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加速度センサとジャイロセンサに関する概要

2023/12/28に公開

※ こちらの記事は、過去にnoteで書いたものを復活・改変しています。

加速度センサ・ジャイロセンサ

新卒で入社した半導体メーカーで、私は加速度センサ・ジャイロセンサのチップの製作を担当していました。

加速度センサの使用用途としては、主にスマートフォンやゲーム機、車載ナビや産業用機械など多岐に渡ります。

昔、ゲーム機でWiiが流行しましたが、例えば、マリオテニスでリモコンを振ると、画面上のキャラクターがラケットでボールを返していたと思います。

あれは、リモコンに搭載されている加速度センサ(多分ジャイロも)が実際の動きを検知して、ゲーム上に反映されるようになっています。

また、スマートフォンなどでYoutubeなどの動画を見る人は多いですが、
本体を傾けると画面が切り替わり、拡大させたりできますが、これも本体を傾けることを加速度センサが検知することで、画面が切り替わるようにできています。

ほかには、車のエアバッグなどにも加速度センサは使用されており、ある一定の衝撃が加わると、
衝撃を加速度センサが検知して自動でエアバッグが動作する仕組みになっています。

最近では、産業用機械にセンサを導入する動きが広がっており、今まで人間がメンテナンスしてきた、
機械の異常などを自動で検知できないかなどの取り組みが行われています。

このように加速度センサの使用用途としては、スマホ・ゲームなどの民生品、産業機械、ナビ・エアバッグなどの
車載品に分かれておりそれぞれ用途に応じたセンサが開発されています。

加速度センサ・ジャイロセンサ共にチップの中身は、大きく分けてMEMS,ASICと2つに分けられます。
MEMSは力が加わったことによるセンシングを行い、ASICに電気信号を送ります。
ASIC側で、電気信号を処理、我々が計測できる形にして情報が送り出されます。

用途による使い分け

使われる用途により見合った加速度センサーは違うと書きました。

例えば、地震計やスマホなどで想定されるgの範囲は大体0gから4g程度に対して、エアバッグなどでは100g程度の範囲まで加速度を検知しなくてはなりません。

そのため、メーカーは用途別に応じた加速度センサーを販売しています。
それならば、100g程度まで測れるセンサを使えばいいとの意見もありそうですが、
センサのアウトプットデータはどちらも大体1軸で2byte分で数値化されるため、粗さが全く異なります。(解像度みたいなものです)

すなわち2gの加速度をセンサーに与えた際に、4g程度まで測定範囲のセンサーだと
ある程度きっちり2gと測定してくれるのに対して、100gまで測定範囲のあるセンサーはそこまで精密には測定してくれません。

100g程度の測定範囲のセンサーは、50gなどの強い衝撃が加わったことが判れば良いので、
それが51gだろうと52gであろうと大した違いはありません。

また最近の加速度センサは(チップのものに関してのみですが)、3軸のものが多いです。

3軸対応というのは、X軸、Y軸、Z軸の立体空間全ての加速度が計測できるものです。

スマホやゲーム機に対応していたり、電子部品のショップなどに置いてある加速度センサは大体3軸です。
これらはジャイロにおいても同じですが。

メーカーの中には、1軸のみを計測できる加速度センサを販売しているところも存在し、その使用用途としては、産業機器などの振動センシングなどに使用されるケースが多いです。

この理由としては、1軸の場合、中のセンシング部(MEMS部分)にゆとりを持った機械設計ができる分、20KHz程度の振動が来ても共振せずにセンシングすることが可能であるからです。

機械構造体には共振周波数なるものが必ず存在し、共振周波数付近でセンサを使用すると、中のMEMSが共振し、正確なセンシングが不可となります。

3軸の場合は、どうしても共振周波数が1軸に比べて低くなり、高周波帯(例えば10kHz以上)の帯域での使用が不可能となる場合があります。産業機器などにおいては、そのような高周波帯でも使用したいニーズがあったりもするので、その場合は1軸のセンサを3個取り付けてください、などのお願いになったりします。

逆に、ゲーム機やスマホでそのような振動が起こることは、いくら一生懸命腕を振ろうがないので、3軸を使用しよう、となるわけです。取り付けるスペースにも限りがありますしね。

ちなみにですが、3軸センサにおいても、X軸・Y軸とZ軸ではセンシングの仕方が異なる場合が多いです。

STマイクロのセンサの仕様書などを見ていても、Z軸のみにおいて、ノイズが多かったりと誤差の範囲内ではありますが、やや性能的に劣るケースはよくあります。

次は、マイコンなどによるデータの取り出しなどを記事にしたいと思います。

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