本から学ぶデータの力:データサイエンスを志した理由
はじめに
この記事では、データの活用方法からビジネスを成功に導く方法を、森岡毅氏のUSJでの成功事例を通して紐解きます。読者はデータ活用の重要性とその具体的な手順を学ぶことができます。
データ活用の重要性に対する気づき
私の名前はannoと申します。
エンジニアとしてアプリ開発やデータ分析に携わっています。最近、「データについて分析してほしい」という依頼を受け、SQLやBigQueryを使ってデータ収集と分析を行っています。その中で、「データをいかにしてビジネスに活かせば良いか」という疑問を持ちました。
この疑問を解決する手がかりとして、USJをV字回復させた森岡毅氏の事例に出会いました。彼の論理的な問題解決アプローチと、数学的手法を用いた市場予測は、私のデータサイエンスへの好奇心を刺激しました。
森岡氏のストーリーからは、データと確率を使って未来を予測し、ビジネスの成功に導く手法を学びました。私が開発に取り組む際にも、この学びを活かして、データを用いた新規機能の提案や効果検証を行っています。
エンジニアとして、これはデータの価値を最大限に引き出す貴重な機会です。私たちの開発がどのようにデータに基づいて行われるべきか、そしてそのデータをどう活用するかは、この記事を通じて考えるきっかけになるでしょう。
最後に、森岡氏の数学的フレームワーク・マーケティングフレームワークについては、彼の著書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」と「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」に詳しく記載されています。
データとその活用方法から、データからどう論理的に考えていったかなど、興味がある方は、ぜひこれらの本をご覧ください。
以下「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を読んでのメモになります。
森岡 毅 (もりおか つよし)
→USJでの通算成績は34打数33安打、打率9割7分1厘、本塁打率4割1分2厘
* 時系列
- 2010年
- 6月
- P&Gを退社しUSJに入社
- 7月
- 経営回復のための大戦略『三段ロケット構想』を策定
- 第一段ロケットUSJの長年の弱点だった『家族連れ顧客』
- 後に、新エリア・ユニバーサルワンダーランドを2012年にオープンし達成
- 第二段ロケット『集客の関西依存体質からの脱却』
- 450億円を投下して、ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッターを2014年にオープンし達成
- 第三段ロケット『科学的経営管理法に基づいてパークを効率的に運営する会社のノウハウを複数の場所に展開して、会社を飛躍させてゆくこと』
- USJをエンターテイメント分野におけるアジアのリーディングカンパニーへ
- 2015年11月にUSJが米メディア大手コムキャストに買収され、資本の変化に伴う戦略の見直しによって中止となり未達
- USJをエンターテイメント分野におけるアジアのリーディングカンパニーへ
- 第一段ロケットUSJの長年の弱点だった『家族連れ顧客』
- 米国オーランドでオープンしたばかりのハリー・ポッターエリアを見て、USJを関西依存から脱却させる「二段目のロケット」にはハリー・ポッターエリアの導入しかないと確信
- 経営回復のための大戦略『三段ロケット構想』を策定
- 12月~2011年2月
- モンハン 2ndGを400時間プレイして消費者視点で分析した(そのあと999時間プレイした
- 6月
- 2011年
- 3月
- カプコンのモンスターハンターのブランド責任者である辻本プロデューサーにプレゼンし成功
- 3月31日
- USJ 10周年
- トリックアート(目の錯覚を利用した絵)
- ワンピース・プレミアショー
- USJ 10周年
- 8月5日
- モンスターハンター・ザ・リアル
- 9月23日
- ハロウィン・ホラー・ナイト
- 追加集客数40万人を達成
- ハロウィン・ホラー・ナイト
- 3月
