Agentforce構築からリリースまでやってみた
Agentforceとは
Agentforceとは、自律的にタスクを実行するAIエージェントを構築・展開するためのSalesforceの新しいプラットフォームです。従来のAIアシスタント(Copilot)がユーザーの指示を待つのに対し、AgentforceはAI自身が状況を判断し、ユーザーに代わって能動的に業務を行うことができます
分かりやすく言うと、「自分の意志で働くAI社員」のような存在というイメージです。
Salesforce内のデータを検索して要約したり、AIチャットボットとしてサイト上で顧客とやり取りをしたり、活用できる幅は非常に広いです。
Agentforce構築準備
早速Sandboxでエージェントを構築していきたいのですが、すぐに構築できるわけではありません。
まず事前準備として以下対応を行います。
DataCloud を有効化
-
「DataCloud管理者」権限セットを付与
-
「Data Cloud 設定ホーム」からDataCloudを接続
※数分かかります。
Einstein を有効化
「Einstein 設定」から、Einstein を有効化します。
Agentforce を有効化
「Agentforce エージェント」から、Agentforceを有効化します。
これで準備完了です。
エージェント構築
それでは実際にエージェントを構築していきます。
今回はSalesforceを利用する営業ユーザーを想定し、「レコード内容を要約してくれる」エージェントを構築してみます。
新規エージェント作成
-
「Agentforce エージェント」から「+ 新しいエージェント」を押下します。
-
今回は営業ユーザー向けの業務サポートエージェントを作るので、「Agentforce Employee Agent」を選択し「次へ」進んでください。
-
トピックとして選択できるものは、初めは「General FAQ」しか無いのでそのまま「次へ」進んでください。
-
エージェントの名前、API参照名などを入力します。(全て必須入力)
※「拡張イベントログを使用して会話の記録を保持し、エージェントの動作を確認してください」を☑すると、DataCloudにデータログを残していくことができます。(DataCloudのクレジットを使用します)
-
データソースも今回は無しで「作成」を押下してください。
エージェントビルダーで編集
エージェントが作成されると以下のような「エージェントビルダー」画面が開きます。ここでエージェントができることを設定していきます。
- 「トピック」の「新規」から「新規トピック」を押下します。
トピック とは
トピックは、AIエージェントがどのような対話のテーマや問い合わせに対応できるかを定義するものです。いわば、AIエージェントの「得意な会話の範囲」を設定するものです。
簡単に言うと、「対話のテーマ(What)」を決めるもの、というイメージです。
-
とりあえず実現したいことを書いてみます。
すると、「手順」等にすでにプロンプトが入力されているので今回はそのまま使います。
この部分でこのトピックにおいてエージェントに何をしてもらいたいのかを定義しています。
エージェントを使ってみて、あまり思ったような返答が来ない場合に、まずここをチューニングすることで返答が変わることがあるので、割と重要な設定箇所になります。
-
アクションは選択する必要があるようですので、今回は以下を追加します。
・Get Record Details
・Identify Object by Name
・Identify Record by Name
アクション とは
アクションは、トピックに関連付けられ、エージェントが具体的に実行する個々のタスクや処理を指します。ユーザーとの会話内容に応じて、システム上で何かを実行するための「具体的な行動」です。
つまり、トピックに対する「具体的な実行処理(How)」というイメージです。
トピックが追加されました。
-
使用する言語を日本語に変更します。
-
試しに会話をしてみます。右側の「会話プレビュー」からメッセージを送信します。(会話前に会話プレビュー右上の「更新」ボタンを押すと設定内容が反映された状態でプレビューできます。)
要約がされて返ってきました!
- 最後にエージェントを有効化します。
エージェントを利用するための権限セット作成
では実際にエージェントを利用してみたいところですが、エージェントを有効化しただけでは利用することができません。権限セットを作成してユーザーへ割り当てます。
作成したエージェントを「有効になっているエージェント」に移動して保存します。
この権限セットを利用ユーザーに割り当てた後ホーム画面へ移動して、右上のエージェントマークからエージェントを起動してみると、、、
エージェントを起動できました!
リリース
変更セット作成
初回リリースの場合、以下コンポーネントが必須です。
機能 | メタデータAPI名 | 備考 |
---|---|---|
ボット | bot | エージェントの基本設定 |
ボットバージョン | botVersion | エージェントのバージョン(変更セットのコンポーネント追加画面で「連動関係を参照/追加」から選択) |
生成 AI プラグイン定義 | genAiPlugin | エージェントで使用しているトピック |
生成 AI プランナー定義 | genAiPlannerBundle | トピックとエージェントのハブ |
権限セット | permissionset | エージェント利用のために作成した権限セット |
こちらを変更セットに追加して、リリース環境へアップロードしてください。
リリース環境事前設定
事前にSandboxでも行った以下対応を行います。
- DataCloud を有効化
- Einstein を有効化
- Agentforce を有効化
変更セットリリース
リリース環境で変更セットを検証し、エラーがなければリリース可能ですのでリリースを進めます。
リリース後対応
リリースが完了したら以下の対応が必要です。
-
エージェント有効化
リリースしてすぐの状態ではエージェントは無効化状態なので、ビルダーを開いて有効化してください。
-
権限セットにエージェントを割り当て
エージェントの権限セットをリリースしても、リリース先の組織で対象のエージェントが有効化になっていなければ、リリース後に有効化し、権限セットにもエージェントアクセスを追加する必要があります。
-
権限セットを利用ユーザーに割り当て
最後に、エージェント利用ユーザーに権限セットを付与してください。
まとめ
Agentforceは、Salesforce内で自律的に動作するAIエージェントを構築できる強力なツールです。
今回は簡単な仕様を構築しましたが、より業務に寄り添った構築をすることで日々の業務をサポートして効率化してくれるAIエージェントを導入することができます。
リリースまでいろんな手順がありますが、段階的に進めればそこまで難しくはありません。
注意が必要なのは、事前準備の段階でDataCloud、Einstein、Agentforceの有効化が必要なことと、リリース時には普段あまり使用しない複数のメタデータコンポーネントを含める必要があることです。
Agentforceの活用により、営業活動の効率化や顧客サポートの自動化など、様々な業務改善が期待できます。ぜひ、この機会にAgentforceの導入を検討してみてください。
Discussion