情シスという言葉を知らなかった私がやってきた二、三のこと
こんにちはこんにちは。
(あけましておめでとうございます)
2023年春から情シス的なものに異動した者です。Zennのアカウントを作るにあたり、プロフに「LocalTalkを家中に走らせるのが夢だった」と書けるくらいの年齢だと思ってください。
自己紹介
好きなものなど
- おでんの具:大根、ちくわぶ、じゃがいも、卵、はんぺん、いいだこ
- 言語:HyperTalk
- 筐体:Apple ][ GS、X68000z
- 苦手:Windows
BeOSに夢見たどこにでもいるおっさんです。
担当業務
- 設備保守管理
- SaaS運用
- サポートデスク
- セキュリティ全般
- 社内教育
- 各部門資料作成
- 電子書籍営業サポート・教育
- WEB・SNS管理
- 社内広報
- 社外セミナ対応
- DX
- その他ITと名の付く業務すべて
*コーヒーサーバとウォーターサーバは社内になく対象外
*電話は「アナログですよね?」といって逃げました
本稿で記したかったこと
本稿には、営業から突然情シス部署に異動になったおじさんが、1年半強の間に何をしてきたかを簡単にまとめ、その反省とお勧めしたいことを書いています。
*当初はもう少し具体的なことをつらつら書くつもりでしたが、アウトラインを書いた時点でサーガ化していて諦めました。もったいないのでアウトラインだけ以下に折りたたんでおきます。
*これだけ書いてみてもどうもまだエイムが定まっていないというか、私の中で明確化していないようです。後半ごちゃごちゃしていますが、いつアップできるともしれず、今回はこのまま公開します。
初期アウトライン
- はじめに
- ラーメンだと思ったら二郎だった
- 情シス的なもの一年目
- チャレンジ
- この仕事の名前を僕はまだ知らない
- 引き継ぎだけならとうに済んだ
- 今週もサービスサービス
- DXにこだわり過ぎた僕が悪いわけがない
- Slack Overflow
- 紙への信仰
- Port not opening
- 覚醒
- 腐ってやがる、早過ぎたんだ
- 提案するなら、実装してからにしなさい
- 饒舌だけど、さっぱり分からない
- チャレンジ
- 情シスを知る二年目
- 抽象は具体が押し潰す
- 設備からワークフローへ
- Don’t feel, THINK
- チャレンジ
- ネットワークダンジョン
- リスクの発見
- 今、そこにある機器。鯖へ
- 安定の挫折
- トップ、ダウン再び
- 405 Method Not Allowed
- それでも人は変わらない
- 時にミミック、稀にお宝
- 構造の発見
- ポンチ
軒絵最強伝説 - 旅の仲間
- 抽象は具体が押し潰す
異動発生
2023年3月、営業職から突然の新設システム部門への異動辞令が発生しました。
予告から10日くらいで正式に異動、管理部門内の新設部署へ管理職として赴任しました。
当時の部署
- 私(51歳もと営業管理職)
- 前システム担当者(2023年末定年退職予定)
- 前々システム担当者(70を前に退職していたが5年ぶりに呼び戻された)
四半世紀書籍系印刷営業として努めてきたおっさんと、業務定義なく必要なサービスが増えるたび取り組んできたおっさんの集団でした。
当時の私の経験・スキル
- PC関係
- 1990年代からのマカー、自宅LocalTalk(3台程度)を組んだ経験あり
- 2000年頃Linux祭りに乗ってローカルのHTMLサーバを立てた経験あり
- DOS/V祭りの頃、自作PCを数台組み立てた経験あり
- SDDとHDDの違いが分かる・RAID構築に失敗したことがある
- CUI?オタクしか分からんでしょ(Terminalはたまに使ってた)
- ネットワーク関係
- バカHUBとマネージドHUBの違い、ループくらいは分かる
- 自宅の回線についてきたルータをブリッジモードにして別にルータを立てた経験あり
- セグメントという概念は知っている
- Proxyサーバ、イマイチ分からない
- スクリプト関係
- Pythonちょっと読める(書けない)
- Google Spreadsheetで業務用の汎用シートを作ったりはしていた。GAS面白いじゃん
- セキュリティ関係
- macOSわざわざ狙う奴なんて実質いない
- Windowsのウイルス対策は純正Defenderで十分でしょ
1年目に取り組んだこと
知識・スキルがないことから、1年目の課題は業務全体の把握と前担当者の引き継ぎ、知識・技術習得と自動的に定まりました。
また異動の際、IT全部ってことはDXも担当するのかと尋ねてみましたが、「当然だ」と応えられたのでこちらについても勉強することになりました。
なお、この頃はまだ、情シスという言葉と私が結びついておらず、自分の仕事をシステムなんちゃら職、のように言っていました。
なお本稿での「ドキュメント」は、システム系でいうテクニカルなドキュメント=仕様書よりも一般的な「文書」に寄せた使い方をしています。ご留意ください。
一年目に取り組んだこと
- 営業職引き継ぎ
- 既存業務引き継ぎ(OJT)
- 職務定義についての基礎知識習得・把握
- (特に)ネットワークについての学習
- 既存システムの把握・整理・統合検討
- 工場のネットワーク老朽化の発見・改修計画スタート
- DX学習と提案(と挫折)
- デジタイゼーションへの取り組み方針
- 帳票デジタライゼーションの検討・着手
- 各部門管理になっていたシステム・サービス引取り
- 不明サービス・シャドーITの発見
- WEBサイト全面改修計画着手・提案・政治的敗北
