キーボード、JISはUSを兼ねる。説
はじめに
最近、NanoKVM-USBなるものを入手しました。別の機器の映像をPCに取り込んで、キーマウ操作を転送してくれる優れもの、なのですが。この子、USキーボードとしての動作しかサポートしていないらしいんです。ほかにもUS配列しか受け付けないツールは結構ありますし、Live起動のLinuxも既定がUS配列設定だったりします。
しかしながら、私のメイン環境は普通のJISキーボード。そのため、割と頻繁に日本語キーボードでUS配列の入力をするという状況に直面します。刻印は盛大にズレますが、配列さえ覚えてしまえば実用上は何とかなりそうです。
一方、Amazonで安かったリモコン風のミニキーボード。こちらはUS配列。対して、私のPC側ではMicrosoft IMEのキーボードレイアウト設定が「日本語キーボード」のままです。この組み合わせでも、ほとんどの記号は入力可能なのですが。
ここで気付きました。どうやっても打てない記号がある。
理由は単純で、USキーボードのほうが物理的なキー数が少ない からです。
今回は、このJIS配列とUS配列の キーの数 に焦点を当て、少し掘り下げてみたいと思います。
JISキーボードに対する超個人的な思想
これを言うとUSキーボード信者から「理解できない……」と言われるかもしれませんが、私はJISキーボードの配列をかなり気に入っています。
- Enterキーがデカい: 入力の確定に使う大事なキーがあんなに小さいUSキーボードは怖くて(ミニキーボード以外)使ったことがありません!
- Spaceキーが無駄に大きくない: 私、Spaceキーはマウスから持ち替えてもホームポジションから離れることのない左手の親指を使って押すので、USキーボードのように大きい必要って個人的には無いんです。
-
全/半切り換えが専用キーのトグル: こればかりは単に慣れているだけというか変なクセですが、全角入力中に半角Spaceを入れたい時ですら
Shift
+Space
ではなく半/全
->Space
->半/全
という操作をしてます。薬指と親指でシーソー。 - 無変換、変換、かなキーが便利: 変換キーは再変換用に滅茶苦茶使っていますが、余ったキーはIMEオフ/オンに割り当てると便利なんじゃないかなと。
-
記号キーの数が若干多い: 気がする(詳しくは後述)。USキーボードは特に
:
がShift
+;
になってるのが理解できない!!
とは言え、JISキーボードをUSキーボードとして使っていると、この配列もそんなに悪くないなと思ったりも。Enterキーがデカいので(結局それ)
参考記事: https://note.com/kamemushi_works/n/n65ab71ca98ec
キーボードの種類について復習
Microsoft IMEで日本語入力に利用できるキー配列は2パターンですが、それぞれ異なるキー数のキーボードの総称となっているようです。
-
英語キーボード (101/102 キー)
-
ANSI (US) 配列
- 旧来:101(Winキーなし)
- 現行:104(左Win/右Win/Menu の3キー追加)
-
ISO (EU/UK) 配列
- 旧来:102(Winキーなし)
- 現行:105(左Win/右Win/Menu の3キー追加)
-
ANSI (US) 配列
-
日本語キーボード (106/109 キー)
-
JIS (日本語) 配列
- 旧来:106(Winキーなし)
- 現行:109(左Win/右Win/Menu の3キー追加)
-
JIS (日本語) 配列
※109Aは109の記号配置や専用キーの並びの作法をOADG準拠で統一したものなので、此処では109キーボードとして扱います。
※キー数はフルキーボードの場合。テンキーレスやコンパクトは配列ごとに変わります。
USキーボードとJISキーボードを比較してみる
参考記事: https://www.scs.stanford.edu/10wi-cs140/pintos/specs/kbd/scancodes-7.html
USB | Scancode | Japanese | US |
---|---|---|---|
53 | 29 | 半/全 | ` ~ |
31 | 03 | 2 " | 2 @ |
35 | 07 | 6 & | 6 ^ |
36 | 08 | 7 ' | 7 & |
37 | 09 | 8 ( | 8 * |
38 | 0a | 9 ) | 9 ( |
39 | 0b | 0 ~ | 0 ) |
45 | 0c | - = | - _ |
46 | 0d | ^ ~ | = + |
137 | 7d | ¥ | | |
47 | 1a | @ ` | [ { |
48 | 1b | [ { | ] } |
51 | 27 | ; + | ; : |
52 | 28 | : * | ' " |
29 | 2b | ] } | \ | |
135 | 73 | \ _ | |
139 | 7b | 無変換 | |
138 | 79 | 変換 | |
136 | 70 | かな |
USに対してJISで物理的に増えているキー
ANSI/104に対してJIS/109で増えている物理キーは以下の通り。ちゃんと5個です。
- 変換
- 無変換
- かな
- 「¥」「|」キー(US配列にも同様の機能を持つキーがあるが、物理的な認識では別のキー、Returnの上のキーになっている。物理JISだとEnterの左下がそれにあたる)
- 「\」「_」キー
つまり、USキーボードをJIS配列として扱った場合、物理的な差となっている記号キー2つに割り当てられている、\
、|
、_
は打てないことになります。
JISキーボードでだけShift無しで出来る操作
- 「@」専用キー(USでは
Shift
+2
) - 「^」専用キー(USでは
Shift
+8
) - 「:」専用キー(USでは
Shift
+;
) - 「半/全」専用キー(USにはトグル専用キーが存在しない)
USキーボードでだけShift無しで出来る操作
- 「‵」専用キー(JISでは
Shift
+@
) - 「=」専用キー(JISでは
Shift
+-
) - 「’」専用キー(JISでは
Shift
+7
)
比較まとめ
キーは物理的に5つ増えていますが、そのうち4つは機能キーであり、しかも増えたキーの反応の内容は重複している(バックスラッシュと円マーク)ので、Shiftキーなしで打てる記号の種類数は全く同じということが分かりました。記号キーの数が多い気がするのは全くの気のせいでした。
結論
- JISキーボードはUSキーボードとして使えるが、逆は無理。
- JISキーボードは機能キーが多く、Enterキーがデカいことだけが売り。
ってことで良いんでしょうか……?
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