ELEGOO MARS 2を使って、stlファイルを3Dプリントする
こんにちは、学部生時代は研究室にある3Dプリンタでくだらないモデルをいっぱい出力していた あかい です🌊
今回、AmazonでELEGOO MARS 2を購入し、何個か課題を解決しながら、
私がメインで利用しているArchLinux端末からプリントが成功しましたので、
その手順を、トラブルシュート中心に共有します。
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手順
- モデリング/stlファイルの準備
- ELEGOO MARS 2のファームウェアアップデート
- ELEGOO MARS 2の組み立て/セットアップ
- CHITUBOXのインストール
- CHITUBOXでstlファイルをctbファイルに変換して保存する
- 印刷
まとめると、 「ctbファイル作るためのソフトをインストールして、stlファイルからctbファイルを作って、プリンタのファームウェアファイルをダウンロードして、ctbファイルとファームウェアファイルを付属のUSBメモリに入れて、プリンタのファームウェアファイルをプリンタで実行して、印刷を実行する」 という流れになります。
モデリング/stlファイルの準備
言わずもがなですが、3Dモデルを印刷するからにはモデルデータ本体が必要です。
ELEGOO MARS 2(以下、本機と呼ぶ) で印刷に利用する ctbファイル の作成には、
CHITUBOX というソフトウェアが必要になってきます。(Win/Mac/Lin対応!)
このソフトウェアでは、 stlファイルやobjファイル などの一般的なモデルデータが読み込めますので、
「flee stl files」などと調べてstlファイルをDLしてきたり、
Blenderでモデリングして、stlファイルをエクスポートするなりして準備してください。
本機を購入すると、付属USBメモリに最初からテスト印刷用データ(ELEGOO MARS 2 Rook Model for Printing Test/_Rock.ctb
)が
入っておりますので、 取り急ぎ試したいというだけの場合はこちらを利用するとよいのですが、実は一つ問題があります。
もしかしたら販売ロットにもよるかもしれないのですが、
現在の本機に入っているctbファイルは古い形式であるためそのまま印刷が可能ですが、
最新のCHITUBOXで生成したctbファイルを読み込めません。
本機LCDでファイルを確認すると、_Rock.cbx
はプレビューが表示されても、
自前のcbxファイルはプレビューされない、という状態になっていると思われます。
もしも_Rock.cbx
ではない、自前のcbxファイルが読み込めるのであれば、
次章 ELEGOO MARS 2のファームウェアアップデート
は読み飛ばしていただいてもよいかもしれません。
ELEGOO MARS 2のファームウェアアップデート
まずはファームウェアのアップデートを行います。
こちらのページ左部メニューから、Mars 2
を選択し、
USER SUPPORT FOR MARS 2
内1 Firmware
からブロックを展開して、
利用するCHITUBOXに対応したバージョンのファームウェアをDLしてください。
(私は最新のV4.4.3-c2_LCDC/1620X2560 /F9.23
をDLしました)
DLしたzipファイルを解凍すると、Machine Firmware
とUI
という二種類のディレクトリが出てくると思いますので、
Machine Firmware
内の3ファイル(update.SH4
/*.gcode.txt
/*.CBD
)を、
付属USBメモリのルートディレクトリに直置き してください。
このあと、USBメモリを本機に差し込み、配置したファイルを update.SH4
> *.CBD
> *.gcode.txt
の順番で
print(印刷)していくことで、ファームウェアの更新が完了するようです。
成功すると、本機のLCDに自前のcbxファイルのプレビューが表示されるようになります。
ファームウェア関連のファイルは一度インストールされた後は、USBメモリ上から削除してしまって構いません。
ELEGOO MARS 2の組み立て/セットアップ
一応セットアップの項目も作成したのですが、私自身がこの辺は別日にやってしまい手順を覚えていないので、
こちらは各位説明書見ながらよしなにやっていただければと思います😥スアセン……
特にハマるところはなかったように思います。
「こんなことあったよー」みたいなコメントがあれば追記するかもしれません。
CHITUBOXのインストール
CHITUBOX はctbファイルを作成するためのソフトウェアです。
では、ArchLinuxにCHITUBOXをインストールしていきます。
(Windows/Macなどの人は、本章は読み飛ばして、各自インストーラーを適当にDLをしてインストールしてください)
私はpacman(yay)で管理したいので、AURからインストールしますが、以下のようなログが表示され、
そのままインストールすることはできません。
$ yay -S chitubox-free-bin
# ~~省略~~
->
-> Please download the archive with ChiTuBox binaries v1.9.0 from https://www.chitubox.com/download.html
-> You can either place it at '/home/akai/.cache/yay/chitubox-free-bin/CHITUBOX_V1.9.0.tar.gz' or '/home/akai//CHITUBOX_V1.9.0.tar.gz'
->
# ~~省略~~
つまり、CHITUBOXのアカウントを作成後、バイナリのダウンロードをして、
ホームディレクトリに置いておく必要があります。
(AURの人たちはDownloads配下って言ってるけど、ログ的にはホームディレクトリ配下なので、
バージョンアップで変わったのかな? https://aur.archlinux.org/packages/chitubox-free-bin/)
以下の手順で対応するバイナリをDLしてください。
(私は前述のログにもある通り、CHITUBOX_V1.9.0.tar.gzをDLしました)
- https://cc.chitubox.com/login からユーザー登録を行い、送られてきたメールでアクティベーションを済ませる
- https://www.chitubox.com/en/download/chitubox-free からLinuxを選択し、でてくるモーダルを数秒待ってContinue
- サインインするとDLが開始される
CHITUBOX_V1.9.0
がDLできたら、これをホームディレクトリ直下に配置することで、
yay -S chitubox-free-bin
のインストールが成功します。
chitubox-free
コマンドでCHITUBOXを実行してみましょう!