- 以上についてのドキュメンテーション
- Wiki導入
2年目に取り組んだ(取り組んでいる)こと
前職場への引き継ぎが完了して、自部署の業務把握も出来、いよいよ正面から職務に向き合う体制が出来ました。学習が追いつかず、就業の前後合わせて3時間程度は喫茶店にこもるようになります。
また部下2名が退職、春に一名追加採用するも本人の体調が崩壊し夏に退職、一人部署になります。
前半は前年度から計画を立てた工場のネットワーク改修が大きな仕事となり、途中不明なネットワークが発見されて追加…している間にもう一つ小ネットワークを作る必要ができるなど、拠点間を行ったり来たりしていました。
そして7月、KADOKAWA・イセトーと、へーしゃ業種に隣接した2社が大インシデントを発生させたことからついにセキュリティに目を向けざるを得なくなり、爆速学習を始め頭を抱えることになります。
- 情シスという言葉と自分の職がようやく合致した
- 工場①の全ネットワーク改修
- 既存物理回線調査(業者が入り乱れていて情報が失われていた)
- 未知のネットワークの発見・追加改修
- 同工場内新ネットワーク敷設・セグメント追加
- 工場②の一部ネットワーク設計
- 全拠点の保守切れ設備停止計画策定
- NAS構築・データ移行
- PCキッティング多数
- 不要・機能不全設備の統廃合(iFilter、SS1、他部門ファイルサーバ)
- Slackの社内布教、導入拡大
- Airtableを利用した社内設備・ID・サービス管理用DB設計
- PCリプレース計画進捗(Windows 10サポートエンドに向けたもの)
- 調査・計画・業者選定・見積もり・計画の改修・再見積もり等
- DAM/ファイルサーバリプレース計画進捗
- GWSによるシステム統合提案
- 部署のローカルサーバ移行準備
- シャドーGWSの発見、管理権の奪取、リセラー導入
- MS OfficeのMS 365移行推進
- 社内帳票の電子化推進
- セキュリティに向き合う
- 学習
- 改修計画への取り組み開始
取り組んでみて反省したこと
初年度〜今年度にわたり、手を動かして何かを学ぶようになるまでは、机上の学習が先行して頭でっかちになりました。DXにしろ、世間とのギャップの大きさにも焦り、なんとかしなくてはと意識だけが走って大上段の提案や働きかけを上位部門・取締役会へ行いました。結果としてほぼまともに取り上げられず、手法を見直すことになります。
正しいと信じることをしても、その根拠を相手の立場から見て理解できるように落とし込まない限り、理解を得られないことを学びました。では、どうしたらば理解して検討の俎上に乗せてもらえるようになるかは未だあがきながら取り組んでいます。
取り組んでみてお勧めしたいこと
ドキュメンテーションはすべての基本と考えており、ますますその考えは強固になっています。仕事は会社のものであって私物ではありません。常に(会社に対して)オープンであり、属人化させないためにも、目的・仕様・履歴・マニュアルを整備して分かりやすく一元化することを(もしまだ出来ていなければ)お勧めします。
一人情シス、しかもシステム系の業務は未経験でしたので、学習のスタイルも自分で作るしかありませんでした。私は業務のジャンル別の全体像を掴むためには書籍を中心に類書にあたります。特に丸善など書籍の在庫が揃っている書店でひたすら棚を見て周り、気になった本を開いてみることも有効です。
WEBはピンポイントな課題やトラブル、学習の手段を見つけるための入口のためによく使います。検索を行う際に、ZENN、QIITA、NOTEなどをキーワードとして追加しておくと、検索結果がかなりこちらよりに絞られるので良いです。また検索された記事を経由することで、次に検索すべきことがより明確にもなります。最近はまずLLMにカジュアルな質問をして、課題を絞り込んでからGoogle検索などを使うようにもなりました。キーワード系の検索エンジンではヒットさせづらいような内容の場合、とても役に立ちます。
2024年に入ってからcorp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)に出会い、大いに助けられました。ひたすらROMしているだけでも相当な知見を得ることができますし、相談があればかなり丁寧にコミュニティからアドバイスを得ることが出来ます。これがなければ学習の進捗が相当遅れたと思います。精神の安全性・安定性を保つためにもいい助けになりました。ぜひ参加しましょう。
他、次のようなことをお勧めします。
- 手を動かしてみること
- ネットワーク図を改めて起こしてみるなど、既知の情報を「写経」すること
- 既知の情報、分かったつもりのことを一般社員に分かるよう書いてみること
- とにかく記録し、誤っていたり使いづらければ修正を続けること
書き出し始めると無限に個別の話にブレていき長くなるのでこの辺で止めますが、この仕事自体はとにかく面白くて好きです。
おそらく職業的な共通課題は、システムそれ自体でなく人との関係ではないかなと思います。そんなときは相手を恨みたくなるものですが、まず自分で自分をハックして、何がほんとうの問題なのか、自分がどうそれを乗りこなせるか・いなせるかを考えてみると少し楽になるような気がします。
偉い人にも普通の人にも分からないことが私たちの仕事なので、日頃からたくさんアウトプットを重ね、良い記事をたくさん読んだり誰かから話を聞いたりしてインプットにも励み、非システム部門の人たちに理解されるような言語を駆使できるようになりたいものです。
次はもう少し具体的なことを、端的に書いてみたいです。
ではでは。
Discussion