Google Merchant Center RAAP機能のご紹介
はじめに
こんにちは。イオンスマートテクノロジー株式会社(AST)TechLeadチームの石川です。
本記事はAEON Advent Calendar 2025の8日目の記事です。
本記事ではGoogle Merchant CenterのRAAP(地域別の在庫状況と価格を設定する)という機能について、まだあまり日本語での紹介記事がなかったため、テックからは少し逸れますがご紹介したいと思います!
Google Merchent Center / RAAP とは
まずGoogle Merchant Centerとはなにか?
これは自社の商品情報をGoogleに連携することによって、Google検索、Googleマップ、YouTube、Googleショッピング、Google画像検索結果などに商品情報を掲載できる仕組みです。


このように商品の掲載自体は無料で行えるようになっており、有料広告として販促を強化することも可能な仕組みとなっています。
RAAP (Regional availability and pricing)とは
RAAPはGoogle Merchant Centerの機能の一つであり、Regional availability and pricingの略称で、Google Merchant Center上での地域別の価格や在庫の設定を可能にする機能となっています。
地域別の在庫状況と価格は、Merchant Center Next で利用できるアドオン機能です。(中略)この機能を使用すると、全国を対象とした在庫状況や価格に対する地域別オーバーライドを指定して、店舗の所在地と購入者の居場所に基づいた商品の在庫状況と価格を表示できます。
出典:地域別の在庫状況と価格を設定する - Google Merchant Center ヘルプ
例えば、全国配送可能なECサイトであれば地域ごとに価格や在庫を柔軟に変更したいというニーズは少ないかもしれませんが、ネットスーパー等であれば同一の商品でも店舗ごとに在庫や価格などが異なるため、地域ごとに在庫・価格を変更可能なRAAPの機能が非常に有用となります。
また、Googleの掲載商品を閲覧するユーザにとっても、ユーザの該当地域で利用可能な商品のみが表示されるため、該当しない地域の商品情報が表示されたり、それによってリンクを辿っても商品が購入できないといったような体験を防ぐこともできます。
地域の設定
RAAPでは地域ごとに価格・在庫を設定できるため、まずは地域の設定が必要となります。
地域は次の要素によって定義されます。
郵便番号や州 / 都道府県で定義される地理的エリア。
各地域を一意に識別する地域 ID。地域別の在庫フィードで地域を示すために使用されます。
出典:地域を設定する | 地域別の在庫状況と価格を設定する - Google Merchant Center ヘルプ
例えば、ネットスーパーなど店舗ごとに配送可能な郵便番号が決まっている場合は、1店舗を1地域として設定し、その店舗で配送可能な郵便番号群を地域の範囲として定義することが可能です。
なお、本記事ではこちらのケースに沿ってご説明をするため、RAAPで管理する地域ID(region_id)は、自社のシステム内部で管理する店舗IDと同一の値を設定し、その地域には該当店舗の配送先郵便番号のリストを登録するという想定で進めさせていただきます。
設定例:

全国を対象とした商品フィードと地域別の在庫フィードの設定
RAAPでは全国を対象とした商品フィード(以下、全国対象商品フィード)と地域別の在庫フィード(以下、地域別在庫フィード)をそれぞれ設定する必要があります。
全国対象商品フィードと地域別在庫フィードの設定パターンには以下のようなパターンがあります。
- 商品が一部の州やエリアを除いて、国内全域で提供されている場合
- 商品が国内全域ではなく、一部の州やエリアでのみ提供されている場合
- 一部またはすべての州やエリアで地域別の価格が商品に設定されている場合
- 商品が国内全域ではなく、一部の州やエリアでのみ提供され、地域別の価格が設定されている場合
出典:地域を設定する | 地域別の在庫状況と価格を設定する - Google Merchant Center ヘルプ
なお本記事では「商品が国内全域ではなく、一部の州やエリアでのみ提供され、地域別の価格が設定されている場合」を例にご説明します。
このケースでは、全国対象商品フィードは在庫our_of_stock、価格は標準的な価格を設定、地域別在庫フィードでは店舗ごとに価格と在庫を設定します。
設定例:

このように設定することで、該当の商品は全国向けの取り扱い商品ではなく、地域単位でのみ購入が可能な商品として設定可能となります。
商品リンクの設定
全国対象商品フィードには商品リンクを設定する必要があります。
実際のユーザアクセスやGoogleクローラからのアクセスはこの商品リンク先へ流入し、さらに地域別の商品へのアクセス時にはregion_id(地域ID)のクエリパラメータが付与された状態でアクセスされます。
本記事のケースでは、地域別在庫フィードでしか在庫を設定していないため、常にregion_idパラメータが付与された状態でアクセスされるのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、Googleの公式ドキュメント上には下記のように記載されています。
全国を対象とした商品の価格と在庫状況のクロールと検証には、引き続き地域 ID のない商品ページの URL が使用されます。
出典元:ランディング ページを設定する | 地域別の在庫状況と価格を設定する - Google Merchant Center ヘルプ
そのため、例え全国対象商品フィードに在庫がなくとも、実装上ではregion_idなしのパターンでのアクセスについても考慮が必要ということになります。
では、実際にregion_idクエリパラメータあり/なしのそれぞれのパターンについて、どういった商品画面を準備する必要があるについてご説明します。
なお、後続の説明を単純化するため本記事では商品リンクをhttps://example.com/products/{商品ID}のように定義します。
region_idクエリパラメータなしの場合の商品画面
アクセス先URL:https://example.com/products/{商品ID}
本記事のケースでは全国対象商品フィードをout_of_stockとしているため、基本的にこちらのページに来るアクセスはGoogleのクローラからのみという想定になります。
基本的には下記の通り、国内共通のURLランディングページは全国を対象とした商品の価格や在庫と一致する必要があると記載がありますが、私が個人的に観測した範囲では、国内共通のURLランディングページには商品情報のみを表示し在庫・価格は記載しないというパターンもあったため、こちらはケースバイケースといった感じかもしれません。
このような国内共通の URL のランディング ページに表示される値は、全国を対象とした商品の価格や在庫状況と一致している必要があります。
出典元:ランディング ページを設定する | 地域別の在庫状況と価格を設定する - Google Merchant Center ヘルプ
画面イメージ:

region_idクエリパラメータありの場合の制御
アクセス先URL:https://example.com/products/{商品ID}?region_id={店舗ID}
こちらは実際のGoogle上の掲載商品からのユーザ流入時のURLとなります。
Google側によって判別されたユーザに紐づく地域の商品がGoogleの掲載商品として表示され、ユーザはその商品をクリックしregion_idが付与された状態でアクセスを行います。
そのため、region_idクエリパラメータが設定されている場合には、該当の地域に紐づく商品の在庫や価格を表示する必要があります。
なお、本記事のケースでは地域=店舗と定義しているため、サイト上では店舗に紐づく商品情報が表示される想定となっています。
画面イメージ:

おわりに
今回の記事はGoogle Merchant CenterのRAAP機能についてのご紹介記事でした。
RAAPについては意外と国内の記事がみつからなかったため、この記事がどなたかの助けになれば幸いです!
また、今回はあまりTechに寄った記事ではなかったので、次回の記事ではすこしTech寄りの記事がかければと思いますのでお楽しみに。
最後まで見ていただいてありがとうございました!
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