CHITUBOXでstlファイルをctbファイルに変換して保存する
私は次の記事を参考にctbファイルを作りました。
かいつまんで説明すると、次の手順です。
- CHITUBOXを起動する
- 右部
設定
> 設定ウィンドウ左上新しいプリンタを追加する
アイコン押下 -
ELEGOO MARS 2
を選択してOK
- 設定ウィンドウ
マシン
タブの反転(鏡像)
をNormal
に変更して、設定ウィンドウを閉じる
- どうやらロットによって反転する場合としない場合があるらしい
- 出力結果がおかしかったら
LCD_mirror
などを試してみるとよいのかも
- stlファイルを読み込み、
回転
/スケール
でいい感じにする - メインウィンドウ右上部のサポートアイコンのタブをクリックし、サポートをいい感じに追加する
- その他諸々設定を眺めていい感じにする(今回は眺めただけで他には何もしなかった)
- メインウィンドウ右上部の設定アイコンのタブをクリックし、
スライス
を押下して保存
で出力
「いい感じ」のあたりに、職人ワザが宿りそうだなと思いました。 何度もチャレンジして経験貯めるの必須です。
印刷
保存したファイルを付属USBに入れ、本機に接続し、print(印刷)メニューから選択してそのまま印刷しましょう。
説明書などにも書いてある通り、トレーの33%程度までレジン液を入れて、印刷を開始してください。
この辺は問題がなければ、特に迷うところはないと思います。
最後に
実際にモデル出力しながら、過程を綴ります。
試行1
おしりの部分がぐちゃぐちゃになってしまいました。
サポートを何個かつけましたが、サイズ感がよくわからず、適当に出力したところ、
あまりにも小さすぎておしりのトゲトゲ部分が表現できなかったようです。
1cm程度で、出力には1時間半ほど要しました。
試行2
前回の反省を踏まえモデルを大きくし、また、サポート材ナシでやってみました。
しかし、2時間ほど経ったビルド50%段階のあたりで異変を感じ、停止して状態を確認……。
ナ、ナンダコレワー!!!
プラットフォームには液体が滴るだけで、何もついておらず、
レジンタンクの底面に平べったくなったカブトガニのような固形物が……。
本モデルは緩やかな球場であるため、サポート材がない場合、プラットフォームへの設置部が極端に少なかったため、
プラットフォームに接着されずそのまま落ちてしまったのでしょうか。
設定で露光時間をデフォルトの2.5sから少し増やすなども対策としてはアリだったかもしれません。
この辺も経験ですね……。
試行3
今度はサポート材もある程度つけて、試行2のときのような形状で再度チャレンジしてみました。
しかし……。
どうやらモデルが大きすぎて、10本程度のサポート材では落ちてしまうようです。
20%すぎくらいに一時停止して見てみたら、半分くらいがサポートから剥がれ落ちてしまい、
試行2のときのカブトガニの形状が下にほぼずり落ちていました。
試行4
「こんだけつければいけるやろーーー!!」とがむしゃらにサポート材を3倍程度にしてみました。
さらにさらに、露光時間
を2.5秒から3秒にし、初期層の露光時間
を35秒から60秒に!!!
流石に絶望しましたね……。
モデルのサイズを変更する際に、サイズを合わせる
ボタンでプラットフォームの最大の大きさにしたので、
大きすぎたのかな?と思い始めました。
試行5
モデルを一回り小さくしました。
そしてここで、サポート材を付与するタブで自動/手動サポート
という項目があることに気づきました。
ここで+ 床面のみ
を押下したところ、自動でズラッとサポート材(と床のようなものが)が付与されました。
デフォルトでいい感じにつけてくれる機能があるんですね…… 経験のない初心者は最初にこれを試すといいかもしれません。
で、できた……。
想定していたより4倍くらい失敗をこなしましたが、なんとか出力できました……。
経験の少ないうちは
露光時間ちょいながめ/サポート材は自動/モデルは大きくしすぎない あたりを意識すると良いかもしれません。
二次硬化を終えて
日の出てる午前のうちに窓辺で二次硬化を行いまして、ある程度乾いた感じになってきてから付属のニッパーでサポート材を切り離しました。
モデルのお腹がぐちゃぐちゃになってますね……。 難しい。
まだまだ色々試すことはありそうですが、3Dプリンターはおもしろいのでどんどん出力して経験を積んでいきたいですね💪
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