ランダムサンプリングによる被覆半径の期待値
導入
空間が与えられたとき,ランダムに点を取ることにより,どれくらい空間を近似できるかを考える.今回は,空間からランダムに点を取ったときにどれくらい近似できているかを測定する被覆半径を紹介し,被覆半径の値の確率とその期待値について紹介する.
被覆半径の定義
距離空間
である.被覆半径
今回は,集合
以下,空間
ランダムサンプリング
Reznikov-Saffによって,被覆半径の確率評価,及び,期待値について,計算されている.
定理 1. [RS2016 , 系2.3 ] 空間
は (X,\delta) 級 C^1 次元コンパクト(角付き)Riemann多様体とする.また, d を空間 X_n 上の体積測度由来の確率分布から (X,\delta) 点サンプリングした確率分布とする.このとき,ある n が存在して,任意の c_1, c_2 >0 に対して,ある \varepsilon >0 が存在して, N(\varepsilon) \in \mathbb{Z}_{>0} ならば N > N(\varepsilon) \mathbb{P} \left[ c_1 \left( \frac{\log N}{N} \right)^{1/d} \leq \rho (X_n , X) \leq c_2 \left( \frac{\log N}{N} \right)^{1/d} \right] > 1 - \varepsilon . > その上,ある定数
が存在して, C_1, C_2 > 0 C_1 \left( \frac{\log N}{N} \right)^{1/d} \leq \mathbb{E} \rho (X_n , X) \leq C_2 \left( \frac{\log N}{N} \right)^{1/d} .
※実際はより一般の場合で示している.
証明はRS2016に投げることとする.
理論値限界との比較
Reznikov-Saffは点群の被覆半径の理論限界を示した.
定理 2. [RS2016, p. 3 ] 空間
は (X,\delta) 級 C^1 次元コンパクトRiemann多様体であるとする.このとき,ある定数 d が存在して,任意の正数 C_1 に対し, n \in \mathbb{Z}_{>0} 点の任意の点群集合 n は X_n (\subset X) \rho (X , X_n ) \geq C_1 n^{-1/d} .
※実際はより一般の場合で示している.
定理 1.より,ランダムに取った場合より,
また,Flatto-Newmanにより,定理2の不等号を定数倍を除いて達成する点列の取り方が存在するFN1977.つまり,最良に点を取ったときに比べて,
参考文献
[FN1977] L. Flatto, D. J. Newman, Random coverings, Acta Math. 138: 241-264 (1977). DOI: 10.1007/BF02392317
[RS2016] A. Reznikov, E. B. Saff, The Covering Radius of Randomly Distributed Points on a Manifold, International Mathematics Research Notices, Volume 2016, Issue 19, 2016, Pages 6065–6094, https://doi.org/10.1093/imrn/rnv342
Discussion