Reactの状態管理ライブラリ『Valtio』の環境構築と使い方(Redux や Recoilより簡単)
こんにちは、AIQ株式会社のフロントエンドエンジニアのまさぴょんです!
今回は、Reactの状態管理ライブラリ『Valtio』の環境構築と使い方について解説します。
個人的には、このValtioは、かなりおすすめで、Reduxや、Recoilよりもシンプルで使いやすいです。
Valtioとは?
Valtioは、Reduxや、Recoilと同じくReactの状態管理ツールの1つです。
Reduxや、Recoilと比べて、構文がシンプルであり、使いやすい点が最大の特徴です。
(筆者は、実務で、Reduxも、Recoilも使ったことがあります)
個人的には、このValtioは、かなりおすすめで、日本でもこれから来るのではと考えております。
Valtioの特徴をまとめると、次のとおりです。
Valtioの特徴まとめ
- Proxyベースの状態管理: ValtioはJavaScriptのオブジェクトをProxyでラップし、これらのオブジェクトをState(状態)として管理します。
- Proxyにより、状態の変更を監視し、Reactコンポーネントを再レンダリングすることが可能となります。
- 単純な構文: Valtioはシンプルな構文を提供し、状態を変更するためのAPIが直感的で使いやすいです。
- 非同期サポート: Valtioは非同期操作にも対応しており、非同期関数を使用して状態を変更できます。
- React Suspenseと統合: ValtioはReact Suspenseと統合されており、データの取得が完了するまでフォールバックコンテンツを表示できます。
- 性能最適化: ValtioはReactのコンテキストを使用して、コンポーネントの再レンダリングを最小限に抑えることができ、高性能な状態管理を実現します。
Valtioは、多機能であり、公式のREADMEにて、いろいろな使い方が紹介されていますが、
今回は、状態管理で必須となるState(状態)の定義と、状態のUpdateの部分をご紹介します。
Valtioの環境構築と使い方
まずは、Valtioをプロジェクトにインストールします。
npm install valtio
# または
yarn add valtio
続いて、ValtioのTest用のComponentを作成してみます。
// 1. Valtio の proxy を import する
import { proxy } from "valtio";
// 2. proxy で、状態オブジェクト(State)を作成する
const state = proxy({ count: 0 });
export default function ValtioTest() {
return (
<div>
<p>Count: {state.count}</p>
{/* 3. State を Update する => 直接Stateを参照して、Updateできる */}
<button onClick={() => (state.count += 1)}>プラス</button>
<button onClick={() => (state.count -= 1)}>マイナス</button>
</div>
);
}
Sample Codeでは、最低限の使い方として、
- Valtioの
proxy
をimport
する。 -
proxy
で、状態オブジェクト(State)を作成する。 - StateをUpdateする。
- 直接Stateを参照して、Updateできる。
という最低限のState保持ができるComponentを作成しています。
より実践的なValtioの使い方
ここからは、実際のプロジェクトでValtioを使用している形に近い使い方をご紹介します。
先にどんなファイルを作るかをご説明すると、次のとおりです。
- StoreとStoreで管理するDataの型定義ファイル
- Storeファイル
- Stateを実際に使用する(参照したり、更新したりする)ファイル
StoreとStoreで管理するDataの型定義ファイル
まずは、Storeの型定義ファイルであるstore.d.ts
ファイルを作ります。
これから、作成するValtioのStoreが外部にexport
するStoreの型は、基本的にData参照のためのstates
と、Dataを参照したり、更新したりするためのactions
の2つを保有したObject型になります。
/** 1. Valtio Store の型定義 */
export interface Store {
states: Record<string | number | symbol, any>;
actions: Record<string | number | symbol, (...param: any) => any>;
}
/** 2. Record<string | number | symbol, any> は、次のような Index Signatureの型定義と同様 */
interface StatesType {
[key: string | number | symbol]: any;
}
/** 3. Record<string | number | symbol, (...param: any) => any> は、次のような Index Signatureの型定義と同様 */
interface ActionsType {
[key: string | number | symbol]: (...param: any) => any;
}
続いて、今回使用する会員MemberのDataの型定義ファイルを作成します。
/** Member情報 の型定義 */
export interface MemberType {
id: number;
full_name: string | null; // ユーザーネーム
biography: string | null; // 詳細・説明文
thumbnail: string | null; // プロフィール画像のURL
follows: number | null; // フォロー数
followers: number | null; // フォロワー数
gender: number | null; // 性別
generation: number | null; // 年代
posts: { id: number; title: string; content: string }[]; // 投稿情報・List
}
Storeの定義
次に本丸であるValtio・Storeを作っていきます。
Storeのファイルは、細かい単位で分離して、作成していく方針でいきます。
今回は、「会員Member(Object)のList情報を管理するStore」と、
「現在、詳細情報を確認している会員Member(Object)と、その1つ前・1つ後のMember情報を保持するStore」を作ります。
MemberListStoreファイル
まず、「会員Member(Object)のList情報を管理するStore」は、次のような内容になります。
1つのStoreファイルで、State定義とSetterであるActionsの定義をして、Store Objectにまとめて、export
します。
import { proxy } from "valtio";
import { MemberType } from "../types/member";
import { Store } from "../types/store";
/**
* NOTE: MemberListStore
* => MemberのListを保持する Store
*/
/** 1. States を定義する => 状態オブジェクトを作成する */
export const states = proxy({
/** Member の検索結果・一覧 Data */
memberList: [] as MemberType[],
});
/** 2. Setter を定義する => State を Update する Func */
export const actions = {
setMemberList(v: MemberType[]) {
states.memberList = v;
},
};
/** 3. States(値)と、Actions(Setter) を保持した Store を定義する */
export const MemberListStore: Store = {
states,
actions,
};
export default MemberListStore;
