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Devin開発の爆速AIモデル「SWE-1.5」がWindsurfに登場

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SWE-1.5は、自律型AIエンジニア「Devin」を開発したCognitionチームが手掛けた、ソフトウェアエンジニアリングに特化した最新のAIモデルです。これまで「速いAI」と「賢いAI」はトレードオフの関係にあると考えられてきましたが、SWE-1.5はその常識を覆し、速度と性能の両立を目指して開発されました。

このモデルは、Cognition社が買収したAIネイティブなIDE「Windsurf」上で利用できます。筆者自身、このモデルの登場をきっかけにWindsurfへの課金を即決するほど、そのポテンシャルに大きな期待を寄せています。単なる高速モデルではなく、開発体験そのものを変革する可能性を秘めた、まさに「素晴らしい」の一言に尽きるモデルです。

https://www.youtube.com/watch?v=J3eRBUJ9G-0

動画でも解説しているので、もしよろしければこちらもどうぞ!

SWE-1.5はなぜ革命的なのか?速度と性能を両立した秘密

SWE-1.5の最大の特徴は、これまで両立が難しいとされてきた「生成スピード」と「コーディング性能」を極めて高いレベルで実現している点にあります。なぜこのようなことが可能になったのでしょうか。その秘密は、圧倒的なトークン生成速度、主要モデルを凌駕する性能、そして独自の開発思想に隠されています。

他を圧倒する毎秒950トークンの生成スピード

SWE-1.5は、1秒あたり最大950トークンという驚異的な生成速度を誇ります。これは、他の主要AIモデルと比較してもまさに「桁違い」のスピードです。例えば、Claude Sonnetが約70トークン/秒、GPT-5が約43トークン/秒である中、SWE-1.5はその10倍以上の速度を叩き出します。

この速度は、高速推論プロバイダーであるCerebras社との提携によって実現されており、プロンプトを入力した瞬間にコードが生成される感覚は、まるでリアルタイム通信のようです。この圧倒的なスピードは、開発者の思考を妨げず、「フロー状態」を維持したまま作業に集中できる環境を提供。開発効率を飛躍的に向上させる大きな要因となっています。

主要AIモデルを上回るコーディング性能

https://x.com/AI_masaou/status/1984190278505500707?ref_src=twsrc^tfw|twcamp^tweetembed|twterm^1984190278505500707|twgr^dad053b4db0cdc1404d55d96d581a5fb68213939|twcon^s1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fmasa_wunder%2Fn%2Fn66402bb89b83

SWE-1.5は、ただ速いだけのモデルではありません。エージェントとしてのコーディング能力を測る高度なベンチマーク「SWE-Bench Pro」において、GPT-5やAnthropic Haikuを上回るスコアを記録しています。これは、スピードを追求しながらも、タスクを正確に理解し、質の高いコードを生成する能力を兼ね備えていることの証明です。

多くの開発現場では、単純なコード生成だけでなく、既存のコードベースを理解し、修正や機能追加を行う複雑なタスクが求められます。SWE-1.5は、こうしたエージェント的なタスクにおいても高いパフォーマンスを発揮するため、実用的な開発パートナーとして非常に有望視されています。

開発思想「モデルと周辺環境の統合設計」とは

SWE-1.5の強さの根源は、「モデルと周辺環境の統合設計」という開発思想にあります。これは、LLM(大規模言語モデル)単体を強化するだけでなく、モデルが動作する「エージェントハーネス」と呼ばれる周辺環境(ツールやプロンプトなど)まで含めて一体で最適化するという考え方です。

DevinやWindsurfの開発で培ったノウハウを活かし、モデルとハーネスを共同で進化させることで、ツールの呼び出し精度やタスクの実行能力が向上。結果として、ベンチマークスコア以上に、実際の開発現場での「総合的な体験」が格段に良くなっています。この統合的なアプローチこそが、速度と性能の両立を可能にした最大の秘密と言えるでしょう。

AIモデルと、それを取り巻くツールや環境(エージェントハーネス)が歯車のように噛み合って一体で最適化されている様子を描いた概念図イラスト。

SWE-1.5の実力をデモで徹底検証

SWE-1.5が持つポテンシャルは、実際のデモを見ることでより深く理解できます。ここでは、論理的思考力を試すクイズから、デザイン要素の強いSVG生成、そして複雑なロジックを要するゲーム開発まで、多角的な検証結果を紹介します。

論理的思考力は?複雑なクイズへの回答精度

まず、モデルの基礎的な思考力を測るため、いくつかのクイズを出題しました。SWE-1.5の特徴的な点は、複雑な問題に対してまずToDoリストを作成し、計画を立ててから回答を生成する点です。これにより、ステップバイステップで着実に結論へと導きます。

ステップ・バイ・ステップで思考が求められる複雑なクイズには正解したものの、日付の計算間違いを誘う問題や、言葉遊びのようなダジャレ問題は苦手なようでした。結論として、「人間を超えるような超知能」ではありませんが、開発タスクを遂行するために必要な「実用的な賢さ」は十分に備えていると言えるでしょう。

実用性は?SVG・LP・UIコンポーネントの生成例

次に、Web開発で頻繁に利用されるUIコンポーネントやデザイン要素の生成能力を検証しました。

SVG生成: 人気キャラクター「ピカチュウ」のSVG生成を依頼したところ、特徴的な耳の黒い部分や頬の赤い丸など、要点を押さえた画像を生成できました。

LP(ランディングページ)生成: プログラミングスクールのLPを作成させたところ、最低限の構造を持つページが生成されました。UIデザインの洗練度では他のモデルに軍配が上がるかもしれませんが、ベースとなるコードを爆速で得られる点は大きな利点です。

UIの見た目には改善の余地があるものの、これはAIが出力したものを人間がチューニングすることが前提となるため、大きな問題ではありません。むしろ、内部のコードを高速に生成してくれることの価値が非常に高いと言えます。

SWE-1.5の使い方と料金体系

SWE-1.5は、AIネイティブIDE「Windsurf」から利用することができます。Windsurfに登録し、チャットやコード生成機能でモデルとして「SWE-1.5」を選択するだけで、その圧倒的なスピードと性能を体験できます。

料金体系はクレジット制となっており、SWE-1.5は1回の利用あたり「1クレジット」で実行可能です。これは、Claude Sonnet 4.5が2クレジット必要であることを考えると、非常にコストパフォーマンスが高い設定と言えます。

さらに、Windsurfでは現在、キャンペーンでGPT-5 Codexが無料で利用できるなど、開発者にとって魅力的な環境が提供されています。SWE-1.5の登場により、Windsurfは多くの開発者にとって主要な開発ツールの一つになる可能性を秘めています。

まとめ

本記事では、Devinチームが開発した爆速AIモデル「SWE-1.5」について、その性能の秘密から具体的な実力までを徹底的に解説しました。

SWE-1.5の革命的な点は、以下の3つに集約されます。

  • 毎秒950トークンという圧倒的な生成スピード
  • GPT-5をも上回る高いコーディング性能
  • モデルと周辺環境を統合して最適化する独自の開発思想

速度と性能という、これまでトレードオフとされてきた2つの要素を高いレベルで両立させたSWE-1.5は、間違いなく今後のAI駆動開発における「新しいゲームチェンジャー」となる可能性を秘めています。

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