🚀 npmはもう古い？pnpmが開発体験を爆速にする理由

はじめに

npm install を実行して、コーヒーを淹れにいく...。そんな経験はありませんか？ プロジェクトが大きくなるにつれて肥大化する node_modules フォルダや、いつ終わるか分からないパッケージのインストール時間に、多くの開発者が悩まされています。

この記事では、そんな悩みを解決するかもしれない次世代のパッケージマネージャー pnpm について、npm との違いを比較しながら、その核心的な仕組みと具体的なメリットを徹底的に解説します。

この記事を読み終える頃には、きっとあなたのプロジェクトにも pnpm を導入したくなるはずです！

そもそもパッケージマネージャーとは？

本題に入る前に、npm や pnpm が属する「パッケージマネージャー」の役割を簡単におさらいしましょう。

Node.js環境におけるパッケージマネージャーは、主に以下のような役割を担っています。

• 依存関係の管理: プロジェクトが必要とするライブラリ（パッケージ）を package.json ファイルに基づき、自動でインストール・更新・削除します。
• パッケージのインストール: 世界中の開発者が公開している便利なパッケージを、簡単なコマンドで自分のプロジェクトに導入できます。
• スクリプトの実行: npm run dev のように、package.json に定義したコマンドを実行できます。

npm (Node Package Manager) は、Node.jsをインストールするとデフォルトで付属してくる、最もスタンダードで広く使われているパッケージマネージャーです。

なぜ npm は遅くて重いのか？ 🤔 node_modules の課題

npm は非常に便利ですが、特に大規模なプロジェクトにおいて、パフォーマンスやディスク容量の面でいくつかの課題を抱えています。その原因は、node_modules フォルダの管理方法にあります。

npm v3以降は、依存関係を「フラットな構造」で管理するようになりました。これは、依存パッケージがさらに依存しているパッケージ（孫依存）も、可能な限り node_modules のトップレベルに配置する仕組みです。

my-project/
└── node_modules/
    ├── express  (プロジェクトの直接の依存)
    ├── chalk    (expressが依存している)
    └── ...      (他の多くの依存パッケージがここに並ぶ)

このフラット構造にはメリットもありますが、主に3つの課題を生んでいます。

課題1: ディスク容量の圧迫 💾

最大の課題は、ディスクスペースの非効率性です。

例えば、あなたのPCにプロジェクトAとプロジェクトBがあり、両方が react@18.0.0 を使っているとします。npm は、それぞれのプロジェクトの node_modules フォルダに、全く同じ react@18.0.0 のファイルを丸ごとコピーします。

PC上に同じバージョンのパッケージがいくつも重複して存在することになり、プロジェクトが増えるほどディスク容量を大きく圧迫してしまいます。

課題2: インストール速度の遅さ 🐢

パッケージのインストール時には、大量のファイルをディスクに書き込む必要があります。依存関係が複雑なモダンなフロントエンドプロジェクトでは、そのファイル数は数万〜数十万にものぼります。

キャッシュ機能はあるものの、依存関係の解決やファイルのコピーに時間がかかり、特に2回目以降のインストールでも待たされることが多いです。

課題3: 幽霊依存（ファントム依存）のリスク 👻

これは、npm のフラット構造が生み出す潜在的に危険な問題です。

例えば、あなたのプロジェクトが A というパッケージにのみ依存しているとします。そのパッケージ A が、内部で B というパッケージに依存している場合、npm は B も node_modules のトップレベルに配置します。

その結果、あなたは package.json に B を追加していないにもかかわらず、コード内で import B from 'B' のように B を直接呼び出せてしまいます。これが**幽霊依存（Phantom Dependency）**です。

一見便利に思えるかもしれませんが、もし将来 A がアップデートして B を使わなくなった場合、あなたのコードは突然動かなくなります。意図せず依存してしまうことで、プロジェクトの信頼性や保守性が損なわれるリスクがあるのです。

救世主 pnpm 登場！✨ その高速化と効率化の秘密

そこで登場するのが pnpm (performant npm) です。pnpm は、npm との互換性を保ちながら、前述した課題を根本から解決するために設計されました。

その秘密は、**「コンテンツアドレス可能なストア」と「シンボリックリンク」**という2つの核心的な技術にあります。

秘密1: コンテンツアドレス可能なグローバルストア

pnpm は、ダウンロードしたパッケージをプロジェクトの node_modules に直接コピーしません。代わりに、PC上の単一の場所（通常は ~/.pnpm-store）に、すべてのパッケージを集中管理します。これをグローバルストアと呼びます。

このストアは「コンテンツアドレス可能」であり、パッケージのバージョンだけでなく、そのファイル内容（コンテンツ）に基づいて一意に識別・保存されます。

これにより、どのプロジェクトで使われていようと、同じバージョンのパッケージはPC上にただ1つしか存在しない状態が実現します。ディスク容量の無駄が一気に解消されるのです。

