【プレゼンがうまくなるには?】「主張を伝える」と「わかりやすく伝える」の差は繰り返しの練習にあり
はじめに
先日オフラインでLT形式のプレゼンをする機会があった。実際に聴き手を前にしてプレゼンを行ったり、プレゼンを聴く中で様々な気づきがあったので、ブログに書いておく。本ブログでは「発表に向けて準備したこと」と「自身や他者の発表を通じて学んだこと」を中心に「どうすればプレゼンがうまくなるか?」の問いに対する自分なりの考えを記す。
準備したこと
発表に向けての準備は以下を行った。登壇に立候補したものの腰が重く主に2日前~前日に関連資料を読み込み、前日夜に話の構成を決めながらスライドを作成した。脳内で構成をシミュレーションしつつ、当日は練習せずぶっつけ本番で喋った[1]。
- 資料作りのコツの本を読む
- 発表に関する資料の読み込み
- 内容構成決め・スライド作成
1. 資料作りの本を読む
LT準備とは少しそれるが、世界で一番やさしい 資料作りの教科書 (2019年刊行)を再読した。今回の再読では、以下の話が心に残った。
- 伝われば「資料」じゃなくていい
- 口頭で済むなら資料作成の時間は不要
- スライドじゃなくてメモでもいい
- 「見栄えの良い資料」は美術の話で、最初は考えなくていい
- 「自分が主張したいこと」をタイトルに書く
- プレゼン全体を通しての自分の主張は何か?を考え、それを主題にする
- ペライチのスライドだとして、その1枚だけのスライドの中に何を入れるか?を考える(1枚で伝える練習)
- 発表を聴いたあと、聴き手が「どういう状態になればいいか」のゴールを考える
- どういう心情・認識の変化を起こしたいか
- どういう行動をしてもらいたいか
- そのゴールを最初に聴き手に共有する(提案形式の場合)
- ストーリーの構成を決める
- 接続詞を使って、スライド全体の話がつながるかを見る
- ※厳密には接続詞じゃなくていい。つなぎの言葉をつかって各スライドを線でつなげていくイメージ
- プレゼン資料作成ツールは最後に開く
- 話の構成が決まったあと最後に起こす
- いきなりパワーポイントを開かない
2. 発表に関する資料の読み込み
今回はある調査報告書の事例共有をテーマに選択したので、元資料となる調査報告書や関連記事を読んだ。
読み進めている中で、「普段報告書を読まない人向けに、自身の読み方を共有するのもいいのでは」と思いついたので、発表の前半では報告書の読み方を軽く共有する方向に決めた。
3. 内容構成決め・スライド作成
序盤は、アイスブレイクとして自己紹介やアンケートを挟みつつ、報告書の自分なりの読み方を紹介した。
本編は、事例の概要説明から始めて、「何が起きたか」「なぜ起きたか」「この事例から学べることは何か」を三本柱にし、最後はまとめで締める構成に決定した[2]。
序盤のアンケートでは2つの質問を用意し、「この事例を知っているか?」と「普段報告書を読むか?」を挙手してもらった。
当日は読み通り一定数「事例を知らない・普段読まない」層がいたので[3]、「報告書ってなんだか難しそうなイメージありますよね。ページ数も多いし。自分はいつもこんな形のメモを取って読んでいます。」など、共感や自分なりの方法の話をしながら徐々に本編に入っていった。
本編では内容全部の紹介は時間が足りないし、ただの内容朗読にはなりたくなかったので、話す問題点を絞って紹介した。
三本柱の内、「何が起きたか」の項目では時系列を紹介しつつ、後に説明したい事例をピックアップして紹介した。
「なぜ起きたか」の項目では「その事象は防げなかったのか?」という疑問を挟み、その回答として報告書内で指摘があった「今回の事例の問題点」を提示した。
問題点の重さを説明しきったところで、「結果としてこういう事態になりましたが、今回の事例で学べることは~点あります。」という流れで、報告書を読んで自分なりに学んだことを説明した。
学んだこと