- 2012年
- 3月16日
- ユニバーサル・ワンダーランドオープン
- ファミリー層を取り戻すことに成功
- ユニバーサル・ワンダーランドオープン
- 11月
- 大型ローラーコースターである「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」が後ろ向きに走る夢を見たことにより、ハリウッドドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜のアイデアを得る
- 3月16日
- 2013年
- 7月5日
- アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド 2
- 「4KHD×3D」を日本で初めて搭
- アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド 2
- 7月5日
- 2014年
- 7月15日
- 450億円を投下したハリー・ポッターエリア
- 「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッター」をオープン
- 450億円を投下したハリー・ポッターエリア
- 12月
- USJ年間集客が過去最高の1270万人を記録(2010年の着任時は730万人)
- 7月15日
- 2015年
- 10月
- ハロウィン効果により、175万人もの集客を記録し、東京ディズニーランドを抜いて月間集客数日本一に
- 10月
* アイデアマンというタイプの人間ではない
* クリエイティブなひらめきでアイデアを次々に生み出す天才とは真逆の、頭の中が四角いタイプ
* 論理や数字を頭の中でカクカク動かすタイプの人間
* 🔵こだわるポイントを間違っている
* 技術のための技術や、品質のための品質は、価値がないと考えている
* 人の役に立つための技術であり品質のはずだから
* こだわりを持って仕事をする職人気質そのものが悪いわけではない
* <例>
* ショー・アトラクション「ピーターパンのネバーランド」で登場する海賊船に、職人がお金と時間をかけて超ハイレベルなエイジング塗装(汚し=経年劣化をリアルに感じさせる特殊塗装)をした。
* ところがその結果、肝心のゲストには「海賊船があまりにボロボロで古くて汚い」と不評だったことがありました。
* 「方向性を間違えたこだわり」のせいで、このパークが本来発揮できるはずの力が削がれているように見えた
* 消費者とのズレを正すことは、マーケティングの根幹の使命
* 🔵USJのブランドを長期的に生存可能なように再定義する
* 「映画の専門店」という妄想から、「世界最高峰のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へ脱皮させること
* 映画だけにこだわることが戦略上の大きなミス
* 映画だけにこだわる差別化は意味がない
* USJとTDRの間には激しい集客競合がほとんどない
* USJが伸びてもTDRも集客を伸ばしている
* 交通費3万円の川で分断されている
* あえてニッチ戦略を選ぶのは愚の骨頂
* エンタメ楽しむ時に映画が選ばれるのは約1割
* 一番大きいエンタメではあるが、1つだけに絞る必要性はない
* 映画を軸にしていくが、映画だけはやめる
* 🔵10周年プランの立案
* 【目的】お金がない10周年を対前年比での集客+8%で生き抜く
* 【戦略】(アイデアの必要条件)
* ①追加のキャピタル(設備投資費用)が必要ないこと。
* ②「ハッピー・サプライズ!」のコンセプトに沿った「驚き」があること。
* ③ターゲット消費者を広くとってゲスト満足と集客のテコになるか、あるいは特定のファンベースに強くアピールすることで十分な集客になること。
* 【戦術】(アイデア)
* 「アトモスフィア・エンターテインメント」(以下アトモス。ストリート・パフォーマンスの一種)を強化して「ハッピー・サプライズ!」をパーク中に演出する。
* 「トリックアート」(目の錯覚を利用した絵などの作品)をパーク中に10個くらいちりばめる。
* ●当時ひっそりとやっていた「ワンピース・プレミアショー」に大々的にTVCMをあてて売り出す。