SelectDetailMemberStoreファイル
続いて、「現在、詳細情報を確認している会員Member(Object)と、その1つ前・1つ後のMember情報を保持するStore」は次のような内容になります。
今回でいうと、現在、詳細情報を表示しているMemberの情報から、前後のMember情報を取得するFunctionを定義しています。
import MemberListStore from "./MemberListStore";
import { proxy } from "valtio";
import { MemberType } from "../types/member";
import { Store } from "../types/store";
/**
* NOTE: SelectDetailMemberStore
* => Userが、画面上で、Select して、詳細画面を表示している Member の 情報を保持する Store
*/
export const states = proxy({
selectDetailMember: {}, // Detail 画面を表示中の Select 中の Member
prevMember: {}, // 1つ前の Member
nextMember: {}, // 次の Member
});
/** Setter */
export const actions = {
setSelectDetailMember(currentMember: MemberType) {
states.selectDetailMember = currentMember;
// currentMember の変更後に、他、2つを算出する
computeds.getPrevAndNextMember(currentMember);
},
setPrevMember(prevMember: MemberType) {
states.prevMember = prevMember;
},
setNextMember(nextMember: MemberType) {
states.nextMember = nextMember;
},
};
/**
* Stateの変更の後に 算出する_Functions
* => Vue でいうような Computed のような役割を自作で定義してみる
*/
const computeds = {
/** 現在のDetail表示 Memberの情報から、前後の Member情報を取得する Func */
getPrevAndNextMember(currentMember: MemberType) {
/** 表示中 Member の id */
const currentMemberId = currentMember.id;
/** Memeber の一覧 List */
const MemberList = MemberListStore.states.MemberList;
/** 表示中の Member の index */
const currentMemberIdx = MemberList.findIndex(
(Member: MemberType) => Member.id === currentMemberId
);
/**
* NOTE: 前の Member が取得できる場合は、それをSetする
* => currentMember が、配列の最初であるために、取得できない場合は、配列の最後のユーザーをSetする
* => 循環するようにする
*/
let prevMember = MemberList[currentMemberIdx - 1];
// console.log('prevMember', prevMember);
if (prevMember === undefined) {
// currentMember が、配列の最初であるために、取得できない場合は、配列の最後のユーザーをSetする
prevMember = MemberList[MemberList.length - 1];
}
actions.setPrevMember(prevMember);
/**
* NOTE: 後の Memberが取得できる場合は、それをSetする
* => currentMember が、配列の最後であるために、取得できない場合は、配列の最初のユーザーをSetする
* => 循環するようにする
*/
let nextMember = MemberList[currentMemberIdx + 1];
// console.log('nextMember', nextMember);
if (nextMember === undefined) {
// currentMember が、配列の最後であるために、取得できない場合は、配列の最初のユーザーをSetする
nextMember = MemberList[0];
}
actions.setNextMember(nextMember);
},
};
/** States(値)と、Actions(Setter) を保持した Store */
export const SelectDetailMemberStore: Store = {
states,
actions,
};
export default SelectDetailMemberStore;
Valtio・StoreをReact Component内部で使用する
最後に、Valtio・StoreをReact Component内部で使用する方法のSampleファイルをご紹介します。
このSampleファイルでの処理の特徴をまとめると次のとおりです。
- 定義したValtio・Storeである
MemberListStore
をimport
しています。 - 型定義や、Valtioの
useSnapshot
をimport
しています。 - Reactコンポーネント内で
useSnapshot
を使用してValtio Stateを取得しています。 - React Component から、State を Updateしています。
ちなみに、useSnapshot
は、Valtio Stateの最新のスナップショットをReact コンポーネント内で利用するためのValtio のHooksになります。
React Component内部で使用する方法を伝えたいだけなので、React Component内部の処理は適当ですが、ご容赦ください。
import MemberListStore from "../../store/MemberListStore";
import { useSnapshot } from "valtio";
import { MemberType } from "../../types/member";
const RobotamaFanClub = () => {
/** 1. React Component の内部で、Dataを参照する場合は、 useSnapshot() を使用する */
const memberListStore = useSnapshot(MemberListStore.states);
const memberList = memberListStore.memberList as MemberType[];
const onClickHandler = () => {
/** 2. React Component から、State を Updateする場合 */
MemberListStore.actions.setMemberList(memberList);
};
return (
<div>
<button
onClick={() => {
onClickHandler();
}}
>
State Update
</button>
</div>
);
};
export default RobotamaFanClub;
まとめ
今回は、Test用のMemberのMockデータなどは、用意していませんが、ここまでの説明をしっかりと観てくださった方なら、Valtioの使い方が伝わったと思います。
Valtioは使いやすく、Store内でカスタマイズもしやすくおすすめです。
実務で使いながら、より使い方を深めていき、Zennでもご紹介していきたいと思います。
Recoilについては以前に、こちらの記事で使い方をまとめています。
注意事項
この記事は、AIQ 株式会社の社員による個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。
参考・引用
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