当日他の人のプレゼンを聴いたり見たりする中で気づいたこと・学んだことを3点記す。
1. オフラインならではの工夫の必要性
今回は会場でスクリーンに投影しての発表(手元に資料はない状態)だったので、物理的な位置でスライドの見やすさが変わってくることに気づいた。自分は後ろ側に着席したので、前の人の背中や距離の遠さで字が見えづらいと感じる局面があった。
オンラインであれば画面共有によりPCで資料を見れるため、スライド全体をフルに使ったり文字が小さくても読み取れるが、オフラインだと厳しい場合があるのだと分かった。
今後自分がオフラインで発表するときは、
- スライドを細かくしすぎず、大まかな情報に分けて表示する
- スライド下部1/3は余白をなるべく設ける
- フォントや画の小さい情報は大きく変換する
ことを心掛けたいと思った。
2. スライドと話し手の関係性
他の人のプレゼンを聴く中で、プレゼンがプロの人のスライドにはある特徴があることに気づいた。話す内容をスライドに書くのではなく、話す内容は自身の頭の中にあり、スライドは「話した内容の補足情報」として使っているのである。言葉だけだとわかりづらい情報をイメージとして示したり、図表で情報を視覚的に表示するスライドが多かった。そして自身の考えを軸として持っており、原稿に一切頼らず話されていている印象を受けた。
そして、話し方が上手な人のプレゼンは自然と手が止まって話に引き込まれるのだと感じた。スライドだけあればいいのではなく、語り手のプレゼンターがいて初めてプレゼンが完成する感覚を覚えた。
今の自身は人前で話すことにこそ慣れたものの、相手に原稿を見せながらしゃべっている状態だと自覚した。構成をまとめて主張は言えるようになったが、練習不足ゆえに当日も原稿(文字)頼りの発表から抜け出せていないと思った。
今後は
- 原稿はパワーポイントではなく別媒体(Notionなど)で作成
- 原稿ができたら通しで練習して確認
- 原稿があらかた完成したら、パワーポイントを起動して図表やイメージを作成(情報を可視化)していく
という順番で資料を作りたいと感じた。
3. 発表練習の重要性
先の項目と重なるが、プレゼンが上手な人は自身の中に思考の軸を持って喋っているように見える。それは知識をインプットした後何度も練習することで、アウトプットを繰り返し、定着しているようにも見受けられる。
「発表練習の際に録画をして後で自己FBするといいよ」とアドバイスいただき、当初は「自分で自分の録画を見返すのは少し恥ずかしいな」と思っていたが、その未完成の状態で他人に見せるほうが恥ずかしいことだと思い直した。
今後は発表練習を重視してFB→改善のサイクルを回した状態で当日に臨みたいと思った。
最後に
自分が何度かプレゼンを行った中で、プレゼンスキルの成長には3段階があるように感じている。
- STEP1: 人前で話すことに慣れる
- 発表に立候補し、無事終われば100点
- 内容や質は問わず、まずは0を1にする経験
- 練習目的の、心理的安全な場が大事
- STEP2: 自分の主張を伝える
- 聴き手の属性から聞きたいこと・需要を自分なりに検討する
- 「誰に向けての話か」のターゲットを選定する
- 「自分は何を伝えたいか」の主張を明確にする
- 一連の発表がストーリーとしてつながるよう構成を定める
- STEP3: わかりやすく伝える
- 間の取り方、抑揚、言葉遣いなど声での情報を安定させる
- 声で伝えきれないイメージや図表をスライドに表示し、視覚で伝える
- 原稿ではなく自分の考えとして自然体で話せるように何度も練習を行う
- 何度話しても同じ熱量で話せるようにする
今の自分はSTEP2で足踏みしている段階だと自覚したので、今後はSTEP3を目指して繰り返し自主練習を行いたい。
またSTEP3に到達したときに、そのさらに上のSTEPが見えたら、目標や課題を整理してその先の成長につなげたい。
Discussion