Simple DVT Moduleとは
参考記事↓
はじめに
2024年2月、Lidoプロトコルに新たなモジュールが追加されました。その名も「Simple DVT Module(sDVTm)」です。このモジュールは、個人や小規模なコミュニティのステーカーがLidoプロトコルを利用して検証者(バリデーター)を運用する機会を提供します。
今回は、このSimple DVT Moduleについて詳しく解説していきます。
Simple DVT Moduleとは?
Simple DVT Module(sDVTm)は、Lidoプロトコルの2番目のメインネットモジュールです。このモジュールの主な特徴は以下の通りです:
- 個人やコミュニティのステーカーが参加可能
- Curated Operator Moduleの設計を活用
- ObolとSSV Networkが提供するDVT(Distributed Validator Technology)ソリューションを利用
- 初期上限はLido全体のステーク量の0.5%(DAO投票で増加可能)
- 約250の新規Node Operatorの追加を想定
- 3年以内の終了を予定(より拡張性の高いDVTモジュールへの移行を見込む)
なぜSimple DVTが必要なのか?
Lidoプロトコルの分散化と運用の堅牢性を高めるための最速の方法として、DVTの採用が注目されています。Simple DVT Moduleの最初の2つのコホートだけでも、139の新規Node Operatorが参加する予定です。
その内訳は以下の通りです:
DVTは、複数のNode Operatorが協力して1つの検証者を運用するシステムです。これにより以下のメリットがあります:
- 検証者の耐障害性向上
- ダウンタイムリスクの軽減
- インフラ、地理的分散、クライアント多様性の促進
- Distributed Key Generation(DKG)による安全性の向上
Simple DVT Moduleのメカニズム
Node Operatorの選択プロセス
- テストネット後、Lido Node Operator Subgovernance Group(LNOSG)が評価を実施
- アップタイム、検証者の義務遂行、応答時間、問題解決能力などを評価
- 地理的位置、ホスティングタイプ、サポートするクライアントも考慮
- LNOSGがDAOに提案を行い、1週間の議論期間を経てメインネットへの移行を決定
Simple DVT Module Committee(SDVTMC)
運用の効率化のため、SDVTMCと呼ばれるマルチシグ委員会が設立されました。この委員会は、Simple DVTに関する以下の操作をEasy Track(最適化されたガバナンスプロセス)を通じて実行します:
- 新しいクラスターの作成
- 既存クラスターのアクティベーションと非アクティベーション
- クラスターの鍵制限の変更
- クラスターマネージャーと報酬アドレスの変更
経済モデルと報酬分配
Simple DVT Moduleは以下の手数料構造を採用しています:
- 2%のトレジャリー手数料
- 8%のモジュール手数料(Node OperatorとDVTプロバイダー間で共有)
報酬分配の詳細は以下の通りです:
- 各参加者:ネットクラスター報酬の1%
- Obol:Obolクラスター報酬の1%
- SSV Network:SSVトークンで報酬を受け取る(初年度は0.5%、2年目は0.75%、3年目以降は1%)
報酬の請求プロセスを簡素化するため、以下の2つのスマートコントラクトが利用されます:
- stETHをwstETHにラップし、手数料を差し引くObol開発のラッパー
- 参加者間で報酬を分配する0xsplitsのスマートコントラクト
現在の状況と今後の展開
2024年4月16日時点で、Simple DVT Moduleはメインネットにデプロイされ、Obol Cohort 1の最初の12クラスターがオンボーディングを完了しています。各クラスターが5つのアクティブな検証者を持つと、30日間のパフォーマンス監視期間が始まります。
SSV Networkについても、テストネットが完了し、パフォーマンス監視期間が終了しています。参加者は現在、SSV Networkのスマートコントラクトから検証者を削除し、報酬請求フローをテストしている段階です。
今後、Simple DVT Moduleは以下のように拡大していく予定です:
- 約250の新規Node Operatorの追加(Lido on Ethereum Curated Node Operatorの37に加えて676%の成長)
- パフォーマンスが良好な場合、モジュールのシェア制限を1.5%〜2%に引き上げる提案の可能性
- より洗練されたDVTモジュールへの移行準備
まとめ
Simple DVT Moduleは、Lidoプロトコルの分散化と堅牢性を向上させる重要な一歩です。個人やコミュニティのステーカーがイーサリアムの検証者を運用する機会を提供し、DVTの採用によってより安全で分散化されたインフラストラクチャを実現します。
今後、Community Staking Module(CSM)など、よりオープンなモジュールの導入も予定されており、Lidoエコシステムの更なる発展が期待されます。
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