[基礎編]: Webサーバーの役割とHTTP通信について
はじめに
本記事ではWebサーバーの役割とHTTP通信について解説します。
Webサーバーはインターネット上でWebコンテンツをクライアントに提供する重要な役割を果たしています。また、Webアプリケーション開発やAPI設計にも欠かせない知識です。
本記事の目的はWebサーバーの基本的な仕組みを理解し、HTTP通信の流れや主要なメソッドを理解することです。この記事を通じてWebサーバーの仕組みとHTTP通信の理解を深め、次のステップとしてWebサーバーの構築を行います。
なお、Webサーバーの具体的な構築手順については「[構築編]:VirtualBoxでApache/Nginxを使ったWebサーバーの構築方法」にて解説を行う予定です。
目次
- Webサーバーの基礎概念
- HTTP通信とHTTPメソッド
- Webサーバーとアプリケーションサーバーの違い
- まとめ
1. Webサーバーの基礎概念
1.1 Webサーバーとは？
Webサーバーとは、クライアント（Webブラウザやアプリケーション）からリクエストを受け取り、HTMLページや画像、動画、データ等を返すソフトウェアを指します。
Webサーバーの役割
- クライアントからのHTTPリクエストを受け取る。
- リクエストに応じたコンテンツ（HTMLページや画像等）を返す。
- サーバー側で動的な処理を行う場合、アプリケーションサーバーと連携する。
1.2 Webサーバーの動作の流れ
Webサーバーは主にクライアントとサーバーの間で通信を行います。
この通信の仕組みを 「クライアントサーバーモデル」 と呼びます。このモデルにより、クライアントとサーバーが明確に役割を分担し、効率的なデータ提供やシステム管理が可能になります。
HTTP通信の基本的な流れ
- クライアント → Webサーバー
- クライアントはリクエストを送り、サーバーはレスポンスを返します。
- Webサーバー → データベースサーバー
- 動的なページの場合、Webサーバーがデータベースサーバーに問い合わせ、データを取得します。
- Webサーバー → クライアント
- WebサーバーがHTMLや画像データを返し、ブラウザが画面をレンダリングします。
[ クライアント ] → リクエスト → [ Webサーバー ] → データ要求 → [ データベース ]
↑ ↓
レスポンス ← HTML/CSS/画像 ← データ取得結果
2. HTTP通信とHTTPメソッド
2.1 HTTP通信の仕組み
Webサーバーとクライアントは「HTTP（HyperText Transfer Protocol）」というプロトコルを使用して通信を行います。
HTTP通信の特徴
- リクエスト/レスポンスモデル：
クライアントがリクエストし、サーバーがレスポンスを返すシンプルな仕組みです。 - ステートレス：
1回のリクエスト/レスポンスごとに独立して処理されるため、サーバー側で状態を保持しません。
2.2 HTTPメソッドとCRUD操作
HTTPメソッドは、Webアプリケーションがデータをやり取りする際の指示を表す手段です。
FastAPIやDjangoなどのWebフレームワークでAPIを設計する際に、HTTPメソッドを正しく使うことでシステム全体の設計が分かりやすくなり、メンテナンス性や拡張性が向上します。
HTTPメソッド一覧
| メソッド | 冪等性 | 説明 |
|---|---|---|
| GET | 冪等 | 同じリクエストを何回送っても結果は同じ。 |
| PUT | 冪等 | 既存リソースを置換するので、結果は同じ。 |
| DELETE | 冪等 | リソースが既に削除されていても結果は同じ。 |
| POST | 非冪等 | 新しいデータを作成するため、結果は異なる。 |
[補足1]:CRUD操作
データベース管理システム（DBMS）で一般的に使用される4つの基本操作を指します。
CRUDとHTTPメソッドの対応関係
・ Create（作成）：新しいデータやリソースを作成 → POST
・ Read（読み取り）：データやリソースを取得 → GET
・ Update（更新）：リソース置換・更新 → PUT
部分的な更新 → PATCH
・ Delete（削除）：データやリソースを削除 → DELETE
[補足2]:冪等性（べきとうせい）の概念
HTTPメソッドには、冪等性の概念があります。
適切に設計されたAPIでは、同じリクエストを何度送っても結果が変わらない（冪等）こと
が保証され、意図しない動作を防ぐことができます。HTTPメソッドごとの特性を理解し、
使い分けることが重要です。
参考：
3. Webサーバーとアプリケーションサーバーの連携
Webアプリケーションを構成するシステムには、「Webサーバー」と「アプリケーションサーバー」という2つの役割があります。それぞれのサーバーは異なる役割を担い、WebサービスやAPIの提供を実現しています。
Webサーバーの役割
- クライアントからのリクエストを受け取り、静的コンテンツ（HTML、CSS、JavaScript、画像など）を返します。
- 必要に応じて、アプリケーションサーバーにリクエストを転送し、動的なコンテンツを生成する役割も担います。
アプリケーションサーバーの役割
- Webサーバーから転送されたリクエストを処理し、動的なコンテンツ（データベースとの連携やビジネスロジックの実行）を生成します。
- Webサーバーに対して結果を返し、最終的にクライアントへレスポンスを送ります。
[ クライアント ] → リクエスト → [ Webサーバー ] → [ アプリケーションサーバー ] → データベース
↑ ↓
レスポンス ← 動的コンテンツ生成 ← データ取得結果
4. まとめ
Webサーバーはクライアントとサーバー間の橋渡し役として、静的コンテンツの配信やアプリケーションサーバーとの連携による動的コンテンツの生成など、Webサービスの基盤を支える重要な役割を果たしています。
また、HTTP通信の仕組みや各メソッドの特性を理解することで、APIの設計やWebアプリケーションの開発に必要な基本的な知識を身につけることができます。特に、HTTPメソッドの特性や冪等性を理解することは、APIの正しい設計や運用に不可欠です。
次回の記事では、この記事で学んだ知識を活かし、実際にWebサーバー（Apache/Nginx）を構築する手順を解説します。手を動かしながらWebサーバーの仕組みを体験することで、より理解が深まると考えます。
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