* 【結果】
* 1週目はそれはそれは素晴らしい集客とゲスト満足の出足だったが、その後、震災の自粛の影響を受けた
-
🔵10周年の4つの追加施策(GW前までの1ヶ月ちょっとで考えた)
- 4つ全部ヒットするか、2つ外しても2つがホームランならば、春の大コケで失った数十万人を取り戻せる計算だった
- 【結果】10周年の年間集客は春の負けを取り戻し、目標の昨対プラス8%の倍を達成する大幅な2桁成長となった
- この10周年の超ドタバタの中で学んだのは、正しい目的であれば、追い詰められて駄目だと思っても、無理だと思わず絶対に諦めずに執着し続けること、そして戦略的な発想方法があれば、その執念を苗床にしてきっと苦境を打開する「アイデアの神様」は降りてくる
- 【目的】10周年の期間中に失った数十万に及ぶ絶望的な数字を取り戻す
- ①自粛の流れを断ち切るためのアイデアの立案
- 【戦略】(アイデアの必要条件)
- ①自粛ムードの潮目を変えることができること。大震災の衝撃で心を痛める繊細な日本人の心に、「関西から日本を元気に!」というメッセージを「なるほど」と肯定的に受け入れてもらえるやり方で、反感を買って逆効果に陥らないこと。
- ②第1四半期の残り(GW後から6月末まで)の1カ月半でワンピース並みに集客できること。
- ③追加のキャピタル(設備投資費用)が必要ないこと。
- 【戦術】(アイデア)
- 【キッズフリー】
- 大人一人につき子供一人を無料にするという大胆な施策
- その需要予測を走らせました。
- USJの出血の傷口がさらに拡大することを恐れた幹部の間からギリギリまで強い反対を受けた
- 【キッズフリー】
- 【結果】
- GW前までの地獄の集客トレンドがまるで噓のように、パークに子供を連れたご家族がたくさんたくさん来てくれた
- 【戦略】(アイデアの必要条件)
- ②キッズフリーに続く、ワンピース並みの強い集客のアイデア立案
- 春に失った数十万人もの巨大な集客損失を2011年度のどこかで取り戻して借金返済しない限り、10周年はそのまま失敗する状況だった
- 【戦略】(アイデアの必要条件)
- ①ワンピース並みの集客力を発揮するアイデアであること。
- ②時間的に10周年度内の実現が可能であること。
- ③キャピタル(設備投資費用)は使わないこと。
- 【追加】残された3つのシーズン(夏、ハロウィーン、クリスマス)のそれぞれを、予定よりも大成功させるアイデアだと非常に都合が良い
- 会社の経営資源、特に「時間」と「人」を分散させないで運用することができるから
- 単純に要素が少なくなるので、人・時間・金を集中できる
- 第一優先でアイデアを考えるべきと判断していたのが、ハロウィーン・シーズンだった
- 夏、ハロウィーン、クリスマスの3シーズンで、パークの歴史的に最も弱いシーズンがハロウィーンだったから
- 【消費者理解とリサーチ】
- ハロウィーンについてリサーチ
- 日本
- ハロウィーンを楽しみ出してから、わずか10年程度
- アメリカ
- もともとは日本のお盆のように試写の復活に絡んだ宗教的習慣
- 1年間の中でほとんど唯一の「非日常のお祭り」なのです。誰もが羽目を外していつもと違う自分になりきって楽しめる祭り
- 子供たちは思い切り奇抜な仮装をして「トリック・オア・トリート」と言いながら夜に家々を回り、お菓子をもらいながら練り歩く。
- 夜に出歩いたり、歯や健康に悪いジャンキーなお菓子をたくさん食べたり、日ごろは親に禁止されていることが公然とできるお祭り。
- ハイティーンより上になってくると、同世代で集まってハロウィーン・パーティーで良からぬことも含めてドンチャン騒ぎをする
- 悪魔や魔女や死体やゾンビやガイコツといったダークサイドの仮装がたくさん登場
- 日本
- 過去にパークで開催されたイベントの映像を片っ端から見まくった。
- 年間パスを買っているUSJのファンを主な対象に、別料金(4000円程度)でゾンビに遭遇するイベントをひっそりとやっていたのが目に留まった
- ハロウィーンについてリサーチ
- 【戦術】(アイデア)
- ゾンビを、パーク中に解き放つ!しかも大量に!パークをゾンビで埋め尽くす!
