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zkRollupとMEV

2024/10/06に公開

はじめに

Ethereumの大きな課題の1つであるスケーラビリティ。その解決策として注目されているzkRollupについて、仕組みからMEVまで詳しく解説します。

1. zkRollupとは

オフチェーン実行の仕組み

zkRollupは、トランザクションの処理をオフチェーンで実行する Layer 2 ソリューションです。この「オフチェーン」は以下のような特徴を持っています:

  1. 分散型の実行環境

    • 複数のノード(Sequencer/Validator)で構成
    • トランザクションの収集、実行、検証を分散処理
  2. Sequencerの役割

    • ユーザーからのトランザクション受付
    • トランザクションの順序付けと処理
    • バッチ処理と零知識証明の生成
  3. Validatorの役割

    • 証明の検証
    • 不正検知

2. トランザクション処理の違い:L1 vs L2

Mempoolの違い

L1(Ethereum)とL2(zkRollup)では、トランザクションの処理フローが大きく異なります。

主な違いのポイント

  1. Mempool管理

    • L1:分散的なpublic mempool
    • L2:Sequencer管理下のプール
  2. 処理速度

    • L1:ブロック時間(約12-14秒)に依存
    • L2:Sequencerのバッチ処理タイミング
  3. 最終性

    • L1:ブロック確定で完了
    • L2:L1確定を待つ必要あり
  4. コスト効率

    • L1:各トランザクションに高いガス代
    • L2:バッチ処理による大幅なコスト削減

3. MEVの比較:L1(PoS)vs L2

MEVの構造的違い

MEVの主な違い

  1. MEV抽出者

    • L1:複数アクター(ブロックビルダー、バリデーター、リレー)
    • L2:主にSequencer
  2. 抽出方法

    • L1:多様な戦略(サンドイッチ、フロントランニング等)
    • L2:Sequencerによる取引順序操作
  3. 規模と特徴

    • L1:大規模な流動性、多様な機会
    • L2:比較的小規模、Sequencer主導

課題と対策

L1の課題:

  • バリデーター間の競争激化
  • リレーの中央集権化リスク
  • PBS実装の複雑さ

L2の課題:

  • Sequencer権限の集中
  • 透明性の欠如
  • ユーザー選択肢の制限

4. 今後の展望

L1(PoS)の方向性

  • PBSの継続的改善
  • MEVブーストの分散化促進
  • フェアネスメカニズムの強化

L2の発展

  • 分散型Sequencerの実装
  • 順序付けオークションの導入
  • 透明性向上への取り組み

まとめ

zkRollupは、Ethereumのスケーラビリティ問題に対する有効な解決策として期待されています。しかし、MEVの観点からは新たな課題も存在します。L1とL2それぞれの特性を理解し、適切に活用していくことが重要です。

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