AI(Gemini)を使って利用中Windowsソフトウェアのアップデート情報を収集する
きっかけ
ある日、会社でGemini Pro使えるようにしたからこっちつかってやー、との連絡。
正直AIについてはChatGPTをおっかなびっくり触って日常の業務で文章校正にたまーに使っていたくらいだった程度で、これだという使いどころも見いだせていませんでした。
ただ、色々問題はあれど世間的にはAIの利活用を進められており、個人的にも何かの役に立たせることはできないかと思い掲題の処理を実行してみようと考えました。
目的
現在はクライアントPCの管理者としてMicrosoft Intuneを日々触る業務に携わっています。
業務の一部として、お客様社内で必須のソフトウェアを各PCに配信していますが、それらの更新状況を適宜チェックし必要に応じて新バージョンに更新してユーザーのPCへアプリを提供しています。
やっていること自体は単純で各アプリの公式サイトをめぐり更新情報を見てその結果を手動でまとめるというもの。
数自体は多くはなく、そこまで手間がかかるものではありませんが、全部手動というのもいけてないと思っていました。
そこで、アップデート情報の収集から表まとめ諸々を全部AIにお願いしてみようというのが今回の目的になります。
個人PCであればwingetなりで一括更新できますが、今回の対象は社内で配るべきソフトウェア。いきなり新バージョンを流し込むわけにはいかず、更新内容を精査しお客様に承認をいただく必要があります。その相談のタネとなる情報を集めます。
※IntuneからのWin32App配信設定自体はまた別途実施していますが今回の作業から外しています
(MSのスペシャリストの方が作成されている記事などありますので)
やったこと
主に実施したことを羅列します。
とはいっても結局のところ以下の2つです。
- Geminiにアプリのバージョン情報収集依頼を出す。
- 出してきた結果に対して修正依頼をかける。
一発目でも概ね希望に沿った内容で出してくれます。ただ、バージョン情報の書きっぷりがソース元のサイト固有の書き方だったり、集めてきたバージョンが古く情報ソースがあやしかったり、不要な文字列が混じっていたりと内容が荒いのでそこを詰めていきました。
ある程度整形指示をしたところ以下のようなまとめを出力してくれました。
具体的な指示
結局どういう指示を出して、このような結果を出したのか。
しかしここで問題が。
「指示内容抽出するの面倒」
すみません、それくらいやれよいわれるかもしれませんが、伝説のコピペマンには戻りたくないのです。
そこで楽できる方法が無いかと考えました。
「だったらAIにまとめさせればいいじゃないか」
手元にあるその画面は何のためにあるんだと。ということで試しにGeminiへ今まで指示した変更内容を表に書きだしてと言ったら、履歴をまとめて出してきました。
No. | ご依頼内容の概要 | 適用内容・変更点 |
---|---|---|
1 | 表形式での表示 | バージョン情報をMarkdownの表形式で表示するように変更。 |
2 | 参考ソースの列追加 | 各アプリのバージョン情報源を示す「参考ソース」列を追加。 |
3 | 「最新バージョン」と「確認方法」の列分割 | 当初一つの「最新バージョン(または確認方法)」列を、「最新バージョン」列と「確認方法」列の二つに分割。 |
4 | 列の順序変更 | 列の並び順を「アプリ名|最新バージョン|リリース日(または確認日)|確認方法|参考ソース」に変更。 |
5 | 「最新バージョン」列の記述整理 | BoxToolsおよびMattermost デスクトップクライアントの「最新バージョン」列から、 タグ以降に記載されていた旧バージョン情報や詳細なプラットフォーム情報を削除し、主要な最新バージョン情報のみに整理。 |
6 | セル内改行の対応 | 「確認方法」列や「参考ソース」列などで、複数行にわたる情報を分かりやすく表示するために タグを使用(Markdown表示環境での改行を意図しています)。 |
7 | 7-Zipの「参考ソース」から注釈削除 | 7-Zipの「参考ソース」列に記載していた history.txt に関する補足説明を削除。 |
8 | Mattermostの「参考ソース」をGitHubリンクのみに | Mattermost デスクトップクライアントの「参考ソース」列にあったMac App Storeのリンクを削除し、GitHubのリリース情報へのリンクのみとした。 |
9 | 「最新バージョン」列を数値のみにし、「補足」列を新設 | 「最新バージョン」列にはバージョン番号のみを記載。バージョンに関するその他の記述(「Ver.」やプラットフォーム情報など)は、新しく設けた「補足」列に移動。この結果、列の順序は「アプリ名|最新バージョン|補足|リリース日(または確認日)|確認方法|参考ソース」となりました。 |
10 | 「リリース日(または確認日)」の書式変更 | 「リリース日(または確認日)」列に記載する日付の形式を YYYY/MM/DD 形式に統一しました。 |
11 | Google Chromeのバージョン取得元を指定 | Google Chromeのバージョン情報を、公式ブログの「Stable Channel Update for Desktop」最新記事から取得・更新するようにしました。これに伴い、「最新バージョン」「補足」「リリース日」「参考ソース」のデータが更新されました。 |
自分がコピペでまとめるものよりよっぽどいいもの出してきてくれました。
しかも適用内容・変更点もしっかり書いてある。助かる。
ということで、一部うまく実行されなかった指示もありましたが、間違いなくこの内容の指示を出しました。
これらの調整を行うことで、表記ゆれなども補正され各列にほしい情報が収まっています。バージョン情報のまとめとしてはそこそこ使える状態にはなりました。
正直、こういった泥臭い作業を日々業務で行っている方もそこそこいらっしゃるのではと思います。できる人はWEBをクロールするツールなどを開発されている方もいるのではないでしょうか。
ただ今回のやってみたように、AIにテキストで指示出すだけでここまでのことをやってくれてしまうのはなかなか感動的です。
特にソース元はURLを指定したのみで、具体的なHTML解析云々は全く指示してないのでそのあたりをよしなにやってくれてしまうのは流石と感心しました。
今後
今回はGemini内ですべて完結していますが、ここから毎月定期実行させたり、結果をメールやSlackなどに連携できたらというのが今後の目標です。
ただし今回の環境は会社から提供してもらった都合上、API連携するところについては権限上解放されておらず、AI単体でできることして一旦完成としました。
可能であればそういった連携についても模索していきたいので、進捗があればまた本記事の「その2」を書くかもしれません。
Discussion