君には 1 ヶ月で AWS SAA を取得してきてもらうよ
先輩: 「森本君、この前は無茶振りしちゃってごめんね」
新人: 「いえいえ。確かに大変でしたけど、勉強になりました」
先輩: 「最初は大変かもしれないけど、スキルアップのためだと思って頑張ってね」
先輩: 「ただ本気で辛くなったら、すぐチャットするなり有給取るなりしてね」
新人: 「ありがとうございます!」
新人: (なんだかんだ、この先輩面倒見いいし優しいよな 😄)
先輩: 「さて、今日から実際の業務に入るわけだけど、業務では AWS を使ってるんだ」
先輩: 「AWS は分かるかな?」
新人: 「クラウドの Amazon Web Service ですよね?」
新人: 「聞いたことはありますけど、使ったことはないですね」
先輩: 「そうそう。うちの会社ではよく使ってて、AWS 認定資格の取得も推奨してるんだよね」
新人: 「へーそうなんですね」
先輩: 「使ったことないなら、君には 1 ヶ月で AWS SAA を取得してきてもらうよ」
新人: 😇
新人: (またかよぉぉぉぉぉ!この先輩のスケジュール管理どうなってんだ...)
新人: (てか『使ったことないなら 1 ヶ月で取得しろ』って日本語おかしいだろ。大丈夫そ?)
何で 1 ヶ月なんですか?
新人: 「SAA ってなんですか?」
先輩: 「Solution Architect Associate の略で、AWS の基礎を学ぶことのできる資格だよ」
先輩: 「AWS を学び始めるエンジニアだったら丁度いいレベルの資格かな」
新人: 「なるほど。あと、何で 1 ヶ月なんですか?」
先輩: 「僕の経験上、資格勉強はダラダラやっても良いことないんだよ」
先輩: 「それに資格とかは、時間のある若手の間に取っておいた方がいいからね」
先輩: 「ウチの会社では取得が推奨されてるけど、強制じゃないよ。どうする?」
新人: 「なるほど。推奨されてるなら頑張ってみます...」
新人: 「でも 1 ヶ月でっていうのが不安です」
先輩: 「僕は取得してるからサポートは出来るよ」
先輩: 「勉強は業務外でもやってもらうことになるけど、業務でも学ぶ機会はたくさんあるから」
新人: 「...わかりました!頑張ってみます」
IT 資格ってとる意味あるんですか?
新人: 「あともう一つだけ聞いても良いですか?」
先輩: 「いいよー」
新人: 「IT 資格ってとる意味あるんですか?」
新人: 「エンジニアとしては知識持ってても、設計・実装できないと意味ないと思うんです」
新人: 「医者とか弁護士とかと違って、IT 資格って免許ではないし」
新人: 「わざわざ IT 資格をとる意味あるのか疑問なんですよね」
先輩: 「んー。IT 資格の取得にはいろんな考えがあると思うよ」
先輩: 「会社としては『AWS 資格取得者が ⚪︎ 人もいます!』ってアピールもできるし」
先輩: 「昇給・昇格の定量的な指標にしやすいっていう側面もあると思う」
新人: 「なるほど」
先輩: 「一方で森本君の言う通り、エンジニアとして資格は持ってても」
先輩: 「実際に AWS を触ったことなくて、設計も実装も出来ませんだと残念だとも思う」
新人: 「そうですよね。資格だけの人にはなりたくないです」
先輩: 「ただ僕は資格を取れるなら取っておいて損はないと思ってるよ」
先輩: 「特に AWS 資格を取るメリットは、主に 3 つあると思ってるんだ」
AWS を使う上で最低限知っておく知識が身に付く
先輩: 「当然だけど、AWS を使う上で最低限知っておく知識が身に付くことだね」
先輩: 「この『最低限』というのが重要で、一定の『共通認知』を持って会話できるようになる」
新人: 「セキュリティで言うところの、秘密鍵は公開しちゃダメとかのイメージですか?」
先輩: 「それは絶対にやっちゃダメなことだね笑」
先輩: 「AWS に限った話ではないけど、良くベストプラクティスって言い方をするよ」
先輩: 「絶対的な正解ではなく最善な方法のことで、これを資格勉強を通じて学べるかな」
新人: 「あー、よくベスプラって略されてるやつですね」
先輩: 「そうそう」
先輩: 「資格勉強しなくても学べるけど、合格するにはベスプラを知っておく必要があるね」
新人: 「なるほど」
知識の成熟度を定量的に判断できる
先輩: 「資格に限った話じゃないけど、新しいことを学ぶ時はモチベの維持が重要になってくる」
新人: 「あー。それは分かります笑」
新人: 「最初の数日はモチベが高いですけど、徐々に面倒になってくるんですよね」
先輩: 「だよね。1 ヶ月での取得を目標にしたのもモチベ維持のためだよ」
先輩: 「僕が良くあるのは、ドキュメントを読み切ることが目的にすり替わったり」
先輩: 「とりあえずコード書いてみて、良くわかんないけど動けば OK になったりもする」
先輩: 「でもそれだと自分がちゃんと理解してるのか、良くわからないよね」
先輩: (まぁ、やらないよりは『まずやってみる』ことが重要なんだけど...)
