ECサイトでの酒類販売の表記について調査した!
ECサイトでの酒類販売において、酒類販売免許の掲示に加えて、年齢確認に関する表記は重要な要素となっています。
今回は、オンラインショップでよく見られる年齢確認の表記パターンについて調査しました。
国税庁の表記
まずは国が定めている表記を確認してみましょう。
酒類の通信販売における表示
7 酒類小売販売場において酒類の通信販売(商品の内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う商品の販売をいう。)を行う場合には、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を表示するものとする。
(1) 酒類に関する広告又はカタログ等(インターネット等によるものを含む。) 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨
(2) 酒類の購入申込者が記載する申込書等の書類(インターネット等により申込みを受ける場合には申込みに関する画面) 申込者の年齢記載欄を設けた上で、その近接する場所に「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨
(3) 酒類の購入者に交付する納品書等の書類(インターネット等による通知を含む。) 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」旨
8 前項に掲げる事項は、明瞭に表示するものとし、表示に使用する文字は、10ポイントの活字(インターネット等による場合には酒類の価格表示に使用している文字)以上の大きさの統一のとれた日本文字とする。
Webでの販売に必要な部分を要約すると...
- 「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨の記載が必要な項目
- 広告又はカタログ等
- 購入者の年齢記載欄の付近
- 酒類の購入者に交付する納品書等のメールなどの通知
- 上記の記載はECでは酒類の価格表示に使用しているフォントサイズ以上の大きさの統一の取れた日本文字を使用
- 購入者の年齢記載欄を設ける
なんとなくわかった。
では実際酒類販売を行っているECサイトを調査してみます。
酒類販売サイトの調査結果
まず以下の点
「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨の記載が必要な項目
- 広告又はカタログ等
- 購入者の年齢記載欄の付近
サイトによって表示場所が色々と違いました。
商品詳細を例に挙げると以下のようなパターンがありました。
▼商品概要の中にあるパターン
▼フッターにあるパターン
購入時に商品概要はまだ読む可能性は高いですが、フッターに記載されていても目につかないなと思いました。
次にこちら
上記の記載はECでは酒類の価格表示に使用しているフォントサイズ以上の大きさの統一の取れた日本文字を使用
上記の記載とは「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」又は「20歳未満の者に対しては酒類を販売しない」旨のことです。
調査してみたところ、請求金額など明瞭さが必要な価格表示はフォントサイズが大きいため、商品一覧や確認ページで表示されている小さめの価格表示のフォントサイズに合わせているサイトが多かったです。
▼例
元々酒類販売するつもりなく価格表示も基本的に大きなフォントサイズにしているサイトが酒類販売に対応する場合、注釈を価格表示のフォントサイズに合わせるか、価格表示を注釈のフォントサイズに合わせるかのどちらかになるかと思います。
価格表にフォントサイズを合わせる場合、フォントサイズが大きくなり注釈の文章の明瞭さが欠ける可能性があるため、酒類販売を行う可能性も考えてECサイトのデザインを行った方が良さそうです。
最後にこちら
購入者の年齢記載欄を設ける
実際の生年月日入力や年齢入力をさせる他に「私は20歳以上です。」のチェックボックスにチェックを入れさせる手法も多かったです。
▼イメージ
調査結果の結論
調査をしてみたのはいいものの、サイトによって法的に必要な表示方法が統一されているわけではなく、それぞれの解釈によりまちまちな部分が多い印象でした。
結局どうしたら一番法的に安全なデザインになるのか?と思っていたら国税庁のパンフレットがありました。
「酒類の通信販売における表示」のページで、以下の内容がイメージ付きで表示されているためわかりやすいです。
- 酒類販売管理者標識の内容
- ECのTOP画面や購入ページでの注釈の表記
- 年齢確認のフォーム形式
まとめ
酒類販売のECサイトを作る際に、これはいいのかな?と迷うことがあれば、国税庁のパンフレットイメージに沿ってデザインを作るのが一番安全そうです!
また、そもそも年齢確認はどこで行えばいいのか?のような疑問に対しては、すでに多くの酒類販売サイトの運営実績がある、ShopifyやGMOメイクショップなどのECサイトを開業できるサービスを使用しているサイトを調査してみることをお勧めします。
ツナグ行政書士事務所さんのブログでは、酒類の通信販売について年齢確認以外にも以下の要点がまとめられているのでこちらも参考になります。
- 通信販売では対面での年齢確認ができないため、年齢確認方法の詳細を申請時に計画書に記載する必要がある
- 民法改正後も酒類販売における年齢制限は20歳のまま
- 通信販売で取り扱える商品は一定の条件(製造数量3,000kl未満の国産酒など)に限定される
https://tsunagu-office.net/archives/10859
民法改正後の対応
令和元年6月27日に今まで「未成年」と記載されていた部分が全て「20歳未満」に書きえられました。
これは以前、成人年齢が18歳に下げられましたが、飲酒が可能なのは20歳からなのでその際に表記が修正されたようです。
「未成年」という表記はしないでおきましょう!
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