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TiDB - 概要

2025/02/09に公開

TiDB - MySQL互換のNewSQLデータベースを理解する

TiDBとは? - 一言で言うと?

TiDB (タイデービー) は、PingCAP社が開発したオープンソースのNewSQLデータベースです。

「NewSQLって何?」という方のために、ざっくり言うと...

RDBMS (MySQLなど) の信頼性 (ACID特性) と NoSQL の スケーラビリティ (水平拡張性) をイイトコ取りした、新しいタイプのデータベース

それがNewSQLであり、TiDBはその代表格です。

なぜTiDBが注目されるのか? - 従来のデータベースの課題

従来のRDBMS (特にMySQL) は、多くのWebアプリケーションで利用されてきましたが、以下のような課題がありました。

  • スケールしにくい: データ量やアクセス数が増えると、サーバーを強化する「スケールアップ」が必要になるが、限界がある。
  • 可用性が心配: 単一のサーバーに障害が発生すると、システム全体が停止してしまうリスクがある。
  • リアルタイム分析が難しい: 大量のデータを分析するには、別途データウェアハウスを構築する必要がある。

これらの課題を解決するために、TiDBは以下の特徴を備えています。

TiDBのココがすごい! - 7つの特徴

  1. MySQL互換:

    • MySQLのプロトコルやSQL構文と高い互換性があります。
    • 既存のMySQLクライアントやツール、アプリケーションコードをほぼそのまま利用できます。
    • MySQLからの移行が比較的容易です。
  2. 水平スケーラビリティ (スケールアウト):

    • サーバー (ノード) を追加するだけで、システム全体の性能を向上できます。
    • データ量やアクセス数の増加に柔軟に対応できます。
    • 大規模なWebアプリケーションやサービスに最適です。
  3. 高可用性:

    • 複数のノードにデータを分散して保持します。
    • 一部のノードに障害が発生しても、自動的に別のノードに処理を切り替える (フェイルオーバー) ため、システム全体は停止しません。
    • アプリケーションのダウンタイムを最小限に抑えます。
  4. 強整合性 (ACID特性):

    • 分散環境でもデータの整合性 (矛盾がないこと) を保証します。
    • 複数のノード間でデータの読み書きが行われても、データの不整合は発生しません。
    • 金融取引や在庫管理など、データの正確性が重要なシステムに不可欠です。
    • ACID特性とは?
      * Atomicity (原子性): トランザクションは全て成功するか全て失敗するかのどちらか。
      * Consistency (一貫性): 常にデータの整合性制約が満たされる。
      * Isolation (独立性): 他のトランザクションの影響を受けない。
      * Durability (耐久性): 完了したトランザクションは永続的に保存される。
  5. HTAP (Hybrid Transactional/Analytical Processing):

    • トランザクション処理 (OLTP) と分析処理 (OLAP) を、同じデータベースで実行できます。
    • 別途データウェアハウスを構築する必要がありません。
    • リアルタイムなデータ分析やレポート作成が可能です。
  6. 分散型データベース:

    • 複数のサーバー (ノード) にデータを分散して保存・管理します。
    • 水平スケーラビリティ、高可用性、HTAPなどの特徴は、この分散アーキテクチャによって実現されています。
  7. オープンソース:

    • TiDBはオープンソースで公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布できます。
    • 活発なコミュニティによって開発が進められています。

TiDBを支える3つのコンポーネント

TiDBは、主に以下の3つのコンポーネントで構成されています。

  1. TiDB Server:

    • MySQLクライアントからの接続を受け付け、SQLクエリを解析・実行する、MySQL互換のSQLレイヤーです。
    • クライアントから見ると、TiDB ServerはMySQL Serverのように見えます。
  2. TiKV:

    • 実際にデータを保持する、分散型のキーバリューストアです。
    • Raftコンセンサスアルゴリズムを使用して、データの複製と高可用性を実現します。
  3. Placement Driver (PD):

    • クラスタ全体のメタデータ (データの配置情報など) を管理し、データのスケジューリングや負荷分散を行うコンポーネントです。
    • TiDBクラスタ全体の「頭脳」として機能します。

まとめ - TiDBはどんなWeb開発者におすすめ?

  • MySQLを使っていて、将来的なスケーラビリティに不安を感じている方
  • アプリケーションの可用性を高めたい方
  • リアルタイムなデータ分析機能をアプリケーションに組み込みたい方
  • 大規模なWebアプリケーションやサービスを開発・運用している方

TiDBは、これらの課題やニーズに応えることができる、強力なデータベースです。
ぜひ一度、TiDBを試してみて、その可能性を体感してください!

参考資料

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