VirtualBoxで仮想マシンを作成し、NAT接続とブリッジ接続を学ぶ - AlmaLinux編
はじめに
VirtualBoxは仮想化環境を構築するための便利なツールであり、学習用途から開発環境まで幅広く利用されています。本記事では、AlmaLinuxを使用して仮想マシンを作成し、VirtualBoxを使用してNAT接続とブリッジ接続を切り替えながら動作を確認する方法を解説します。こちらの記事は『仮想技術とネットワーク接続の基礎解説』の続きとなっています。もしよろしければ順番に見ていただけますと幸いです。
目次
- VirtualBoxの概要
- 仮想マシンの作成とAlmaLinuxのインストール
- NAT接続の設定と動作確認
- ブリッジ接続の設定と動作確認
- まとめ
1. VirtualBoxの概要
VirtualBoxは、Oracleが提供するオープンソースの仮想化ソフトウェアで、既存のOS上で別のOSを実行する仮想環境を構築できます。以下のような特徴と用途があります。
主な特徴
-
クロスプラットフォーム対応:
- Windows、macOS、Linuxで動作します。
-
無料で利用可能:
- オープンソースとして配布されており、個人利用や学習用途に最適。
-
柔軟な構成:
- 仮想マシンごとにCPU、メモリ、ストレージなどのリソースを自由に設定可能。
-
スナップショット機能:
- 仮想マシンの状態を保存して、必要に応じてその時点に復元可能。
-
拡張パック:
- USBデバイスのサポートやリモートデスクトップ接続機能を追加可能。
使用用途
-
開発環境の構築:
- 異なるOSでのソフトウェアテストや開発に最適。
-
サーバー環境のシミュレーション:
- 学習目的や小規模プロジェクトのためのサーバー構築。
-
学習目的:
- 仮想化技術やネットワーク設定を学ぶための実験環境。
2. 仮想マシンの作成とAlmaLinuxのインストール
必要な準備
- VirtualBoxがインストールされていること。
- AlmaLinuxのISOイメージをダウンロードしておく。
- AlmaLinux公式サイトから最新のISOファイルを入手。
ISOファイルとは
AlmaLinuxやUbuntuなどのOSのインストールイメージとして提供されるファイル形式です。
これをVirtualBoxにマウントすることで、仮想マシンにOSをインストールできます。
ISOファイルを仮想ディスクにマウントすると、外付けのディスクリーダーを使わずにディスクが挿入された状態と同じように動作します。これにより、コンピュータはマウントされたISOファイルを物理ディスクとして扱います。
仮想マシンの作成
- VirtualBoxを起動し、「新規」ボタンをクリックします。
-
設定:
- 名前:
AlmaLinux
(任意) - タイプ:
Linux
- バージョン:
Red Hat (64-bit)
- 名前:
-
メモリ:
- 2048MB以上(推奨: 4096MB)。
-
仮想ハードディスク:
- 「仮想ハードディスクを作成する」を選択。
- 動的割り当てを選択し、最低20GB以上を指定します。
AlmaLinuxのインストール
- 作成した仮想マシンを選択し、「設定」→「ストレージ」をクリックします。
- コントローラーにISOイメージを追加します。
- 仮想マシンを起動し、AlmaLinuxのインストールを開始します。
- 最小インストール(Minimal Install)を選択。
- ルートユーザーのパスワードと必要に応じた新規ユーザーを作成します。
- インストールが完了したら、ISOイメージを取り外して仮想マシンを再起動します。
3. NAT接続の設定と動作確認
NAT接続の概要
NAT(Network Address Translation)は、仮想マシンがホストマシンのネットワーク接続を共有する仕組みです。これにより外部ネットワークに接続が可能になりますが、外部から直接アクセスするにはポートフォワーディングの設定が必要です。
NAT接続の設定手順
- 仮想マシンの「設定」→「ネットワーク」を開きます。
-
アダプター 1:
- 「有効」にチェックを入れ、「NAT」を選択します。
SSHサーバーのインストールと確認
- 仮想マシンで以下のコマンドを実行してSSHサーバーをインストールします。
sudo dnf install -y openssh-server
sudo systemctl start sshd
sudo systemctl enable sshd
- ファイアウォールでSSHポートを許可します。
sudo firewall-cmd --add-service=ssh --permanent
sudo firewall-cmd --reload
ポートフォワーディングの設定
- VirtualBoxの「設定」→「ネットワーク」→「詳細」→「ポートフォワーディング」を開きます。
- 以下の設定を追加します:
- ホストポート:
2222
(ホストマシンのポート番号) - ゲストIP: 空欄(または仮想マシンのIPアドレス)
- ゲストポート:
22
(仮想マシンでSSHが使用するポート)
ssh ユーザー名@127.0.0.1 -p 2222
- 接続に成功すれば、NAT接続が正常に動作しています。
4. ブリッジ接続の設定と動作確認
ブリッジ接続とは
ブリッジ接続は、仮想マシンがホストと同じネットワークに接続され、独自のIPアドレスを持つ仕組みです。
ブリッジ接続の設定
- 仮想マシンの「設定」→「ネットワーク」を開きます。
-
アダプター 1:
- 「有効」にチェックを入れ、「ブリッジアダプター」を選択します。
- ホストのネットワークインターフェース(Wi-Fiやイーサネット)を選択します。
IPアドレスの確認
仮想マシン内で以下を実行します:
ip addr または ip a
- 仮想マシンに割り当てられたローカルネットワーク上のIPアドレスを確認します。
接続確認
ホストマシンから以下のコマンドで接続します:
ssh ユーザー名@仮想マシンのIPアドレス
- 接続に成功すれば、ブリッジ接続が正しく動作しています。
5. まとめ
本記事では、VirtualBoxを使用して仮想マシンを作成し、AlmaLinuxでの動作確認を行いました。それぞれの接続方法についての特徴と用途を理解することで、仮想マシンを使用した開発や学習環境を柔軟に構築できるようになります。
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