Genspark AI Slides を試してみた

はじめに

Genspark が新たに発表した「AI Slides」エージェントは、スライドのトピックを入力するだけで、関連情報のリサーチから構成案の作成、さらにはデザインまでを自動で行ってくれる画期的なツールです。
発表直後から AI 界隈やビジネスシーンで注目を集めており、「これは試してみるしかない！」と感じ、早速その実力を検証してみました。本記事では、実際に使ってみた体験をもとに、その機能や可能性、そして現時点での課題についてレポートします。

この記事は、Genspark AI Slides を実際に試した筆者の個人的な体験と感想に基づいています。

Genspark AI Slides とは？

Genspark AI Slides は、一言でいうと「モダンプロフェッショナル向けの全自動スライド作成ツール」です。使った感じだと、センシティブな情報を使わなくて済むスライド作成は、もう全部任せて良いのでは、というレベルになってきています。
主な特徴は以下の通りです。

• トピック入力だけで完結: スライドで扱いたいテーマやキーワードを入力するだけで、AI が自動で以下のステップを実行します。
  1. リサーチ: Web 検索などを通じて関連情報を収集・分析します。
  2. 構成作成: 収集した情報をもとに、論理的で分かりやすいスライド構成案を作成します。
  3. デザイン適用: 事前に用意されたテンプレートを適用し、視覚的に整ったスライドを生成します。
• 情報ソースの参照: 必要に応じて、コンテンツの根拠となった Web ページなどの情報ソースを参照することができます（※プロンプトや設定によります）。
• ファイルの取込: ExcelやWordやPDFなどをアップロードすると、それらを熟読してサマリ作成や推論までしてくれます。
• PDF 形式で出力: 生成されたスライドは PDF 形式でダウンロード可能です。

質の高いスライドを効率的に作成したいと考えているすべての人にとって、強力なアシスタントとなり得る可能性を秘めています。

使ってみた：筆者の２つの試用例

百聞は一見に如かず。実際に Genspark AI Slides を使って、2つの異なるタイプのスライドを作成してみました。

試用例1：Web 情報から会社紹介スライドを作成

まずは、特定の Web サイト情報を元にした会社紹介スライドの作成を試みました。

• 実行したプロンプト:

    アクセンチュアジャパンを紹介するプレゼンテーションスライドを作成して

• 出力された PDF:
  生成されたスライド（PDF）
  

• スライドのクオリティと気づき:

  • ほぼ何も考えていないプロンプトで指定した内容を元に、 Web上の内容を勝手にリサーチして、事業内容や理念といった要素をスライドの各ページに割り振って構成してくれました。構成力は高いと感じます。
  • デザインも統一感があり、最低限の見た目はすぐに整います。デザインに時間をかけられない場合には非常に助かります。
  • 一方で、企業のブランドイメージに合わせた細かいトーン＆マナーの調整や、強調したいポイントの視覚的な調整は、一発自動生成だけではさすがに難しい印象です。グラフの数値も何を意味するのか分かりませんし、少しごみのような文字も表紙に残っており、生成されたものをベースに、手動で調整を加えるのが現実的かもしれません。

試用例2：政府統計データから洞察スライド＋アペンディクスを作成

次に、公開されている統計データ等のドキュメントを元に、グラフを含む分析系のスライド作成に挑戦しました。

• 実行したプロンプト:

添付した政府の調査・統計情報を基に、洞察と示唆のスライドを作成していください。 また、その洞察や示唆の理由を、グラフや因果関係をまとめた表、思考フレームワークの適用などを行って、分かりやすくまとめたスライドをアペンディックススライドとして付けてください。

• アップロードしたファイル（政府統計データ等）:
  
  このような３つの公開データをアップロードしてみました。

味気ないPDFの何かの調査結果概要

お堅いExcelデータ

お堅いExcelデータその2

• 出力された PDF:
  生成された統計分析スライド（PDF）
  

• グラフ・表の自動生成と気づき:

  • プロンプトで指示したのは、目的も何もない、資料内容を確認して良い感じのスライドを作ってくれと言わんばかりの指示でしたが、これでここまでのスライドが作れるのに驚きました。
  • データの解釈に基づいた簡単な洞察や、社会経済への影響に関するテキストも生成され、そのまま何等かの発表等で十分使えるレベルでした。
  • グラフについても、見栄え良くスライド内に収めてくれており、センスの良さすら感じました。

機能レビュー：良かった点・改善希望点

実際に使ってみて感じた、Genspark AI Slides の良い点と、今後の改善に期待したい点をまとめます。

良かった点 👍

• 圧倒的な時短効果: リサーチ、構成案作成、基本的なデザイン適用までを自動化できるため、スライド作成の初期工程にかかる時間を大幅に削減できます。
• リサーチ・構成の精度: Web 検索やドキュメント読込みに基づき、関連性の高い情報を収集し、論理的な構成を提案してくれる点は高く評価できます。
• デザインの自動配置: 専門的なデザイナースキルがなくても、一定レベルの見た目のスライドがすぐに手に入ります。

利用上の注意点

一方で、AI が生成したコンテンツを利用する際には、以下の点に注意が必要です。

• ファクトチェック: AI が収集・生成した情報の正確性は、必ず人間が確認する必要があります。特に、統計データや専門的な内容については、出典元の情報と照らし合わせるなどの検証が不可欠です。
• 著作権・引用ルール: AI が参照した情報ソースの著作権に配慮し、引用ルールを遵守する必要があります。
• 機密情報・個人情報: 機密性の高い情報や個人情報をプロンプトに入力することは避けるべきです。ツールの利用規約やプライバシーポリシーを確認しましょう。
• 過信は禁物: 現状では、AI がすべてを完璧にこなしてくれるわけではありません。あくまで「優秀なアシスタント」と捉え、最終的な判断や調整は人間が行うという意識が重要です。

まとめ

Genspark AI Slides は、スライド作成におけるリサーチ、構成、デザインの初期段階を劇的に効率化してくれる、非常にポテンシャルの高いツールだと感じました。
まだ日本語対応やデザインの細部調整など、改善の余地はありますが、その基本的なコンセプトと実行力は目を見張るものがあります。特に、以下のような方には試してみる価値が大いにあるでしょう。

• 資料作成のアイデア出しや構成案作成に時間がかかっている方
• デザインに自信がない、または時間をかけられない方
• 定型的なスライド作成業務を効率化したい方

AI による資料作成は、今後ますます進化していく分野だと思われます。Genspark AI Slides のようなツールをうまく活用することで、私たちはより本質的な業務や創造的な活動に時間を使うことができるようになるかもしれません。

興味を持たれた方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか？