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イーロン・マスクが突きつけていること

2022/11/08に公開約4,000字

Twitterで従業員の半数が解雇されたというニュースが話題です。

この件は、単にTwitterだけの問題ではなく、これからテック業界全体で起こりうることをイーロン・マスクが真っ先に断行したに過ぎないと思うのです。

これからテック業界で起こりうることとは、

  • 他の企業でも大規模な解雇が行われる
  • それは、日本も例外ではないかもしれない

ということです。

テック業界の業績不振

テック業界の2022年3Qの決算がほぼ出揃いましたが、業績は芳しくありません。
じっちゃまの解説を参考にしております。)

アルファベット (10/26)

売上高成長率: +6% (YoY)、YouTube広告の成長率: -2% (YoY)

メタ・プラットフォームズ (10/27)

売上高成長率: -4% (YoY)

アマゾン (10/28)

売上高成長率: +15% (YoY)

ネット広告市場が下火

巨大な広告プラットフォームであるGoogleやFacebookの売上高成長率が、ほぼ横ばいかやマイナスになっているところをみると、ネット広告市場自体ほとんど成長していないといえそうです。コロナが猛威を奮っていた2年前は、どちらの企業もトップラインで40-50%で成長していたのに、今は完全に勢いが止まっています。

Eコマース市場も成長に陰り

また、アメリカでは、ブラックフライデー (11/25) からクリスマスまでの1ヶ月が、最も消費が行われる期間ですが、今年はあまり盛り上がっていないようです。Adobeは、11-12月のEコマース市場の成長率は2.5%と予想していますし、PayPalも、10-12月のEコマース市場の伸びはかなり控えめ (pretty muted) になると予想しています。

圧迫される営業利益

ネット広告やEコマース市場のパイがほとんど大きくならないにもかかわらず、各企業、費用は増え続けており、それが営業利益を圧迫しているかたちになっています。

各企業の営業利益率の推移

20/4Q 21/1Q 21/2Q 21/3Q 21/4Q 22/1Q 22/2Q 22/3Q
アルファベット 28% 30% 31% 32% 29% 30% 28% 25%
メタ・プラットフォームズ 46% 43% 43% 36% 37% 31% 29% 20%
アマゾン 5% 8% 7% 4% 3% 3% 3% 2%

Twitterで大規模な人員整理が行われており、それにもかかわらず、サービスは大きな問題もなく動いているところをみると、他のテック企業にも人員整理のプレッシャーがかかることは容易に想像できます。

現に、LyftやStripeでもすでに従業員の解雇が行われており、Facebookでも数千人規模の解雇が行われるという話もでています。

また、レイオフとまではいかなくても、AppleやAmazonなどの企業も採用停止を行なっています。

Twitterの従業員解雇は、イーロン・マスクが株主になったから行われた特殊な事例なのではなく、高コスト体質になっているテック業界全体で起こりうるといえそうです。

つまり、イーロン・マスクが突きつけていることは、「テック業界で働いているやつ多すぎ、給料高すぎ、なのに、大したことしてねーじゃん。」ということです。

すべてはサイクルで、また、テック業界で人員が必要になるタイミングが来るとは思いますが、それはアメリカで本格的に不景気が到来し、FEDが金利を引き下げ始めてからになるかもしれません。それまでは、テック業界にとって受難の時代になりそうです。

日本も例外ではない?

今回のTwitterの従業員解雇では、日本法人も例外ではありませんでした。

すぐに集団訴訟を起こそうと呼びかける弁護士もいましたが、

実際は、解雇を受け入れ、転職先を探す方がほとんどなのではないかと思います。

今回、訴訟を起こす人がほとんどいなければ、Twitter以外の外資系企業でも、日本でレイオフを断行するところが出てきそうです。

日本のネット広告・Eコマース市場

ここで気になるのは、日本企業で解雇が行われるかという点です。

アメリカ同様、日本でもネット広告・Eコマース市場の成長は鈍化しているように見受けられます。

Yahoo!の2Q決算をみると、広告の売上高成長率は年々下がり、+2.9% となっていますし、Eコマースの取扱高成長率は、一時期 +30% ほどだったのが、+13.5%(国内物販だけをみると、+7%) となっています。また、楽天の2Qの決算でも、Eコマースの流通総額成長率は +12.3%(トラベルも含む) となっており、+50% 近くで成長していた2年前と比べると大きく落ち込んでいます。

日本の賃金上昇

ネット市場・Eコマース市場の成長が鈍化しているのは、日本もアメリカと似た状況のようですが、人件費の高騰についてはアメリカと日本では状況がかなり異なります。日本では、賃金の上昇がアメリカと比べるとはるかに緩やかなため、アメリカのテック企業ほど差し迫った危機はないかもしれません。

日本でも解雇はあるか

それでも、市場のパイがさほど大きくなっていないため、売上の伸びが鈍化し、人件費が重くなっているテック企業は多いと思います。また、他の戦略事業に大きく投資して、それがうまくいかないとなる可能性もありえます。そのような場合は、日本のテック企業でも解雇が行われる可能性はゼロではないのではないかと思います。

個人的には、解雇規制が強いことが、日本企業が世界で活躍できていない要因のひとつだと思うので、これを機に日本企業でも解雇が増えてもいいと考えています。企業がより解雇しやすくなれば、企業の生産性はより高くなると思いますし、優秀な社員の給料を上げやすくなると思います。

実際に社員を解雇したとしても、訴訟を起こすと次に転職しにくくなるリスクもあるので、多くの人が訴訟を起こさないということもあるかもしれません。私がもし解雇されたら、訴訟はしないと思います。一時的にすごく落ち込むとは思いますが、競争社会では当然のことですし、次に解雇されないように自己研鑽を積んで成長できるよう努力するだけです。

今回の件を受けて、日本のテック企業で従業員を解雇するところが出てくるかは注目しています。

おわりに

私自身テック業界で働く身なので、今回のTwitterの件で、「お前なんて価値がない」といわれているようで、身につまされれる思いになりました。これは対岸の火事ではなく、日本のテック業界で働く従業員にもふりかかりうることだと思います。今回の件を受けて、より自己研鑽を積まないといけないと実感しました。

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