新人: 「確かにそうですね」
先輩: 「その点資格勉強をすると、知識の成熟度を定量的に判断できる」
先輩: 「問題集とかで得点率が数値として出るから、自分の成熟度が分かり易いよね」
新人: 「受験勉強を思い出しますね」
先輩: 「そうだね。点数が低くても、挫折せず頑張る必要があるのも受験勉強と同じかな笑」
先輩: 「受験勉強と違うのは、実際に AWS を触って実験出来ることだよ」
先輩: 「AWS を一切触らなくても試験に合格は出来るかも知れないけど」
先輩: 「それだと資格をとっただけになり兼ねないから、座学と実践は交互にやってね」
新人: 「分かりました!早速 AWS のアカウントを作ります!」
先輩: 「いいね!業務での使うから会社のアカウントはあるけど」
先輩: 「学習用に自分のアカウントがあると便利だから、作っておくといいかもね」
先輩: 「あと自分のアカウント作る時の注意点はまたの機会に教えるよ」
IT の基礎知識全般を学ぶことができる
先輩: 「最後は特に新米エンジニアにおすすめしたい理由になるんだけど」
先輩: 「クラウドを触ることで実践的にIT の基礎知識全般を学ぶことができることかな」
先輩: 「森本君は学生の頃とかに、サーバ借りたり、ネットワーク設定とかしたことある?」
新人: 「自作 PC 組んだ時にネットワークの設定とか、SSH 接続くらいならしたことあります。」
新人: 「研究室の同期が Heroku でアプリ公開したのは聞いたことありますが、僕はないですね」
先輩: 「おー流石だね」
先輩: 「AWS に限らず、クラウドではサーバやネットワーク、DNS など様々な技術が使われる」
先輩: 「こういった IT の基礎知識を学べて、簡単に使えるのは大きなメリットだと思うよ」
先輩: 「僕も DNS が良くわからなかったけど、AWS の DNS サービスを学ぶ時に勉強したんだ」
新人: 「確かに簡単に技術が試せるのは魅力的ですね」
先輩: 「新米エンジニアだけじゃなく、ベテランがモダンな技術を学ぶ機会には良いと思う」
先輩: 「例えば CI/CD, IaC といった DevOps には欠かせないサービスとかだね」
先輩: 「1 つ 1 つのサービスを通じて、システム開発の世界を垣間見ることが出来るんだ」
新人: 「そう聞くと AWS 触ってみたくなりました」
資格をとることが真の目的にならないように
先輩: 「長々と話しちゃったけど、1 ヶ月で AWS の資格を取る気になってくれたかな」
新人: 「1 ヶ月でっていう不安はありますけど、頑張りたいと思いました!」
先輩: 「今のモチベを維持できるようにサポートするよ笑」
先輩: 「とはいいつつ、森本君の最初の疑問もその通りだと僕も思う」
先輩: 「資格を取ることに意味はあるけど、資格を持ってることに大きな意味はないかな」
先輩: 「資格をとることが真の目的にならないように、座学と実践を繰り返してね」
新人: 「わかりました!」
新人: 「ところで AWS ってどういったサービスに使われているんですか?」
先輩: 「んー。一番有名なのは SA○ のアリシゼーション・プロジェクトかな」
新人: (...ホンマか?)
新人: (絶対もっと有名どこあると思うけど...)
先輩: 「さて、そんなことよりもうすぐ昼休み終わるから業務に戻るか」
新人: 「はーい」
〜〜 To Be Continued... 〜〜
最後に
(今更ながら...)こんにちわ alivelimb です。
前回の新人と先輩記事に多くのいいねを頂けたので、完全に味をしめて第二弾を書いてみました。
先日発表された「2022 APN ALL AWS Certifications Engineers」に選出して頂いたので、今回は AWS の資格について新人と先輩に話してもらいました。私は学生の時インターンで AWS を初めて触りましたが、それ以降入社まで触ったことがありませんでした。
また前回の記事で書いた通り、新人の森本君の設定は私の経験を盛り込んでいますが
研究室の同期が Heroku でアプリ公開したのは聞いたことありますが、僕はないですね
というのは完全に私の経験で、サーバを立てたり、Web アプリを公開したりといった経験はありませんでした。そんな私が Web アプリケーションや IT の基礎知識を学ぶ上で AWS の資格勉強は非常に役に立ちました。もし自分に後輩が出来ても AWS の資格勉強はオススメしたいです。もちろん「 1 ヶ月で取ってこい」とは言いません笑
P.S. 「資格をとることが真の目的にならないように」と書きつつ、AWS 全冠が射程圏内に入った時、AWS SAP を取得しているにもかかわらず、AWS CLF を取得しました。完全に資格取得が目的にすり替わっていますが、モチベ維持のためと言い訳をさせて下さい...
Discussion