Community Staking Module (CSM) とは
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はじめに
Ethereum(イーサリアム)のステーキングプロトコルとして知られるLidoが、新たなモジュール「Community Staking Module (CSM)」の導入を計画しています。このCSMは、Lidoのエコシステムをより分散化し、個人や小規模グループがNode Operatorとして参加できる機会を提供します。
本記事では、CSMの概要、目的、主な特徴、そして今後の展望について詳しく解説していきます。
Community Staking Module (CSM) とは?
Community Staking Module (CSM) は、Lido on Ethereumの3番目のモジュールとして計画されています。このモジュールの最大の特徴は、パーミッションレス(許可不要)な参加が可能なことです。つまり、個人のステーカーや小規模なグループが、ETHをボンド(担保)として提供することで、Lidoのバリデーター(検証者)として運用に参加できるようになります。
CSMは、以下のような順序でLidoに導入される予定です:
- Curated Module(既存の厳選されたNode Operatorによるモジュール)
- Simple DVT Module(分散型バリデーター技術を使用した小規模なモジュール)
- Community Staking Module(パーミッションレスな参加が可能なモジュール)
CSMの目標
CSMには、以下の2つの主要な目標があります:
- Lido on EthereumのNode Operator setへのパーミッションレスな参加を可能にし、個人ステーカーのプロトコル参加を促進する
- メインネットローンチ後数ヶ月以内に、Lido on Ethereumの独立したNode Operatorの総数を300以上に増やす
これらの目標は、Lidoのコミュニティステーキングマニフェストをより実践的に適用したものです。
CSMの主な特徴
CSMをコミュニティステーカーにとってより魅力的なものにするため、以下の特徴が導入されています:
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報酬の平準化: 実行層(EL)の報酬とMEV(Miner Extractable Value)が他のモジュール(例:Curated Module)と平準化されるため、CSM Node Operatorはより安定した報酬を得る可能性があります。
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低いボンド要件: より多くの潜在的なオペレーターをカバーできるよう、Node Operatorに要求されるボンドは合理的に低く設定されています。
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ETH(stETH)のみを使用: ボンドと報酬に使用される唯一のトークンはETH(stETH)で、他の資産は関与しません。
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ユーザーフレンドリーなUX: Node Operatorには、より使いやすいUXが提供され、オンチェーン操作のガス代も低く抑えられています。
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高い報酬ポテンシャル: Node Operatorは、通常の個人ステーキングよりも多くの報酬を得られる可能性があります。
なぜCSMが必要なのか?
Lidoは、Ethereumの分散化を維持し、ステーキングへのアクセスを民主化するというミッションからスタートしました。現在のLidoには、DAOによって厳選された37の専門的なステーキングプロバイダーで構成される1つのNode Operatorモジュールしかありません。
プロトコルの分散化をさらに強化するため、Lido DAOはより広範なオペレーターを取り込むモジュールの開発を承認しました。これが、パーミッションレスなNode Operator参加を可能にするCSMの開発につながっています。
近い将来にリリースされる予定の2つのEthereum機能により、プロトコルがパーミッションレスアクセスを持続可能な方法で受け入れることがより実現可能になります:
- EIP-4788: Lidoのスマートコントラクトが信頼を最小限に抑えた方法でデータ(例:バリデーターの残高)を取得することを可能にします。
- EIP-7002: プロトコルのバリデーター引き出し資格情報を通じて、悪意のあるプロトコルバリデーターをオンチェーンで退出させることをLidoに許可します。
CSMでは、ボンドベースの設計を採用することが提案されています。ボンドは、不適切な行動(バリデーターのオフライン、スラッシング、MEVの盗用など)に対するカバーとして、またNode Operatorとステーカー間の利害調整メカニズムとして使用できます。
潜在的なパートナーシップ
パーミッションレスモジュールを成功させるには、コミュニティがバリデーターの運用やツールの構築に参加することが重要なステップとなります。そのため、Lido CSチームの貢献者たちは、CSMの利用を促進するツール開発のために、Ethereumエコシステムとのパートナーシップや協力関係を確立することに熱心です。
注目すべきツールの例としては、以下のようなものがあります:
- DappNode
- Avado
- Stereum
- Sedge
- eth-docker
これらのツールは、CSMの利用をより簡単かつ効率的にするために重要な役割を果たす可能性があります。
まとめ
Community Staking Module (CSM) は、Lidoプロトコルの分散化をさらに促進し、個人や小規模なグループがEthereumのステーキングエコシステムに参加する機会を提供する画期的な取り組みです。
パーミッションレスな参加、低いボンド要件、使いやすいUXなど、CSMの特徴は多くのステーカーにとって魅力的なものとなっています。また、Ethereumの将来の機能改善と合わせて、CSMはより安全で効率的なステーキング環境を実現することが期待されています。
今後のテストネットデプロイやメインネットリリースに向けて、Lidoコミュニティの動向に注目が集まっています。Ethereumのステーキングに興味がある方や、すでに個人でステーキングを行っている方は、CSMの導入によってどのような新しい機会が生まれるか、ぜひ注目してみてください。
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