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Satan Clause is Coming to Town

2020/12/25に公開

条項魔王が街にやってくる
条項魔王が街にやってくる
条項魔王が街にやってくる

書いた時点ではクリスマスなので。中身については信頼性を期待しないでください。


条項だらけでややこしい BSD ライセンス

BSD ライセンスってのがあります。いわゆるソフトウェアライセンスの一種で、コピーレフトではない[1]自由なライセンス[2]です。そこそこ GitHub のリポジトリなんかで見かけるライセンスですが、こいつはややこしい事情を一つ抱えています。諸々の歴史的事情に依る亜種の存在です。

Original BSD: 「不快なBSD宣伝条項」

「不快なBSD宣伝条項」とは GNU のいう言葉[3]です。以下、主に GNU 観で話します。

BSD ライセンスシリーズの中でも最初期にあたる Original BSD License (四条項 BSD とも)には、第三条にライセンス本文に自分の名前を埋め込めるといった欠陥がありました。これの意味するところは、ライセンス本文が人によってちょっとずつ変わってしまうため、(Original) BSD ライセンスもどきが大量生産されることです。これを BSD の宣伝条項などといいます。

3. All advertising materials mentioning features or use of this software
   must display the following acknowledgement:
   This product includes software developed by the <organization>.

(Original BSD License の抜粋)

この Original BSD License の問題を解決したのが三条項 BSD ライセンス、もとい Modified BSD License です。更に三条項 BSD ライセンスを簡潔にしたのが FreeBSD License, Zero Clause BSD です。

Modified BSD, FreeBSD, Zero BSD

Modified BSD License は件の宣伝条項が消されています。なので濫造みたいなことにはなりません。

一方で(四条項もそうですが)条件に「このソフトウェアを作った貢献者の名を許可なくプロモーションや製品の保証のために使ってはならない」という条件は残されています。これも削ってしまったのが FreeBSD License で、それを更に単純にして一条項(実質的に無条項)になったのが Zero BSD License です。

また、これら3つのライセンスは Original BSD License と違い GPL と両立します[4]。一方オリジナルの方は両立しません。ただしどれもいわゆる自由ソフトウェア・ライセンスとしては認められます。

ライセンスの実態は長くなるだけなので省略します。FSF とか SPDX の情報見てもらえたら。

条項魔王が街にやってくる

飛ばし記事めいていますがまとめます。

  • 四条項 BSD はライセンス本文の問題により似たようなライセンスが粗製濫造される
  • 粗製濫造問題を解決したのが三条項 BSD
  • もっと単純に、わかりやすくしたのが二条項 BSD(FreeBSD)、無条項 BSD(Zero BSD)

実際よくわからないし、この記事も憶測と GNU のページを前提にまとめてます。なのでこの話は話1/3程度に聞いておき実務などに活用するときはよくよく調べたほうがいいでしょう。さもなくば条項魔王じゃなくて法務部の魔王がやってくるかもしれないので……

脚注
  1. 要は GPL みたいに派生物にも同じライセンスを要求することが義務的ではない。 ↩︎

  2. BSD 系のライセンスでは Modified BSD License など。 ↩︎

  3. https://www.gnu.org/licenses/bsd.ja.html ↩︎

  4. Original のほうは宣伝条項が GPL より厳しい条件とみなされるため GPL と両立しない。 ↩︎

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