションがあります。
この記事では、コマンドを使う「nmcli」と、画面操作で設定できる「nmtui」という2つの方法を、図を交えながら解説していきます。
動作確認済み環境:AlmaLinux OS 9、コマンドの実行はrootユーザーで検証
方法1:コマンドで設定する(nmcli)
コマンド操作に慣れている方や、複数の設定をまとめて行いたい場合に便利です。
ちょっと長く見えるかもしれませんが、1行で設定できるのがポイント!
1. IPアドレスとゲートウェイを設定
以下のコマンドをターミナルに入力して実行します。
nmcli con modify "インターフェース名" ipv4.method manual ipv4.addresses "IPアドレス/プレフィックス" ipv4.gateway "ゲートウェイアドレス" connection.autoconnect yes
ちょっと難しく見えますかね?一つずつ見ていきましょう。
nmcli con modify
: ネットワーク接続の設定を変更するためのコマンドです。
"インターフェース名"
: 設定したいネットワークインターフェースの名前です。例えば ens3 などが入ります。
ipv4.method manual
: IPv4の設定を手動で行うことを指定します。
ipv4.addresses "IPアドレス/プレフィックス"
: 設定したいIPアドレスと、ネットワークの範囲を示すプレフィックス(/24 など)を記述します。
ipv4.gateway "ゲートウェイアドレス"
: ネットワークに出るための出入り口となるサーバーのIPアドレス(ゲートウェイアドレス)を指定します。
connection.autoconnect yes
: OS起動時にこのネットワーク設定を自動的に有効にする設定です。
設定例1
ネットワークインターフェース名が enp0s3
設定したいIPアドレスが 192.168.11.100/24
ゲートウェイアドレスが 192.168.11.254
DNSサーバーが 1.1.1.1
OS起動時にこの設定を自動的に有効にしたい
場合は、以下のコマンドを実行します。
nmcli con modify enp0s3 ipv4.method manual ipv4.addresses 192.168.11.100/24 ipv4.gateway 192.168.11.254 ipv4.dns 1.1.1.1 connection.autoconnect yes
設定例2
上記設定後、IPアドレスをDHCPに戻す場合
nmcli con modify enp0s3 ipv4.method auto -ipv4.addresses 192.168.11.100/24 -ipv4.gateway "" -ipv4.dns 1.1.1.1
2. 設定を反映させる
設定を変更したら、以下のコマンドを実行してネットワークインターフェースのコネクションを一度切断し、再接続をすることで設定が反映されます。
nmcli con down "インターフェース名"
nmcli con up "インターフェース名"
"インターフェース名"
: 設定したいネットワークインターフェースの名前です。例えば enp0s3 などが入ります。
これで、設定は完了です!
方法2:画面操作で設定する(nmtui)
コマンド操作が苦手な方でも、メニュー画面を見ながら簡単に設定できます。
1. NetworkManager(TUI)を起動
nmtui
すると、以下のような画面が表示されます。
2. オプションの選択
NetworkManager(TUI)の画面では、カーソルキー(↑↓) や Tabキー を使ってメニューを選択します。
チェックボックスのオン/オフは、Spaceキー で切り替えます。
まずは、「設定の編集(Edit a connection)」 を選択して、Enterキー を押します。
3. インターフェースの選択
設定したいネットワークインターフェースの名前(例えば ens3)を選択して、Enterキー を押します。
4. IPv4設定を「Autonatic」から「Manual」に変更
選択したインターフェースの設定画面が表示されます。「IPv4設定」の項目が 「Automatic(自動)」 になっていると思いますので、カーソルキーで選択し、Enterキー を押して 「Manual(手作業)」 に変更します。
5. IPv4設定の表示
「IPv4設定」が「Manual」に変わったら、今度はその横の 「Show(表示する)」 を選択して、Enterキー を押します。
6. IPアドレスなどの情報を入力
「Addresses(IPアドレス)」、「Gateway(デフォルトゲートウェイ)」、「DNS servers(DNSサーバーのIPアドレス)」など、設定したい項目を選択して値を入力します。
- アドレス: 設定したいIPアドレスを入力します。(例:192.168.30.134/23)
- ゲートウェイ: ネットワークに出るための出入り口となるサーバーのIPアドレスを入力します。(例:192.168.31.254)
- DNSサーバー: ドメイン名からIPアドレスを調べるためのサーバーのIPアドレスを入力します。(例:1.1.1.1)
画面下にある 「Automatically connect(自動的に接続する)」 にチェック(Spaceキーでオン/オフ)を入れておくと、OS起動時にこのネットワーク設定が自動的に有効になります。
入力が終わったら、画面下の < OK > を選択して、Enterキー を押します。
7. nmtuiの終了
インターフェースの選択画面に戻ったら、 < 戻る(Back) > を選択して、Enterキー を押します。
NetworkManager(TUI)の最初の画面に戻るので、 < 終了(Quit) > を選択して、Enterキー を押します。
8. 設定を反映させる
設定を変更したら、以下のコマンドを実行してネットワークインターフェースのコネクションを一度切断し、再接続をすることで設定が反映されます。
nmcli con down "インターフェース名"
nmcli con up "インターフェース名"
"インターフェース名"
: 設定したいネットワークインターフェースの名前です。例えば ens3 などが入ります。
これで、nmtuiを使った固定IPアドレスの設定は完了です!
補足:設定ファイルの確認
nmcli や nmtui で行った設定は、通常 /etc/NetworkManager/system-connections/ ディレクトリ内の設定ファイル("インターフェース名".nmconnection)に保存されます。
もし上記の方法で設定が反映されない場合は、この設定ファイルの内容を確認し、誤りがないかなどをチェックしてみるのも有効な手段です。
今回の記事では、固定IPアドレスを設定する2つの方法をご紹介しました。コマンド操作の「nmcli」と、画面操作の「nmtui」、どちらも覚えておくと、状況に応じて使い分けることができ便利かと思います。
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