GeoJSONからベクタータイルを作成してTiling Serviceから配信する
GeoJSONからベクタータイルを作成してTiling Serviceから配信する
はじめに
アイディオットCTOの小倉です。
今回は、GeoJSONファイルからベクタータイルを作成して、MapboxのTiling Serviceから配信する方法についてお話します。
目的
MapboxのソースとしてGeoJSONファイルを利用する場合、大量のデータを扱う場合にはパフォーマンスの問題が発生することがあります。
そのため、大量のデータを効率的に配信するためには、ベクタータイルを作成して配信する方法が有効です。
ベクタータイルとして配信することで、データの取得や描画のパフォーマンスを向上させることができます。
必要なもの
- Mapboxのアクセストークン (後述)
- GeoJSONファイル
- 今回は地理院地図で作図した簡単なGeoJSONファイルをサンプルとして扱います。
アクセストークンについて
権限について
Mapboxのアクセストークンはコンソールから発行できます。
付与する権限は以下の通りです。
- TILESETS:LIST
- TILESETS:READ
- TILESETS:WRITE
環境変数へのセットについて
後ほど実行するコマンドでは --token オプションによりトークンを利用することも可能ですが、環境変数へセットする場合は下記のコマンドを実行してください。
$ export MAPBOX_ACCESS_TOKEN=pk.**********
実行環境の準備
今回はDockerで実行環境を用意します。以下はdocker-compose.ymlとDockerfileの内容です。
python:
container_name: 'python'
image: python
environment:
MAPBOX_ACCESS_TOKEN: $MAPBOX_ACCESS_TOKEN
build:
context: .
dockerfile: ./Dockerfile
volumes:
- ./:/var/www/src
tty: true
FROM python:3
USER root
RUN apt-get update
RUN apt-get -y install locales && \
localedef -f UTF-8 -i ja_JP ja_JP.UTF-8
ENV LANG ja_JP.UTF-8
ENV LANGUAGE ja_JP:ja
ENV LC_ALL ja_JP.UTF-8
ENV TZ JST-9
ENV TERM xterm
RUN apt-get install -y vim less
RUN pip install --upgrade pip
RUN pip install --upgrade setuptools
RUN pip install mapbox-tilesets
# to use `tilesets estimate-area`
RUN apt-get install -y gdal-bin libgdal-dev
RUN pip install "mapbox-tilesets[estimate-area]"
# Move to Document Root
WORKDIR /var/www/src
変換について
GeoJSONファイルからベクタータイルの作成の流れは以下のようになります。
(1) GeoJsonファイルをアップロードしてtileset-sourceを作成する。
(2) recipeを用意する。
(3) アップロードしたGeoJsonファイルをタイルセットに変換する。
(4) タイルセットをpublishする。
(5) 利用する。
(1) GeoJSONファイルをアップロードしてtileset-sourceを作成する。
コンテナにアクセスし、下記のコマンドでGeoJSONファイルをアップロードします。
$ tilesets upload-source [mapboxユーザー名] [任意のtileset-source名] [GeoJSONファイルのパス]
ex) $ tilesets upload-source aidiot_dev sample-source ./sample.geojson
アップロードに成功すると、tileset-sourceのIDが出力されます。
(2) recipeを用意する。
次にrecipeファイルを作成します。
こちらはどのようにtileset-sourceデータからベクターファイルを生成するかを定義したファイルになります。
recipeの中で、minzoomとmaxzoomを指定することで、どのズームレベルまで表示するかを指定することができます。
※ ただしmaxzoomを超えたら非表示となるわけではなく、overzoomにより表示は行われます。
以下の内容を sample-recipe.json
として保存します。
{
"version": 1,
"layers": {
"hello_world": {
"source": "{先ほど出力されたtileset-sourceのID}",
"minzoom": 0,
"maxzoom": 5
}
}
}
注意点として、maxzoomが6以上の値は課金額に影響するため、適切な値を設定することが重要です。
課金額はこちらでシミュレーションができるので、一定のズームレベルで詳細なタイルセットを必要とする場合は事前によく検討してください。
またコンテナ内で下記のコマンドでgeojsonファイルを対象として、課金額のシミュレーションに必要な面積の見積が出ます。
# precision = 10m, 1m, 30cm, 1cm
$ tilesets estimate-area ./sample.geojson -p <precision>
ex) $ tilesets estimate-area ./sample.geojson -p 10m
{"km2": "266925", "precision": "10m", "pricing_docs": "For more information, visit https://www.mapbox.com/pricing/#tilesets"}
(3) アップロードしたGeoJsonファイルをタイルセットに変換する。
recipeを使用して、下記のコマンドでタイルセットを作成します。
$ tilesets create {mapboxユーザー名}.{任意のtileset ID} --recipe {レシピファイルへのパス} --name "{任意のtileset名}"
ex) $ tilesets create aidiot_dev.sample-tileset --recipe ./sample-recipe.json --name "sample-tileset"
(4) タイルセットをpublishする。
最後に、タイルセットをpublishします。
$ tilesets publish {mapboxユーザー名}.{任意のtileset ID}
ex) $ tilesets publish aidiot_dev.sample-tileset
無事タイルセットが作成され配信されると、mapbox Studioで確認することができ、Tileset IDも取得できます。
- Tilesets一覧へ追加されている
- 詳細を見ると、見づらいですが、サンプルで作成した矩形がmap上に表示されています。
(5) 利用する。
以下は作成したタイルセットの利用の実装例になります。
map.addSource('sample-source-id', {
type: 'vector',
url: 'mapbox://{Tileset ID}',
})
map.addLayer(
{
id: 'sample-layer-id',
type: 'fill',
source: 'sample-source-id',
'source-layer': 'sample_tileset', // source-layerはrecipeで指定したレイヤー名
paint: {
'fill-color': '#ff0000',
'fill-opacity': 0.5,
},
},
'waterway-label',
)
まとめ
というわけでGeoJSONファイルからベクタータイルを作成し、Tiling Serviceから配信する方法をご紹介いたしました。
今回は手動により行いましたが、自動化も可能かと思います。
以前、こちらの記事でGeoJSONの生成方法をご紹介いたしましたが、
合わせることでシステム上からアップロードしたshapefileをGeoJSONに変換し、ベクタータイルとして配信することが可能となるかもしれません。
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