npm&npxと一緒に覚えたい!Web開発で使うターミナルコマンドの基本
はじめに
フロントエンド開発を始めたばかりの頃、「npmって何?」「npxと何が違うの?」「インストールってどこにされてるの?」と混乱した方も多いのではないでしょうか。
実は、npmやnpxのコマンドは、一度理解してしまえばシンプルですが、体系的に学ぶ機会が少ないのも事実。
この記事では、初心者がつまずきやすいポイントを丁寧に解説しつつ、実用Tipsまでカバーします。
ターミナル操作の基本
npmやnpxのコマンドは、「ターミナル」や「コマンドプロンプト」という黒い画面で実行します。
でも、いざ開いてみると「ここに何を打てばいいの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
まずは、npmコマンドを使う前提となるターミナル操作の基本を確認しましょう。
ここで紹介するコマンドは、OS(macOS、Windows、Linux)を問わず、どの環境でもほぼ共通して使えるので安心です。
コマンド | 用途 |
---|---|
pwd (macOS/Linux)cd (Windows) |
今、どのディレクトリにいるかを確認します。pwd はprint working directoryの略です。 |
cd <dir> |
<dir> で指定した名前のディレクトリに移動します。 cd はchange directoryの略です。TABキーを押すとディレクトリ名を補完できます。 使用例 cd .. ひとつ上の階層に戻るcd ~ ホームディレクトリに戻るcd - 直前にいたディレクトリに戻る |
ls |
現在いるディレクトリの中にあるファイルやディレクトリの一覧を表示します。ls はlistの略です。オプション -l : 詳細な情報(パーミッション、サイズ、更新日時など)を表示します。-a : 隠しファイル(.で始まるファイル)も含めて表示します。例: ls -la
|
mkdir <dir> |
新しいディレクトリを作成します。mkdir はmake directoryの略です。 |
rm <file> |
ファイルを削除します。 |
rm -rf <dir> |
ディレクトリごと強制的に削除します。 |
code . |
VS Codeを現在のディレクトリで開きます。(VS CodeのCLIが必要) |
clear Ctrl + L
|
ターミナルのログをキレイにします。 |
Ctrl + C |
実行中のプロセスを強制終了(無限ループやサーバー停止など)。 |
プロジェクトの準備
npmを使った開発では、まず「プロジェクトの土台」を整える作業から始まります。
それがnpm init
であり、package.json
です。
では実際に、どうやってプロジェクトを準備していくのか、順を追って見ていきましょう。
1. プロジェクトの初期化
プロジェクトのメタデータ(名前、バージョン、依存関係など)を定義するpackage.json
ファイルを対話式に作成します。Node.jsやnpmを使った開発をする場合は、特別な理由がない限り、プロジェクトの最初にnpm init
を実行しておくのが一般的かつ推奨される方法です。
npm init
対話式の質問をスキップして、デフォルト値で一気に作成したい場合は、--yes
または-y
オプションをつけて、npm init -y
と入力します。プロジェクトを素早くセットアップしたい場合や、一時的なプロジェクトで細かな設定が不要な場合に非常に便利です。
2. パッケージのインストール
プロジェクトに必要なライブラリやツールをインストールするコマンドです。指定したパッケージをプロジェクトにインストールします。package.json
ファイルの dependencies
に記録されます。
npm install <パッケージ名>
一度に複数のパッケージをインストールしたい場合は、スペースで区切って指定します。
npm install react react-dom
プロジェクトの全依存関係を一括インストールしたい場合は、パッケージ名を省略します。
npm install
npm install
には、インストールするパッケージの種類を指定するための重要なオプションがあります。実務では、依存関係の管理を効率化し、開発環境を安定させることが重要です。ここでは、そのために特に役立つオプションを3つピックアップしました。
オプション | ショートハンド | 用途 |
---|---|---|
--save |
-S |
本番環境でも使用するパッケージをインストールします。 デフォルトでこの設定になります。 package.json のdependencies に記録されます。 |
--save-dev |
-D |
開発環境でのみ使用するパッケージをインストールします。 ESLintやWebpackなどビルドツールが該当します。 package.json のdevDependencies に記録されます。 |
--global |
-g |
特定のプロジェクトではなく、システム全体で使えるようにパッケージをインストールする際に使います。 パッケージは node_modules ディレクトリではなく、OSのユーザーディレクトリなどにインストールされます。create-react-app やts-node のように、一度インストールすれば複数のプロジェクトで使えるツールは、グローバルにインストールしておくと便利です。 |
パッケージの管理
1. パッケージのアンインストール
不要になったパッケージを削除するコマンドです。指定したパッケージをnode_modules
ディレクトリから削除し、package.json
ファイルからもその依存関係を削除します。
npm uninstall <パッケージ名>
開発依存パッケージを削除したい場合は、-D
オプションを使います。
npm uninstall eslint -D
2. パッケージの更新
インストール済みのパッケージを最新バージョンに更新するコマンドです。
npm update <パッケージ名>
すべてのパッケージを更新したい場合は、パッケージ名を省略します。
npm update
3. npxコマンドの活用
node_modules
にインストールされているパッケージの実行ファイルを探して実行したり、一時的にパッケージをダウンロードして実行したりします。create-react-app
のように、一度だけ使いたいコマンドを実行するのに最適です。
npx create-react-app my-app
このコマンドを実行すると、ローカルにcreate-react-app
がインストールされていなくても、一時的にダウンロードしてmy-app
というプロジェクトを作成してくれます。
よく使うnpm&npxコマンド早見表
ここまで、npmやnpxを使ったプロジェクトの初期化、パッケージの追加・削除・実行方法について解説してきました。
最後に、今回登場したコマンドを一覧表として整理しておきます。
実務中に「このコマンドなんだっけ?」と迷ったときに、ぜひ活用してください!
コマンド | ショートハンド | 用途 |
---|---|---|
npm init |
プロジェクトを初期化します。 | |
npm install |
npm i |
依存関係を一括インストールします。 |
npm install <pkg> |
npm i <pkg> |
パッケージをインストールします。 |
npm install <pkg> --save-dev |
npm i <pkg> -D |
開発用パッケージをインストールします。 |
npm uninstall <pkg> |
パッケージをアンインストールします。 | |
npm update <pkg> |
パッケージを更新します。 | |
npm run <script> |
package.json のscripts に定義したコマンドを実行します。例: npm run dev
|
|
npm run build |
本番ビルド(ReactやVueなどで利用)。 | |
npm start |
npm run start のエイリアス。開発開始用コマンドに使われることが多い。 |
|
npm test |
npm run test のエイリアス。テストを実行。 |
|
npm list |
現在インストールされているパッケージの一覧を表示。 | |
npx <pkg> |
パッケージを実行します。 |
おわりに
npmやnpxは、最初は複雑に見えても、使えば使うほど便利さを実感できるツールです。
特にチーム開発や本番環境を意識した開発では、依存関係の理解やスクリプト定義の理解が大きな差になります。
この記事が、あなたのフロントエンド開発の第一歩を支える道しるべになれば嬉しいです。
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