- 【結果】
- ずっと7万人程度で赤字だったハロウィーン・イベントを大きく黒字化させる倍増目標14万人をはるかに超え、なんと追加集客数で40万人以上を集客することに成功した
- これは何十億と投資した大型アトラクションが年間を通じて集客する数字よりも多い数を、約2カ月の間に集客してしまう凄まじい需要創出となった
- ③戦略が全てではないモンハンコラボ
- カプコンのゲームブランド「モンスターハンター」については、2011年の年初あたりから、USJでイベント化できないかと可能性を考えていた
- 2010年の年末に世の中で流行っている人気エンターテイメントをインターネットで調べていたときに(私は定期的に自分自身でこういうトレンドを詳しく調べています)、モンスターハンターというブランドが圧倒的に巨大であることを知った
- モンスターハンターの世界観や何がそんなに面白いのかを理解するために、彼らのファンサイトや様々な評論にあれこれ目を通して、いちいち感心した
- 大きなアートディレクションから細部に至るまで、作り込みに携わる人々の執念が伝わり、地形やキャラクターなどが美しいだけでなく、場面切り替え時の記号や、1つ1つのアイコンに至るまで、アートディレクションは一貫し、クオリティーが徹底されている
- 才能溢れるゲーム音楽の品質の高さにも非常に驚いた
- 興味を持った素材はとことん理解するところから始めるのが、私の性分で、2nd Gをやり込んだ
- 資金がないけど、私の武器は、モンハンへの純粋な熱意だけです。もう相手の懐に突撃するしかない
- 追い詰められて万策尽きたと思ったときでも、たとえ計算上では勝算が立たなくても、本当に大切なことならば絶対に諦めずに行動することで局面を動かせることがある
- ④クリスマスイベント
- USJで過ごすクリスマスを特別なものにするには、ゲストの心を引き寄せる何か特別なものを作らなければならない
- ならばいっそのこと、世界一のクリスマスツリーにしよう
- 高さ36メートルのツリーを33万個のLEDで飾り、ギネス認定の「世界一の光のツリー」にした
-
第一段ロケット【家族連れ顧客】
- 子供は入場お断りではないが、小さな子供連れのゲストにとって1日券を買って入るにはもの足りないパークだった
- 入社直前の時期に、子供連れファミリーの集客が、マーケットの人口構成比と競合他社の集客データから推定されるあるべき水準に比較して、あまりにも少ないことを発見した
- 特に3歳から6歳の小さな子供がいるファミリーが来場する割合があまりにも少なかった
- 計算では、あるべき平均値に持ってくだけで、少なくとも安定的に1割以上、うまく行けば2割程度も上げることができるのが明らかだった
- 【自分の子供4人で実験】(4~12歳)
- 4~6歳は身長制限のせいで乗れるアトラクションが非常に少なかった
- 上の子と下の子で別行動せざるを得ない状況になる
- 上の子達はめっちゃ楽しそう
- 下の子達が体験できるのは、シュレック4DアドベンチャーとJAWSとかぐらいだった
- JAWS事件
- 4歳の子が間近に迫る巨大なサメの恐怖の餌食になった
- 小さなな子供にとって、牙をむき出して迫ってくる巨大なサメは間違いなく「本物」
- 大泣き
- 4歳の子が間近に迫る巨大なサメの恐怖の餌食になった
- 小さな子どもが楽しめないパークという認識そのものを帰る必要があった
- 4~6歳は身長制限のせいで乗れるアトラクションが非常に少なかった
- 【戦略】(アイデアの必要条件)
- ①「小さな子供連れは楽しめない」という消費者の認識を覆すものでなくてはならない。
- ②実際に数割増えるであろう集客に十分な収容キャパがなくてはならない。
- ③設備投資資金の予算内で実現できるアイデアでなければならない。
- ④既存資産とのプラスの相乗効果で経営効率を高めるアイデアであれば尚良い。
- 【戦術】(アイデア)
- 「大きな複合型ファミリーエリア」
- 既にパークに存在していた3大キャラクター(セサミストリートのエルモ、Peanutsのスヌーピー、ハローキティ)を活用する
- メリット
