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Salesforceの「繰り返し行動」を正しく理解してData Loaderで一括作成しよう

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はじめに

Data Loaderを使用して、Salesforceの「繰り返し行動」を一括作成する方法について解説します。

そもそも、Salesforceの「行動(Event)」とは、予定や実際に行った面談・打ち合わせなどを記録するスケジュール情報のことです。
カレンダーの予定のように、日時・場所・関係する取引先や商談などを登録して、営業活動を時系列で管理できます。

本記事では、ClassicとLightning Experience(以下、Lightningと称する)での「繰り返し行動」の違いも含めて、Lightningでの繰り返し行動の設定手順を紹介します。

繰り返し行動とは?

繰り返し行動は、同じパターンで繰り返し発生する会議やイベントを、一度の操作で複数の行動レコードとして作成できる機能です。世の中にあるカレンダーツールでもよく見る機能ですよね。
Salesforceのカレンダーに登録する行動でも実際に設定できます。


例:毎週金曜日に進捗共有MTGをするためSalesforceカレンダーで「繰り返し」設定

ClassicとLightningでの繰り返し行動の違い

Salesforceでは、ClassicとLightningで繰り返し行動の仕組みが異なります。

項目 Classic Lightning
主要な項目 定期的な活動の ID(RecurrenceActivityId) 繰り返しパターン(Recurrence2PatternText)
管理方式 親行動と子行動の関係で管理 繰り返しパターンで管理
繰り返し項目 定期的な行動を作成(IsRecurrence) 繰り返し(IsRecurrence2)
フラグの説明 繰り返すようにスケジュール指定されているかを判定 繰り返すようにスケジュール指定されているかを判定
APIバージョン - APIバージョン44.0以降で使用可能
繰り返し項目がtrueの場合に必要な項目 繰り返しの終了(RecurrenceEndDateOnly)
繰り返しの開始(RecurrenceStartDateTime)
繰り返し種別(RecurrenceType)
繰り返しパターン(Recurrence2PatternText)
パターン指定の柔軟性 制限あり より柔軟(RRULE形式を使用)
推奨 - 現在推奨されている方式

本記事では、Lightningの 繰り返しパターン(Recurrence2PatternText) を使用した方法を中心に解説します。

RRULE形式とは

RRULE(Recurrence Rule)は、iCalendar標準(RFC 5545)で定義されている繰り返しパターンを表現するための形式です。SalesforceのLightningでは、Recurrence2PatternText 項目にこのRRULE形式で繰り返しパターンを指定することで、柔軟な繰り返し行動を作成できます。

RRULE形式の特徴

  • 標準規格: iCalendar標準に準拠しているため、他のカレンダーアプリケーションとも互換性があります
  • 柔軟性: 日次、週次、月次、年次など、様々な繰り返しパターンを表現できます
  • 詳細な制御: 特定の曜日、日付、回数、終了日時などを細かく指定できます

RRULE形式の基本構文

RRULE形式は、セミコロン(;)で区切られたパラメータの組み合わせで構成されます。

FREQ=頻度;BYDAY=曜日;COUNT=回数

または

FREQ=頻度;BYDAY=曜日;UNTIL=終了日時

主要なパラメータ

FREQ(頻度)

  • 繰り返しの頻度を指定します
  • 値: DAILY(毎日)、WEEKLY(毎週)、MONTHLY(毎月)、YEARLY(毎年)

BYDAY(曜日)

  • 繰り返しが発生する曜日を指定します
  • 値: MO(月曜日)、TU(火曜日)、WE(水曜日)、TH(木曜日)、FR(金曜日)、SA(土曜日)、SU(日曜日)
  • 複数指定する場合はカンマ区切りで指定します
  • 例: MO,WE,FR

COUNT(回数)

  • 繰り返しの回数を指定します  例: COUNT=10 は10回繰り返します

UNTIL(終了日時)

  • 繰り返しルールが停止する日時を指定します
  • 形式: YYYYMMDDTHHMMSSZ(UTC形式) 例: UNTIL=20251231T235959Z は2025年12月31日23時59分59秒(UTC)まで繰り返します

RRULE形式の設定例

例1: 毎週月曜日と水曜日に10回繰り返す

FREQ=WEEKLY;BYDAY=MO,WE;COUNT=10

説明:

  • FREQ=WEEKLY: 毎週繰り返し
  • BYDAY=MO,WE: 月曜日と水曜日
  • COUNT=10: 10回で終了

適用例:

  • 開始日が2026年3月2日(月曜日)の場合

  • 3月2日(月)、3月4日(水)、3月6日(月)、3月8日(水)...と10回繰り返されます

例2: 毎月第1金曜日に6回繰り返す

FREQ=MONTHLY;BYDAY=1FR;COUNT=6

説明:

  • FREQ=MONTHLY: 毎月繰り返し
  • BYDAY=1FR: 第1金曜日(1は第1週、FRは金曜日)
  • COUNT=6: 6回で終了

適用例:

  • 開始日が2026年5月1日(第1金曜日)の場合
  • 5月1日、6月5日、7月3日、8月7日、9月4日、10月2日の6回繰り返されます

よく使用されるパラメータの組み合わせ

週次パターン

パターン RRULE形式 説明
毎週月曜日 FREQ=WEEKLY;BYDAY=MO;COUNT=10 毎週月曜日に10回
毎週月水金 FREQ=WEEKLY;BYDAY=MO,WE,FR;COUNT=15 毎週月水金に15回
平日のみ FREQ=WEEKLY;BYDAY=MO,TU,WE,TH,FR;UNTIL=20251231T235959Z 平日のみ、年末まで

月次パターン

パターン RRULE形式 説明
毎月1日 FREQ=MONTHLY;BYMONTHDAY=1;COUNT=12 毎月1日に12回
毎月第1月曜日 FREQ=MONTHLY;BYDAY=1MO;COUNT=12 毎月第1月曜日に12回

年次パターン

パターン RRULE形式 説明
毎年1月1日 FREQ=YEARLY;BYMONTH=1;BYMONTHDAY=1;COUNT=5 毎年1月1日に5回
毎年12月25日 FREQ=YEARLY;BYMONTH=12;BYMONTHDAY=25;COUNT=10 毎年12月25日に10回

注意点

  1. COUNTまたはUNTILの必須指定: どちらか一方を必ず指定してください。指定しないと無期限に繰り返されます
  2. UTC形式の日時: UNTIL パラメータはUTC形式(YYYYMMDDTHHMMSSZ)で指定する必要があります
  3. 曜日の指定: BYDAY で複数の曜日を指定する場合は、カンマ区切りで記述します
  4. 月の週番号: BYDAY=1MO は第1月曜日、BYDAY=-1FR は最終金曜日を意味します
  5. 複数の要素を指定: 複数のパラメータの指定時は「;」(セミコロン)で区切る

RRULE形式を使用することで、Data LoaderでSalesforceに繰り返し行動を作成できます。基本的な構文を理解し、よく使用されるパターンを覚えておくことで、様々な繰り返しパターンに対応できるようになります。


Data Loaderで繰り返し行動を作成する手順

繰り返し行動(Event)をInsert

Data Loaderで繰り返し行動を作成する際に、以下の項目を指定します。
必須項目は以下の表に記載しています。その他の必要な項目を任意で設定してください。

項目名(API名) 説明 備考
開始日時(StartDateTime) 繰り返し行動の開始日時を指定 各繰り返し行動の開始日時もこの値が基準となる
終了日時(EndDateTime) 繰り返し行動の終了日時を指定 各繰り返し行動の終了日時もこの値が基準となります
所有者(OwnerId) 行動の所有者となるユーザーを指定 ユーザーIDを指定
件名(Subject) 行動の件名を指定 -
繰り返しパターン(Recurrence2PatternText) 繰り返す行動のパターンを指定 詳細は前述の「RRULE形式とは」に記載

以下のシナリオを元に実践

2025年11月12日(水)から毎週月曜と水曜に10:00~11:00で「要件定義MTG」を実施するのでまとめて行動を作成したい。MTGは第10回まで開催される。

①表の項目を指定したcsvファイルを作成

②Data Loaderで行動を作成したい環境にログイン
②-1「Insert」を選択
②-2「行動(Event)」を選択、流し込むcsvファイルを選択
②-3「csvファイルのヘッダー項目」[1]と「Salesforceのオブジェクトの項目」をマッピング

③Salesforce環境の「カレンダー」を確認

1回分の情報のみで10回分の行動を作成できました!!!


さいごに

Classicでは「親+子」の構造のため、繰り返し設定が簡単にできていましたが、開発・移行・メンテナンス面では複雑な構造でした。
一方Lightningでは繰り返し行動の内部モデルが整理され、設計/移行/運用/自動化の観点で扱いやすい構造へと進化しています。

「RRULE式」など一見とっつきにくく感じますが、柔軟かつ設計者目線の仕組みとなっております。
繰り返し行動のデータ移行を検討する際は、Classic の運用ロジックをそのまま持ち込むのではなく、Lightning の繰り返しモデルを前提に検討することをお勧めします。

脚注
  1. csvファイル作成時にヘッダー項目をSalesforceの項目のAPI名と一致させておくと、「Create or Edit a Map」で自動で正確なマッピングが可能です ↩︎

株式会社アクトビ

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