💨

塩水がブラシレスモーターに与える影響の調査

2025/02/24に公開

概要

海上や沿岸地域でマルチコプターを飛行させるときに、やはり塩害の影響がどこまであるのか、気になります
そこで、今回はブラシレスモーターに焦点を当てて、どの部分にどのような影響がでてくるかを調査してみました
あくまでもJISなどで定められているような正確な試験ではなく、ざっくりとした評価になってしまうので、参考程度です

塩水浸漬試験

海水の塩分濃度は約3%です
そこで、今回はより影響を加速させるため、5%の濃度の塩水を作りました
500mlの水に25gの塩を混ぜます
塩は伯方の塩です

容器に適量塩水を入れ、そこにモーターを浸漬しました
より奥まで塩水が入るように、モーターを逆さまにしました

特に乾拭きなどはせずに、そのままタッパーに入れて、経過観察します

経過観察

試験から4日後
外観は特に変化なし
手でモーターを回そうとすると、少し抵抗を感じた
内部が錆びている感じ

試験から10日後
外観は特に変化なし
手でモーターを回そうとすると、抵抗を感じた
内部が錆びている感じ
4日後よりも抵抗は大きい

試験から約3週間後
外観は特に変化なし
結構力を入れないと手でモーターが回らない
明らかに内部が錆びている感じ

分解

内部がどのようになっているか確認するため、分解します
タッパーからモーターを取り出して少しすると、表面が乾き始めて塩が現れてきました

下カバーのねじ

錆びているのか、ねじロックなのか

下カバーを外したところ




塩はついているが、特に錆が顕著に出ている部分はない
やはりコイルのワイヤはコーティングされているので、あまり影響を受けないのか

下側のベアリングカバーを外してみた


やはりこの中に塩水が入り込んでいました
完全に錆びています

上側のベアリングも気になるので、インナーとアウターを外してみました


インナーの上から


アウター

上下二つのベアリング両方内部まで錆びていると思っていましたが、そうではありませんでした
なぜか、上側のベアリングは内部までしっかり錆びていましたが、下側のベアリングは、シールドの外側は錆びていましたが、内部は錆びていませんでした
種類が違うのかと思いましたが、型番は同じでした
下側のベアリングはプラスチックのカバーがついていましたが、上側のベアリングの部分は切り返しがついているような、ラビリンスシールのような構造になっていました
モーターを逆さまにして浸漬したので、上側のベアリングの部分はしっかりと塩水で浸漬されたが、下側のベアリングの部分は、プラスチックのカバーのおかげで、そこまで塩水が入ってこなかったのかと思われます

それから、もう一つ錆びるポイントとして気になったのが、鉄心とマグネットの部分です




この隙間にも塩水が入り込み、腐食が進んだと考えられます

まとめ

ブラシレスモーターが塩害によって腐食する部分は、ベアリング部分と、鉄心とマグネット部分であることがわかりました
ワイヤやその半田部分が気になるところでしたが、ワイヤはコーティングされているおかげか、半田部分はしっかりと収縮チューブで覆われていたおかげか、あまり気になるような部分は見つかりませんでした
もちろん個体差があるので、ワイヤの半田部分などはちゃんと覆われていないものもあるかもしれないので気を付ける必要があります
あと、今回の試験はモーターを逆さまにして浸漬するという、普通はあり得ないようなことをしているので、もしかしたら上側のベアリングはそこまで腐食しない可能性もあります

Discussion