🤖

ハイブリッドAIマッチングシステムの設計思想

に公開

はじめに

AIマッチングシステムの要件整理を行う中で、
「単なるレコメンドでは不十分」
「AI任せは不安だが、人手だけではスケールしない」
という課題に直面しました。

最終的にたどり着いた結論は、AIとルールベースの強みを組み合わせた
ハイブリッド型マッチングシステムが最も柔軟で信頼性を確保できるということでした。

この記事では、その設計思想と得られた学びを整理して紹介します。

なぜ「キーワードマッチ」では不十分なのか

今回検討したマッチングの文脈では、A(募集情報)とB(応募者側の情報)は
それぞれが自由記述で書かれるケースが多く、内容の粒度や表現の仕方がバラバラでした。

このような場面では、従来のキーワードマッチだけでは次のような問題が起こります。

❌表現の揺れに弱い
同じ意味でも書き方が異なると一致しない。

❌文脈的に関連する内容を拾えない
例えば「新商品の情報提供」と「素材提供の相談」のように、実は関連性があるのにキーワードが一致しないため候補に挙がらない。

❌ユーザー側のどれに応募すべきか分からないという課題を解決できない
表面的な単語一致の結果だけでは、似た案件の違いや本当に自分に合う案件が判断しにくい。

その結果、本来マッチすべきAとBの組み合わせを取り逃してしまい、
可能性の幅が狭くなってしまうという問題がありました。

実用性を高める3つのAI技術とその役割

今回考えたのは、下記の3つを組み合わせることでそれぞれが異なる役割を担い弱点を補い合うといったものです。

1. 協調フィルタリング (CF)過去の「実績」に基づく確実性

📝役割
過去の実績に基づく確度の高い提案

  • 過去の成功パターンを分析し、「行動傾向が似たユーザーの成功実績」に基づいてスコア生成
  • データが蓄積されている領域では高精度で堅実な推薦が可能

🧠担当する思想 「確実性」

2. セマンティック・マッチング (LLM)文章の「意味」に基づく網羅性

📝役割
文章の意味を理解して新しい可能性を発掘

  • LLM による文脈理解を用いて、AとBの内容を意味ベースで比較
  • コールドスタート(データ不足)でCFが性能を発揮できない場合にも有効

🧠担当する思想 「網羅性」

3. 生成AI(LLM)次のアクションの「壁」を取り除くサポート

📝役割
マッチング後の行動開始を支援

  • AとBの内容を踏まえ、次のアクションにつながる文章(例:提案文、メッセージ草案)を自動生成
  • ユーザーがすぐ動ける状態を作り、成果につながりやすくなる

🧠担当する思想 「UX向上」と「行動率最大化」

まとめ

今回の提案書作成で学んだことは、完璧な単一のAIは存在しないということです。

AIの強みをかけ合わせる「ハイブリッド設計」によって、信頼性と網羅性を両立したビジネスの成果に繋がるシステムが生まれるのだと感じました。

また今回の件で、技術がビジネス課題を解決するロジックを深く考える貴重な経験になりました。
この記事が少しでも誰かの参考になれば嬉しいです!

株式会社アクトビ

Discussion