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Webサイト制作でパートナーのデザイナーに求めること
フリーランスのWebフロントエンドエンジニアとして活動して3年が過ぎ(2025年3月で3年)、Webサイト/アプリ制作を大規模小規模合わせて十数案件以上やってきた中で、ユーザーが満足するものを作るためにデザイナーとのコミュニケーションを特に重点的に行ってきました。
どういうコラボレーションをすれば高品質に効率よく制作ができるかが曖昧だったので、生成AIの力を借りつつ整理したものを公開してみます。
はじめに
Webサイト制作において、完成品を最初から提供するのは不可能に近く、実装者との綿密なコミュニケーションをすることで徐々に完成に近づけていきます。
特に、デザイナーと実装者間での積極的な相談は、プロジェクトの成功に不可欠です。
デザイナーは実装の制約を理解し、実装者はデザインの価値を最大限に活かす努力をすることで、より良いWebサイトが生まれます。
このドキュメントでは、効率的な協働を実現するために、デザイナーに求められるスキルとコミュニケーション方針について説明します。
役割の定義
デザイナーの役割
- ユーザー体験の設計: ユーザーのニーズを理解し、使いやすく魅力的なインターフェースを設計する
- ビジュアルデザインの作成: デザインツールを使用した視覚的なデザインの制作
- デザインシステムの構築: 一貫性のあるデザイン要素の定義と管理
- デザイン意図の説明: 関係者に対してデザインの背景や目的を明確に伝える
実装者の役割
- 技術的な実現: デザインを実際のWebサイトとして実装する
- 実装可能性の検証: デザインの技術的な実現可能性を確認し、制約を伝える
- パフォーマンスの最適化: 高速で安定したWebサイトの実装
- 技術的制約の説明: デザイナーに対して実装の制約や可能性を明確に伝える
スキル面
Figma の基本スキル
現在のWebデザイン制作では Figma がデファクトスタンダードとなっています。
以下のスキルは Figma を前提としていますが、他のデザインツールを使用する場合も同様の概念が適用されます。
コンポーネント化
- パーツのコンポーネント化: 再利用可能なパーツは必ずコンポーネントとして作成し、マスターデザインを明確にする
- コンポーネントの階層構造: 適切なネスト構造でコンポーネントを整理し、管理しやすくする
- バリアントの活用: 状態やサイズの違いはバリアントで管理する
スタイル管理
- テキストスタイル: 文字サイズ、行間、フォントウェイトなどをスタイルとして定義し、一貫性を保つ
- カラースタイル: ブランドカラーやセマンティックカラーをスタイルとして管理する
- エフェクトスタイル: 影やぼかしなどのエフェクトもスタイル化する
オートレイアウトの活用
- レスポンシブ対応: オートレイアウトを使用して、画面サイズに応じた柔軟なレイアウトを実現する
- 間隔の統一: パディングやマージンをオートレイアウトで統一し、一貫性を保つ
- コンテンツの自動調整: テキスト量に応じた自動的な高さ調整を活用する
アノテーション機能
- 仕様の明記: デザインだけでは分からない動作や仕様をアノテーションで説明する
- 実装のヒント: 実装者が迷わないよう、技術的な注意点も記載する
ファイル管理
単一ファイルでの作業
- メインファイルでの作業: デザイン用と実装提供用でファイルを分けず、できるだけ1つのファイルで進める
- アクセス権限: 実装者が必要なコンポーネントにアクセスできるよう権限を設定する
コミュニケーション面
実装者からデザイナーへのコミュニケーション
デザイン理解の促進
- デザインの価値認識: デザイナーの提案するデザインの価値と意図を深く理解しようとする姿勢を持つ
- 実装可能性の検討: デザインを実現するための技術的な可能性を積極的に探る
- 創造的な解決策: 実装が困難な場合でも、デザインの意図を保ちながら技術的な解決策を提案する
建設的なフィードバック
- 代替案の提案: 実装が困難な場合、デザインの意図を損なわない代替案を具体的に提案する
- 段階的な実装: 複雑なデザインは段階的に実装し、各段階でデザイナーと確認を取る
- 技術的制約の説明: 実装できない理由を明確に説明し、デザイナーが理解できるよう配慮する
よくあるフィードバック例
テキスト関連
- CSS対応: テキストの上下トリミングは CSS の対応が不十分なため使用しない
- 実装可能な設定: 実装で再現可能なテキスト設定を使用する
レイアウト関連
- 位置の整数化: レイヤーの位置は小数点ではなく整数で配置する
- グリッドシステム: 適切なグリッドシステムに従った配置を心がける
- レスポンシブ対応: 各ブレークポイントでの表示を考慮したデザインにする
実装効率
- 再利用性: 似たような要素は統一し、実装の重複を避ける
- 命名規則: レイヤー名やコンポーネント名は実装者が理解しやすい命名にする
- エクスポート設定: 必要な画像やアイコンのエクスポート設定を適切に行う
デザイナーから実装者へのコミュニケーション
実装可能性の事前確認
- 部分的なデザイン提案: 全体のデザインを完成させる前から、実装が困難な部分について実装者に相談する
- 技術的な制約の理解: 実装の技術的な制約を事前に把握し、デザインに反映する
- 段階的な検証: デザインの各段階で実装可能性を確認し、早期に課題を発見する
デザイン意図の明確化
- デザインの目的説明: なぜそのデザインにしたのか、ユーザー体験の意図を明確に伝える
- 代替案の提示: 実装が困難な場合の代替デザイン案を事前に準備する
- 優先度の明示: デザイン要素の重要度や優先度を明確にして、実装の判断材料を提供する
協働の前提
リソース確保
- フィードバック対応時間: 実装者からのフィードバックに対応する時間を確保する
- 定期的なレビュー: 進捗に応じた定期的なデザインレビューを実施する
- 柔軟な対応: 実装過程で発見された課題に対して柔軟に対応する
フィードバックの受け入れ
- 実装目線のフィードバック: 技術的な制約や実装のしやすさを考慮したフィードバックを受け入れる
- デザインデータの改善: 実装効率を向上させるためのデザインデータの改善提案を検討する
責任範囲の明確化
- デザイナーの責任: デザインの品質、一貫性、ユーザビリティの確保
- 実装者の責任: デザインの忠実な再現、技術的な品質、パフォーマンスの確保
- 共同責任: プロジェクト全体の成功、コミュニケーションの円滑化
- 相互理解: お互いの専門領域を尊重し、適切なタイミングで相談する
相互理解と配慮
- 専門性の尊重: お互いの専門領域を理解し、適切な提案やフィードバックを行う
- 時間的配慮: 相手の作業スケジュールを考慮したコミュニケーション
- 建設的な対話: 批判ではなく改善提案としてフィードバックを行う
- 効率的な協働: お互いの専門性を活かし、効率的にプロジェクトを進める
まとめ
Webサイト制作は、デザイナーと実装者の協働によって初めて完成します。最初から完璧なデザインを作るのではなく、お互いに緊密にコミュニケーションを取りながら、一緒に育てていく姿勢が重要です。
このドキュメントに記載されたスキルとコミュニケーション方針を理解し、実践していただくことで、より効率的で質の高いWebサイト制作が実現できます。
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