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東北大学流体科学研究所の低乱風洞でプロペラの風洞実験を行いました

2025/01/27に公開

概要

2024年10月7日から11日にかけて、東北大学流体科学研究所の低乱風洞を用いてプロペラの風洞実験を行ってきました。実験では、6分力天秤を用いて、プロペラの推力だけでなく、空気抵抗やモーメントも詳細に計測しました。非常に正確な風洞試験が可能です。
風速やプロペラの角度、プロペラの回転数を変化させ、様々な条件下でのプロペラの性能を評価しました。

目的

この実験の目的は、新型機体のプロペラの選定です。形状の異なるプロペラや、特性の異なるモーターの様々な組み合わせにおいて、風速、流入角度、プロペラの回転数を変化させたときに、推力、空気抵抗、モーメントといった要素がどのように変化するかを調査しました

低乱風洞とは

東北大学流体科学研究所の低乱風洞は、流体関連の基礎および応用研究を目的とした施設です。この風洞は、低乱れ・低騒音・気流の一様性が非常に高く設計されています。密閉型測定部では、断面が対辺1mの正八角形をしており、最大70m/sの風速 が得られます。また、開放型測定部では、対辺0.8mの正八角形で最大80m/sの風速が可能です。
特に注目すべきは、密閉型測定部において、気流の乱れ強さが0.02%以下という非常に低い数値を示す点です。このような極めて安定した気流は、世界的にも優れた性能を誇り、層流から乱流への遷移の研究や、産業界での製品開発など、精密な流体実験に大きく貢献しています。

実験内容

今回の試験では、大きく分けて二つの実験を行いました。
一つはプロペラとモーターの相性の評価で、もう一つは、流速と流入角度が空力特性に与える影響の調査です。
28inch前後の市販のプロペラを用意し、KV値が120~260のT-motor製のモーターをいくつか用意して相性評価をしました。
また、VZ28のプロペラと、MN805S KV150のモーターの組み合わせで、流速や流入角度を変化させて空力特性を取得しました。
使用したESCは、T-motor製のFLAME80Aです。


ちなみに、プロペラ後流がロードセルやケーブルに当たるとあまり良い結果が得られないので、逆向きにプロペラを取り付けています。

結果


上記結果は、それぞれ流速20m/sのときに、流入角度を変化させたときの推力及びピッチングモーメントの結果です。
横軸にPWM、縦軸に推力[N]とモーメント[Nm]を示しています。
モーメントが使用したロードセルの定格を超えそうになったので、一部最大回転数まで計測が行えませんでした。
やはり流入角度によって、空力は大きく変化するということがわかりました。

Discussion