- 小さな子供にとってより親しみやすいエリアとなる
- 環境演出によって、かわいいキャラクターがより可愛く見える
- 既存キャラクターの知名度を活用することで、新たな認知にかかる費用をセーブできる
- メリット
- 身長制限は最小限にして、小さな子供ができるだけ全ての体験ができるように「機能は子供に合わせ、デザインは母親に合わせ」たエリアになった
- 人間と社会や外部環境との関わりの研究における世界的権威のスーザン・ゴルツマン博士と議論し、開発
- <例>
- コーヒーカップ
- ライドに乗った子供の目線の高さから見える周辺施設の建物のデザインにこだわっている
- ライドのデザインには母親の求める夢のような「かわいい世界」を実現させるためにこだわった
- 。特に塗装の発色には徹底的にこだわり、イタリアの高級車フェラーリの塗装工場で塗装を施した
- コーヒーカップ
- 既にパークに存在していた3大キャラクター(セサミストリートのエルモ、Peanutsのスヌーピー、ハローキティ)を活用する
- 「大きな複合型ファミリーエリア」
- 【結果】
- 親子で1日中楽しめる新鋭のファミリーエリアとして、2012年春にオープン
- JAWSの恐怖体験から2年が経った私の末の娘はもう6歳
- ユニバーサル・ワンダーランドを一番気に入ってくれた
- 「めっちゃたのしい!」
- フライング・スヌーピーで空を飛ぶことと、セサミのビッグ・ドライブで車の運転をすることが特に彼女のお気に入り
- 私が着任した当時のパーク年間集客約740万人から、ユニバーサル・ワンダーランドをオープンした2012年度は1000万人に迫る975万人を記録
* 3重苦の2013年
* 3重苦
* ①2011年度と同様に設備投資に回せる資金は極小
* 10周年の大成功によって、少しだけ設備投資の予算が使える状況(約20億円弱)
* 新アトラクションを入れる建物すら作れない
* ②東京ディズニーランド30周年のパワープレイの影響
* 最大で10%、最小で5%程度の集客ダメージを受けるであろうと推定
* ③2014年に予定しているハリー・ポッターを意識した消費者の行き控えによる集客の減少見込み
* 【戦略】(アイデアの必要条件)
* ①スズメの涙で実現できること(新たな設備投資に回せる資金は約20億円弱)。
* ②プラス20%の集客増ができる需要喚起の強さを持つこと。
* ③「世界最高をお届けする」ブランドとして恥じない品質であること。
* +α考えていたこと
* 2012年ファミリー向けにマーケティングを集中したので、来場へのエネルギーが溜まっている可能性が高い独身女性層の来場意欲を換気するアイデアを優先して探すと良いかもしれない
* 【必要条件を元にアイデア模索】
* リノベーション戦略
* リノベーションに応用できるアイデアが世の中にないか探した
* パクリとリアプライは違う
* パクリ
* 目に見えるブランドやキャラクターをそのままマネする
* リアプライ
* 目に見えないビジネスのアイデアそのものをいただく
* 合法
* 世界中の優れた会社ならどこでもやっていること
* <例>
* どこかの国のとあるパークで無重力を体験できるアトラクション「宇宙飛行士危機一髪」
* 無重力を体験できるというアイデアをリアプライする
* 宇宙飛行士の造形などはどうでもいい
* 日本人は何でも自分でゼロから始めようとする悪いクセがある
* 外に目を向けて積極的にアイデアを盗みに行った方が良いと思う
* メリット3つ
* ①どこかで成功しているアイデアを土台にしたほうがプロジェクトに圧倒的なスピードをもたらす
* ②どこかの消費者で試されている分だけ成功の確立も高い
* ③アイデアを自分で生み出すための引き出しが増える
* ※全てのアイデアはよく分析してみると、過去に自分が触れてきた人様のアイデアの「断片」の組み合わせでしかない場合が多い
* 元上司は「困ったら、答えは現場にある」と教えてくれた
* パークをひたすら歩き回った
* ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドを眺めていたその日の夜夢を見た