秘密2: シンボリックリンクによる魔法

では、プロジェクトはどうやってパッケージを利用するのでしょうか？ここでシンボリックリンクが登場します。シンボリックリンクとは、ファイルやフォルダへの「ショートカット」のようなものです。

pnpm は、プロジェクトの node_modules に、パッケージの実体ではなく、グローバルストアにある実体へのシンボリックリンクを作成します。

my-project/
└── node_modules/
    ├── .pnpm/  <-- 依存関係の実体へのリンクがここに集約される
    │   ├── express@4.17.1/
    │   │   └── node_modules/
    │   │       ├── express -> (ストアへのリンク)
    │   │       └── chalk -> (ストア内のchalkへのリンク)
    │   └── chalk@5.0.0/
    │       └── node_modules/
    │           └── chalk -> (ストアへのリンク)
    └── express -> ./.pnpm/express@4.17.1/node_modules/express (プロジェクトから見えるリンク)

※上記は構造を簡略化したイメージです。

リンクを作成するだけなので、ファイルのコピーに比べて処理が圧倒的に高速です。既にストアに必要なパッケージがあれば、ダウンロードさえ不要になります。これが pnpm のインストールが爆速である理由です。

ファントム依存からの解放

pnpm の node_modules 構造は、npm と違ってフラットではありません。プロジェクトの node_modules のトップレベルには、package.json に直接記述された依存関係へのシンボリックリンクしか配置されません。

これにより、幽霊依存が構造的に発生しなくなります。コード内で利用できるのは、あなたが明確に依存関係として追加したパッケージのみです。これにより、意図しない依存を防ぎ、より信頼性の高い堅牢なプロジェクトを構築できます。

一目でわかる！npm vs pnpm 比較表

ここまでの内容を表でまとめてみましょう。

機能	npm (Node Package Manager)	pnpm (performant npm)
node_modules 構造	フラット構造	シンボリックリンクを利用した非フラット構造
ディスク使用量	🔴 プロジェクトごとにコピーするため多い	🟢 グローバルストアで共有するため非常に少ない
インストール速度	🐢 比較的遅い	🚀 非常に高速（特に2回目以降）
依存関係の厳格さ	⚠️ 幽霊依存（ファントム依存）のリスクあり	✅ 構造的に幽霊依存を防ぎ、信頼性が高い
モノレポ対応	基本的なワークスペース機能のみ	非常に強力なワークスペース機能をネイティブでサポート

さあ、pnpmを始めよう！🚀 基本的な使い方

pnpm の魅力が伝わったでしょうか？ 導入はとても簡単で、今 npm を使っている方ならすぐに乗り換えられます。

インストール方法

npm を使ってグローバルにインストールするのが一番簡単です。

npm install -g pnpm

これで pnpm コマンドが使えるようになります。

よく使うコマンド対比表

ほとんどの npm コマンドは、pnpm に置き換えるだけで同じように動作します。

やりたいこと	npm コマンド	pnpm コマンド
依存関係をインストール	npm install	pnpm install (or pnpm i)
パッケージを追加	npm install <pkg>	pnpm add <pkg>
開発用のパッケージを追加	npm install <pkg> --save-dev	pnpm add <pkg> --save-dev (or -D)
パッケージを削除	npm uninstall <pkg>	pnpm remove <pkg> (or pnpm rm)
スクリプトを実行	npm run <script>	pnpm <script>
パッケージを一時的に実行	npx <pkg>	pnpm dlx <pkg>

pnpm run <script> が pnpm <script> のように run を省略して書けるのは、地味ながら嬉しいポイントですね。

pnpmにもデメリットはある？知っておきたい注意点

pnpm は素晴らしいツールですが、公平を期すためにいくつかの注意点にも触れておきます。

1. エコシステムの成熟度: npm は長年の歴史と圧倒的なユーザー数を誇ります。pnpm のエコシステムも急速に成長していますが、非常に稀なケースで、特定のツールが pnpm のシンボリックリンク構造を正しく解釈できない可能性はゼロではありません。（ただし、現在ではほとんどの主要なツールやライブラリが対応済みです）
2. シンボリックリンクの制約: pnpm の核心であるシンボリックリンクは、一部の古いツールや特殊な環境（例: 特定の仮想化環境やファイルシステム）では、予期せぬ挙動を示すことが稀にあります。

とはいえ、これらのデメリットはほとんどの開発者にとっては問題にならず、pnpm がもたらす速度・効率・信頼性という大きなメリットが上回ることがほとんどです。

まとめ：pnpmで快適な開発体験を手に入れよう

今回は、pnpm がなぜ npm よりも高速で効率的なのか、その仕組みから解説しました。

• npmの課題: ディスクの無駄遣い、遅いインストール、幽霊依存のリスク。
• pnpmの解決策: グローバルストアとシンボリックリンクにより、ディスク使用量を激減させ、インストールを爆速化し、依存関係を厳格に管理する。

もしあなたが日々の開発で npm install の待ち時間にストレスを感じていたり、node_modules のサイズに頭を悩ませていたりするなら、pnpm はまさに救世主となるでしょう。

移行はとても簡単です。まずは個人の小さなプロジェクトからでも、pnpm の驚くべき速さと快適さを体験してみてください。きっと、もう npm には戻れなくなりますよ！

参考 / 参照

https://zenn.dev/azukiazusa/articles/pnpm-feature

https://github.com/pnpm/pnpm

https://pnpm.io/ja/