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AZ-104対策:Azure DNSとTraffic Managerについて

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✅ AZ-104 ‐Azure DNSとTraffic Managerについて

🔰 DNSとは?

DNS(ドメインネームシステム)は、「名前(例: [www.contoso.com)」と「数字の住所(例): 52.170.12.4)」をお互いに変換するしくみです。これがあるおかげで、人は覚えやすい名前でアクセスでき、システムは正確に通信できます。

Azureでは、使い方に応じて次の2種類のDNSを使い分けます:

  • パブリックDNS:外部のインターネットからアクセスするための名前解決用
  • プライベートDNS:Azureの中だけで使うシステム同士の名前解決用

目的に応じて正しく使い分けることが、安定したシステム運用につながります。


📘 パブリックDNSとプライベートDNSの比較表

比較項目 パブリックDNSゾーン プライベートDNSゾーン
解決対象 インターネット上の公開ドメイン 仮想ネットワーク内部の名前
主な用途 Webサービスの公開など VM間の内部通信やサービス名解決
レコード登録 手動のみ 手動 or 仮想ネットワークによる自動登録
仮想ネットワークリンク 不要 必須(リンク+自動登録設定)
自動登録可否 ❌ 非対応 ✅ 対応(VM名など自動反映)
所有者確認 ✅ TXTレコードによる確認が必要 ❌ 不要
Traffic Managerとの併用 ✅ DR構成で利用される ❌ 通常不要
注意点 公開されるため情報漏えいに注意 仮想ネットワークあたり1ゾーンのみ登録可

🧩 仮想ネットワークとDNS自動登録

  • プライベートDNSゾーンを使用するには、仮想ネットワークへの「リンク」が必要。
  • 自動登録をオンにすることで、VMのホスト名がDNSに自動的に登録される。
  • 1つの仮想ネットワークは、1つの自動登録ゾーンにしかリンクできないため注意。

🔡 DNSレコードタイプと用途

レコード種別 用途 具体例 よくあるミス
A レコード ホスト名 → IPアドレスを返す www.exp01.com → 52.170.12.4 IP変更時、手動更新を忘れると接続不能
CNAME ホスト名 → 別名ホスト名(FQDN)を返す app.contoso.com → web01.contoso.com CNAMEの多重指定や無限ループ設定
TXT 任意のテキスト情報(認証用など)DKIM/SPF @ → "v=spf1 include:mail.contoso.com" SPF構文ミス → メールが拒否される
PTR IPアドレス → ホスト名を返す(逆引き) 4.12.170.52.in-addr.arpa → mail.contoso.com 正しく設定しないとメールがSPAM扱い


🚦 Traffic Manager + Azure DNS による可用性向上構成(DR構成)

Traffic Manager は、DNSベースのトラフィックルーティングサービスです。複数のエンドポイント間でトラフィックを分散し、自動フェイルオーバーにより高可用性 (HA) を提供、パフォーマンスと耐障害性を向上させます。障害時にもサービスを止めずに提供し続けるため、可用性向上構成として、Azure DNSとTraffic Managerの組み合わせが非常に有効です。


🗺 シナリオ例

東京リージョンで稼働中のWebアプリに障害が発生した場合、自動的に大阪リージョンのスタンバイアプリへ切り替える構成。

要素 説明
Azure DNS ドメインの名前解決を提供(例:app.example.jp
Traffic Manager グローバルDNSルーティング。リクエストを稼働中エンドポイントに振り分け
Webアプリ(東京) プライマリアプリケーション
Webアプリ(大阪) スタンバイ(DR)アプリケーション

構成例(優先順位型ルーティング)

  • Traffic Manager プロファイル作成時に「優先順位型(Priority)」を選択
  • 優先順リスト:
    • 優先1:東京リージョンのApp Service(例: web-tokyo.azurewebsites.net
    • 優先2:大阪リージョンのApp Service(例: web-osaka.azurewebsites.net


🔁 動作の流れ

  1. ユーザーが app.example.jp にアクセス。
  2. Azure DNS が、app.example.jp に設定されたCNAMEレコード(your-tm-profile.trafficmanager.net を指す)を解決して返します
  3. ユーザーのDNSリゾルバーは、次にTraffic Managerのネームサーバーに your-tm-profile.trafficmanager.net の解決を問い合わせます。
  4. Traffic Manager がヘルスチェックに基づき、最適なエンドポイント(東京または大阪のIPアドレス)を返します。
  5. ユーザーのデバイスは返されたIPアドレスに接続します。
    • 東京が正常 → 東京に接続
    • 東京がダウン → 大阪へ自動で切り替え

🛠 設定手順(簡略)

  1. App Service を2つ用意(東京・大阪)
  2. Traffic Manager プロファイル作成
    • ルーティング方法:優先順位型(Priority)
    • 東京を優先1、大阪を優先2に設定
  3. 各App Serviceに独自ドメインをバインド
    • 例:app.example.jp
  4. Azure DNS にCNAMEレコードを設定
    • 名前:app.example.jp
    • 値:your-tm-profile.trafficmanager.net

🎯 メリットと補足

  • 地理的冗長化:異なるリージョン間で高可用性を確保
  • 自動フェイルオーバー:障害発生時も利用者に影響を与えにくい
  • 柔軟なルーティング:以下の方法が選べる
  • 優先順位型(障害対策)
  • パフォーマンス型(最速レスポンス)
  • 重みづけ型(トラフィック制御)

これにより、Azureだけでシンプルかつ堅牢な**DR構成(災害対策構成)**が実現できます。

✍️ 試験対策ポイントまとめ

  • □ パブリックDNSには自動登録なし
  • □ プライベートDNSは仮想ネットワークリンク+自動登録設定が必要
  • □ 仮想ネットワーク1つに対し、自動登録可能なDNSゾーンは1つまで
  • □ Traffic ManagerとAzure DNSでDR構成を組める
  • □ DNSレコード(A/CNAME/TXT/PTR)の違いと使い所は必修知識

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