* ハリウッド・ドリーム・ザ・ライドが走り抜けたあの昼間の映像が、逆回転されているシーン
* 【戦術】(アイデア)
* ①スパイダーマン4K3D
* オーランドにできる新型4K3Dスパイダーマンのプロトタイプに乗車して、リアプライした。
* リノベーション成功の鍵
* 変化の度合いはリノベーションなのだけど、いかに新築だと思ってもらえるか
* 実感するポイントを事前に誘致しておくことで消費者は体験価値の違いを知覚しやすくなる
* ②ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド
* 【結果】
* 前年比と比較して、上半期は104%で終えることができた
* 「イノベーション・フレームワーク」
* イノベーション・フレームワーク4つの柱
* ①フレームワーク
* アイデアを生み出すに当たって、最初に最も大切なことは、何を必死に考えれば良いかわかっていること
* アイデア探しでは、フレームワークが魚群探知機に相当する
* それがないと広い海を膨大に時間をかけて走り回ることになる
* 「良いアイデア」を出すにあたって、ほとんどの人が拾はよく考えていないのが次の2点
* ①良いアイデアはどんな条件を満たすアイデアのことか?
* ②それらの条件を組み合わせて、良いアイデアを探すにあたっての着眼点(釣るポイント)をどこに定めて頭脳をフル回転させるべきなのか?
* アイデアを考えるにあたって「どこに宝が埋まっているか」に予想をつける戦略眼、それが「フレームワーク」の役割
* 重要なポイント
* アイデアが満たすべき必要条件が明確になること
* 宝探しによく使うフレームワークは次の3つ
* ①戦略的フレームワーク
* 考えるべきアイデアの必要条件を導き出すこと
* 具体的には、目的、戦略、戦術の3段階で必ずその順番で考えていく
* 【目的】
* 何よりも大切なのは、最初に【目的】をよく考えて、明確に定義すること
* 【戦略】(アイデアの必要条件)
* 目的を達成するために、持っている経営資源を何に集中するのかを選んで決める
* その戦略こそが生み出すべきアイデアの範囲を決める「必要条件」そのものになっていること
* 最も宝が埋まっていそうなポイントに時間や労力を集中させるのに役立つ
* 戦略が具体的な発想の起点になってくれることが多い
* 実現可能性をかなりのレベルまで検証しなければ、戦略を1つに選べないことになる
* 実現生がなければ机上の空論になる
* 戦略段階での意思決定をどれだけ早くできるのかを意識している
* 戦略を早く決めることも、早く決めないことも、それぞれ拙速か拓遅のどちらかのリスクを抱えることになる
* リスクをわかったうえでで、「今決める」か「まだ決めないか」を選ぶことが大事
* 【戦術】(アイデア)
* <例>
* 目的「彼女と仲直りすること」
* 戦略「彼女の好きなもので観心をかう」と仮に判断する
* 戦略を決めると戦術の範囲がすごく絞られる
* 好きなもの以外を考える必要がなくなった
* 戦術(アイデア)「彼女の好きなアーティストのコンサートチケットを上げる」
* ②数学的フレームワーク
* 一言でいえば「ロジック」そのもの
* 正しい目的を設定するために、問題の本質を発見するのにとても役立つ
* 戦略的フレームワークで言うところの「目的の設定」の箇所によく使う
* 数学的な思考を使ってビジネスの因果関係を論理的に分析し、現象の奥底にある問題の本質(宝)や可能性に辿り着くアプローチ
* 数学的なモデリング(需要予測モデル、重回帰分析による因子解析など)を多用している
* 数学的なモデリングは、問題を発見測定するのに非常に有効な武器になっている
* ロジカルに頭を使うことで正解に辿りつく確立が高くなる
* <例>
* 目の前に四角い大きな畑があると想像。
↓
* どこかに宝が埋まっているとする。
↓
* この畑全体を100として、そこかに線を引いてAとBの2つに分ける。
↓
* 仮に、Aが50、Bが50の半々に分けたとすると、Aを掘り進めて宝を発見したらOK、もしなければ宝はBに埋まっていることが分かる
