Cursor 2.0で何が起こった? 新LLM「Composer」と新UIを徹底解説
AI搭載コードエディタの最前線を走る Cursor が「Cursor 2.0」 をリリースし、大きな話題を呼んでいます。
今回のアップデートは単なる機能改善にとどまらず、開発体験そのものを変革する可能性を秘めた、2つの大きな柱で構成されています。
- 独自開発の高速コーディングモデル「Composer」 の搭載
- 「マルチエージェント」中心の全く新しいUI への刷新
この記事では、提供された情報を基に、Cursor 2.0で一体何が起こったのか、その詳細とユーザーの反応を徹底的に解説します。
動画での解説もやっているので興味のある方はぜひこちらから!
🧠 新開発の高速LLM「Composer」とは?
今回のアップデートで最大の目玉となるのが、Cursorが独自に開発したコーディングモデル 「Composer」 です。これは、以前ステルスモデルとして存在した「Cheetah」の正式・アップデート版とされています。
特徴1:圧倒的なスピード
Composerの最大の特徴は、その 圧倒的な処理速度 です。
- 公式ブログによれば、「同等の知能レベルのモデル比で 4倍高速」であり、「ほとんどのターンを 30秒未満 で完了する」と謳われています。
- YouTubeのレビューでも「とにかく早い」「サクサク動いて、使用体験が良い」「スピード感がすごい」と絶賛されています。
- Redditのユーザーによる実測比較では、「Claude 4.5 Sonnetより約3倍速い」というデータも共有されており、その速度は本物のようです。
特徴2:コーディング特化の実装能力
Composerは「純粋な知能」で競うモデルではなく、あくまで コーディングに特化 して設計されています。
- 公式ブログでは「大規模なコードベースの理解と作業が格段に得意」と説明されています。
- YouTubeのデモでは、オセロ、ガントチャート、迷路ゲーム といった比較的複雑なアプリケーションのUIやロジックをワンショットで正確に実装しており、特にUI構築能力の高さが伺えます。
- ピカチュウのSVG(画像データ)を描写させた際も、影の付け方など細部までこだわった質の高いコードを生成しており、その実用性が示されました。
弱点:純粋な知能と複雑な思考
一方で、その強みは明確に「コーディング」に絞られています。
- YouTubeのレビュアーは、「純粋な知能のところではない」「複雑な思考とかは本当に足りない」と指摘。
- 論理パズルや社会問題に関する質問、ダジャレといった、コーディング以外のタスクでは、他の高性能モデル(GPT-5やSonnet 4.5など)に劣る回答傾向が見られました。
【Composerの立ち位置】
知性や汎用性で勝負するのではなく、「開発者の指示を爆速でコードに変換する、超高速なコーディング・アシスタント」 という独自のポジションを確立したモデルと言えます。
🎨 UI/UXの大幅変更:マルチエージェント・インターフェース
Cursor 2.0は、見た目も操作感も大きく変わりました。従来の「ファイル中心」のIDEから、「エージェント中心」 の設計思想にゼロから作り直されています。
新機能1:「エージェントモード」と「エディターモード」
Command + E (Macの場合) で、2つのモードを瞬時に切り替えられるようになりました。
- エディターモード: 従来のCursorやVSCodeに近い、コード中心の表示。
- エージェントモード: チャット(指示)画面が中央に配置され、AIエージェントとの対話に集中できます。コードの変更差分は右側に表示され、レビュー(承認・棄却)が可能です。
新機能2:複数モデルの並列実行
今回のUI変更の核となる機能です。複数の異なるAIエージェント(モデル)に、同じタスクを同時に実行 させ、その結果を比較検討できるようになりました。
- 例えば、「Composer 2体」「Grok Code 3体」を同時に起動し、一番良い実装を採用する、といった使い方が可能です。
- 公式ブログも「複数のモデルに同じ問題へ取り組ませ、最良の結果を選ぶことで最終的な出力が大きく向上する」としています。
新機能3:内蔵ブラウザとUIテスト
Cursorエディタ内に ブラウザを直接表示 できるようになりました。
- これにより、フロントエンド開発で「コードを書く → ブラウザで確認する」という画面切り替えが不要になります。
- さらに強力なのが、表示されたブラウザ上の 特定のUI要素を選択し、それをコンテキスト(指示の対象)としてAIに渡せる 点です。「このボタンのデザインを変えて」といった指示が、より直感的になります。
- 公式はこれを「エージェントが自分の作業をテストし、反復できる」機能と説明しており、開発サイクルの高速化に直結します。
新機能4:スピーチモード(ボイスモード)
X(旧Twitter)の投稿やYouTubeレビューで言及されている通り、音声でコードを指示できる「スピーチモード」 も搭載されました。これにより、タイピング不要でコーディングを進める「ボイスコーディング」のトレンドにも対応しています。
🗣️ ユーザーの反応(賛否両論)
この大きな変革に対し、Redditなどのコミュニティでは賛否両論、様々な意見が飛び交っています。
賛(ポジティブな反応)
- Composerの実力: 「Composer-1は最初期待していなかったが、実際に使ったら問題もすぐ解決できて驚いた」「AIが本当にコードを“考えている”レベルに来ている」と、その実用性を高く評価する声が多数あります。
- コストパフォーマンス: 「Composer-1は(同等の性能を持つ)Claude 4.5 Sonnetより4.5倍安い」といった具体的なコスト比較も投稿され、速度とコストのバランスを評価する向きもあります。
否(ネガティブな反応・懸念)
- UIへの戸惑い: 最も多いのがUI変更への不満です。「使いにくくなった」「ルール表示(変更差分)が分かりづらい」「オプションで旧UIに戻したい」という声が目立ちます。
- マーケティングへの批判: 「Composerモデルについての説明が簡素すぎる」「Appleのマーケティングみたいだ」と、公式の説明不足やプロモーション手法への批判もあります。
- 価格設定への不満: 「Composerは安いモデルのはずなのに、Cursor自体の価格設定が高い」「(月額20ドルの)カーソルは高い」と、根源的な価格設定への不満も依然として存在します。
- 複数エージェントの効率: 複数モデルの並列実行機能に対し、「同じ機能を競わせるのは非効率で無駄ではないか」「その場面が少ない」という実用性への疑問も呈されています。
⚖️ まとめ:Cursor 2.0は開発スタイルを変えるか?
Cursor 2.0は、「AIにどう仕事をさせるか」 という、新しい開発スタイルを強力に推進するアップデートです。
爆速の「Composer」モデル は、細かい修正やUI構築をAIに任せ、人間はより上流の設計に集中するという流れを加速させます。
一方で、大胆すぎるUIの変更 は多くの既存ユーザーを戸惑わせており、この新しい「エージェント中心」のワークフローが受け入れられるかどうかが鍵となりそうです。
価格設定(コストパフォーマンス)は依然として課題ですが、AIエージェントによる開発を本気で導入したい開発者にとって、Cursor 2.0は他に類を見ない強力な選択肢となることは間違いないでしょう。
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