↓
* 次はBを100として、それをCとDに分けてどちらかをまたほっていく
↓
* Cを掘ってあればOK、なければDに宝が埋まっているのでDをさらに100にして区分けしていく
↓
* 最後には必ず宝のありかにたどり着く
* <例>集客が減少している
* なぜ集客が下がっているのか?その「原因」を捕まえるために、畑全体を掘って原因(=宝)をやみくもに探しても非効率
* ❌「子供連れファミリーの集客が下がっているのか?あるいは女性の集客が下がっているのか?」
* 重なり(母親)があり、男性が視界から落ちているから足して100にならない
* 視界落ちは宝を見失う可能性がある
* ⭕「男性の集客が下がっているのか?女性の集客が下がっているのか?」
* ⭕「11歳以下の子供の集客が下がっているのか?12歳以上の集客が下がっているのか?」
* ⭕のケースは、足して100になる
* 子供連れファミリーを調べて本当に下がっているなら、その原因(宝)を探し出せればOK、見つからなかったらもう一方のどこかに宝が埋まっていることが明らかになる
* 上記を繰り返せば、いつか原因にたどり着くことができる
* ③マーケティング・フレームワーク
* 専門的すぎるため、本書では割愛
* 端的にいうと「人の頭の中に協力なブランドを構築していくための勝ちパターン」
* ②リアプライ
* 何を考えないといけないかが明確になった段階で、自分自身でアイデアを生み出そうとすることは、よくないと思う
* なんでも0から始めたがるのは日本人の悪いクセ
* 必要条件が明確になったら、最初に世の中に目を向ける
* この世界中のどこかに、過去から現在に至るどこかに、似たような問題に直面した人がいるのではないかと疑ってかかる
* ネットで理解したつもりになるのではなく、実際に足を運んで自分で体験することも大切
* たいていの場合「まんま」コピーは問題になるので、戦略やアイデアの革新を抽出しながらも、戦術的なエレメントは修正していく
* 国際社会では、特許化されていないアイデアは自由に使って良い娘とになっている
* 自分自身で考えて作っていきたい!と願う気持ちはわからなくはないが、私に言わせればそれは取るに足らない「個人のエゴ」
* ③ストック
* 蓄積された豊かな情報が「ストック」
* そのポイントで釣果を上げるために有効な知識や経験などの「情報の質的・量的な蓄積」を指す
* <例>
* その漁場の潮流や地形の理解
* 魚の習性をどれだけよく知っているか
* 餌や使う道具に関する知識の豊富さや、経験に基づく具体的な釣り方のコツなど、釣果をあげるために必要な知識と経験値の送料
* アイデアを思いつくためには、そのアイデアにまつわる「文脈」のことをよく知っている方が圧倒的に確率を向上させる
* 「ストック」が強ければ強いほど、直面する問題に対しての解決策を思いつきやすくなる
* 気が付かないことは考えられない
* <例>エンターテイメント業界におけるストック
* それぞれのマーケティングやファイナンスといった専門分野におけるストックの強化はもちろんだが、共通しているのは「エンターテイメント」
* 世の中のエンターテイメントに対して意図的に幅と深さを増していく努力が求められる
* 自分へのインプットを増やす機会をどれだけ作れるかが、実は重要なキャリアの差を生むことを自覚したほうが良い
* チーム力としてのストックを増やすことも大事
* 自分ひとりの中ですべてを蓄えるのは難しいから、それよりも蓄えている人のちからをお互いにうまく活用するのも大事なこと
* ④コミットメント
* コミットメントは、精神論
* 文字通りやりぬく覚悟や決意の意味
* ①〜③を活用したら、考えつくまで考え抜くこと
* 淡白な人に「アイデアの神様」は微笑んでくれない
* ※どんなに優れた戦略も、どれだけ革新的なアイデアも、日々の努力で改善改良を続けていくエクセキューションが強くないと結局はビジネスとして実らない。アイデアが実際にどれだけ成功するか、最後のビジネスの結果は、エクセキューションで決まる。
* なぜハリーポッターで450億円ものリスクを取るのか?
* 800億円強の年間売上規模の会社にとって、450億円もの投資は一見クレイジーに見える
* 450億円の投資回収のリスクは、3つの違う考え方の需要予測モデルで数学的に徹底的に検証した結果<我二勝算アリ>と、高い成功確率を読むことができたから
*
* ハリーポッターをやるやらないの意思決定はむしろオープンまでの3年間を生き残れるのかの問いだった
* 連続安打を3年間も打ち続けられるのか
* チャレンジしないといけない深い理由
* 今この球を打ちにいかなければ、後々もっと難しい球を打たなくてはならないときが必ずくるから
* ①世界最強のブランドで勝負できるのは今しかない
* 映画ブランドの経年劣化は大きな問題
* 大ヒットとなった名作E.T.10周年を待たずにパークから消えることになった
* 日本国内でハリーポッターをお金を払ってみたことがある人は全8作で7800万人に及ぶ
* 他のどんな映画シリーズと比較しても、あまりに圧倒的で比肩できるブランドがない
* 地上波で見た人も含めれるとさらに膨れ上がる
* 本も含めると、全日本国民の9割以上が見たり読んだりした接点があり。全日本国民の半分以上が今でも好きだという恐るべきブランド
* 最強のブランドを使ってチャンスできる機会が、このさきの10年、20年の間に宝くじぐらいの幸運がないかぎりもうチャンスがこない
* ②エクセキューション段階での失敗リスクが小さい
* オーランドに実際に建っているものの価値を確かめてから意思決定できたため、リスクが軽減できた
* ③関西依存の集客体質から脱却しないと手遅れになる
* 日本は人口減少マーケットのため、人口が減れば、売上も減る
* 関西に依存している現状から、もっと日本全国から集客できるパークへの脱皮を図らねばならないと考えた
* ハリーポッターならば日本全国どころか、アジア全域やオーストラリア、ニュージーランドなどからのハリー・ポッターファンの来場をも見込むことができる
重要なポイント
-
アイデアを考えるときは、まず目的を徹底的に吟味して定め、その次にアイデアが満たすべき「必要条件」を一番時間をかけて考える。そしてその必要条件を組み合わせ、より条件を絞り込んで、自分が必死に思いつくべきアイデアの輪郭をできるだけ明確に絞り込んでいきます。具体的なアイデアを考え始めるのはいつも最後の最後。
-
ちょうど宝を探すときに、その土地を隅から隅まで手当たり次第に掘り起こすのではなくて、まずはじっくりと宝が埋まっている場所を徹底的に推理して、ある程度の当たりをつけてから初めてスコップを動かすのと同じ手順。
-
価値を生み出すアイデアの切り口は、経験上ほとんどの場合は「消費者理解」の中に埋まっている。
-
ビジネスドライバー(=勝つ確率の高い投資すべき領域)を見つけることが大事
-
私は信じているのですが、マーケティングをやる人間は、何でも自分自身でやってみることを習慣にするべき
- マーケターは「消費者目線」を基本にしないとアイデアも戦略も判断も全てにおいて焦点がズレる
- <例>
- 前職でヘアカラーやスタイリング剤を売っていた時代
- 自分のヘアスタイルを金髪のスパイキーや、真っ赤なソフトモヒカンにしていたこともあった。
Discussion