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WindowsでClaude Codeを使う3つの方法を徹底比較

https://docs.anthropic.com/ja/docs/agents-and-tools/claude-code/overview
Anthropic社が提供するエージェント型コーディングツール「Claude Code」は、ターミナル上で自然言語の指示を通じて、コードベースの理解、ファイル編集、バグ修正、テスト実行、Git操作などを支援してくれる強力なツールです。Windows環境でこのClaude Codeを活用するには、主にWindows Subsystem for Linux (WSL) を利用した以下の3つの方法が考えられます。

  1. WSLに直接インストールし、ターミナルで操作する
  2. WSL上のDocker/Podmanコンテナで devcontainer up を利用する (VSCode Dev Containers CLIなどを利用)
  3. WSL上のDockerコンテナとVSCode拡張機能「Dev Containers」を利用する

本記事では、これら3つの方法それぞれの特徴、強み、弱みを、専門用語を解説しつつ比較・解説します。

1. WSLに直接インストールし、ターミナルで操作する

これは最もシンプルな方法です。WSL (Windows Subsystem for Linux) を有効にし、そのLinux環境 (例: Ubuntu) にNode.jsとnpm (Node Package Manager) をインストールした後、npmコマンドを使ってClaude Codeをグローバルにインストールします。

# WSLのターミナル上で実行
npm install -g @anthropic-ai/claude-code

# プロジェクトディレクトリに移動して実行
cd /path/to/your/project
claude

詳細手順は下記記事を参照してください。
https://zenn.dev/acntechjp/articles/eb5d6c8e71bfb9

特徴

  • セットアップ: WSLとNode.js環境があれば、npmコマンド一つで比較的手軽に導入できます。
  • 実行環境: Claude CodeはWSL環境で直接動作し、WSLからアクセス可能なファイルシステム上のプロジェクトを操作します。
  • リソース: ホストOS (Windows) のリソースをWSL経由で直接利用します。

強み

  • 手軽さ: セットアップが最も簡単で、すぐに使い始められます。
  • シンプルさ: Dockerやコンテナに関する知識が不要です。
  • パフォーマンス: コンテナのオーバーヘッドがないため、理論上は最もパフォーマンスが良い可能性があります。
  • ファイルアクセス: WSLからWindows側のファイルにもアクセスしやすいため、既存のプロジェクトにも適用しやすいです。

弱み

  • 環境汚染: ホストのWSL環境に直接インストールするため、他のツールやプロジェクトとの間でNode.jsやライブラリのバージョン競合が発生する可能性があります。
  • 再現性の低さ: 開発環境の構成が個々のマシンに依存するため、チームメンバー間で環境を完全に一致させることが難しくなります。
  • 依存関係管理: プロジェクトごとに異なるバージョンのNode.jsやツールを使いたい場合、nvm (Node Version Manager) などで別途管理する必要があります。

2. WSL上のDocker/Podmanコンテナで devcontainer up を利用する

この方法では、DockerやPodmanといったコンテナ技術を利用して、Claude Code専用の隔離された実行環境を構築します。プロジェクト内に .devcontainer フォルダを作成し、devcontainer.json (環境定義) や Dockerfile (コンテナイメージ構築手順) を記述します。そして、devcontainer up コマンド (Dev Containers CLI) などを使ってコンテナを起動し、そのコンテナのターミナルに接続してClaude Codeを実行します。

Claude Codeの公式リポジトリにも .devcontainer の設定が含まれており、このアプローチが想定されていることがわかります。

// .devcontainer/devcontainer.json の例 (一部抜粋)
{
  "name": "Claude Code Dev Container",
  "build": {
    "dockerfile": "Dockerfile"
  },
  "features": {
    // 必要なツールを追加
  },
  "postCreateCommand": "npm install -g @anthropic-ai/claude-code",
  "remoteUser": "node"
}

詳細手順は下記記事を参照してください。
https://zenn.dev/acntechjp/articles/fc111da7542e00

特徴

  • 環境定義: devcontainer.jsonDockerfile で開発環境(OS、ミドルウェア、ツール、拡張機能など)をコードとして定義します。
  • 隔離性: コンテナ技術により、ホスト環境や他のプロジェクトから隔離されたクリーンな環境でClaude Codeを実行できます。
  • 再現性: 定義ファイルに基づいて誰でも同じ環境を構築できます。
  • 操作: コンテナを起動後、docker execpodman exec、または devcontainer exec コマンドなどでコンテナ内のターミナルに入り、claude コマンドを実行します。

強み

  • 環境の隔離: ホストOSや他の開発環境を汚染しません。バージョン競合のリスクを最小限に抑えられます。
  • 環境の再現性: チームメンバー全員が全く同じ開発環境を容易に構築・利用できるため、環境差異による問題を回避できます。
  • 依存関係の明確化: プロジェクトに必要なツールやライブラリが Dockerfile に明記されるため、依存関係が明確になります。
  • セキュリティ: コンテナ内で実行するため、ホストシステムへの影響を限定できます(公式ドキュメントでも言及)。

弱み

  • 学習コスト: Docker/PodmanおよびDev Containersの基本的な知識が必要です。
  • セットアップ: WSL直接インストールより手順が多く、初期設定に時間がかかります。
  • リソース消費: コンテナを動作させるためのオーバーヘッド(ディスク容量、メモリ)が発生します。
  • 操作の複雑さ: コンテナを起動し、その中のターミナルに接続して操作するという一手間が必要です。

3. WSL上のDockerコンテナとVSCode拡張機能「Dev Containers」を利用する

この方法は、2番目の方法をベースにしつつ、Visual Studio Code (VSCode) の強力な拡張機能「Dev Containers」を最大限に活用するアプローチです。VSCodeがコンテナの起動、管理、接続をシームレスに行い、まるでローカル環境で開発しているかのように、コンテナ内の環境でVSCodeの全機能(ターミナル、デバッガ、拡張機能など)を利用できます。

プロジェクトに .devcontainer フォルダと設定ファイルを用意する点は2番目の方法と同じですが、VSCodeが「Reopen in Container」といった機能を提供し、ユーザーはコンテナの存在を強く意識することなく開発に集中できます。

具体的な手順を記事にしていませんが、VSCodeが慣れている方にとっては、比較的に容易に構築できるはずです。

特徴

  • VSCode統合: VSCodeがコンテナ環境と深く統合されます。VSCodeのターミナルを開けば、それは自動的にコンテナ内のターミナルになります。
  • シームレスな体験: コンテナの起動や接続、ポートフォワーディングなどをVSCodeが自動で行い、開発者はコンテナ操作の詳細を意識する必要がほとんどありません。
  • 環境定義・隔離性・再現性: 2番目の方法と同様に、devcontainer.jsonDockerfile で定義され、高い隔離性と再現性を持ちます。

強み

  • 最高の開発体験: VSCodeの機能をフル活用しつつ、コンテナのメリット(隔離性、再現性)を享受できます。ターミナル操作もVSCode内で完結します。
  • 環境の完全な一致: 開発、デバッグ、テスト、そしてClaude Codeの実行まで、すべて定義されたコンテナ環境内で行われるため、環境差異の問題を最も効果的に排除できます。
  • チーム開発に最適: チームメンバー全員がVSCodeとDev Containers拡張機能を使っていれば、環境構築の手間を大幅に削減し、開発効率を高められます。
  • 複雑な環境構築の簡略化: データベースや他のサービスコンテナとの連携なども devcontainer.json で定義でき、複雑な開発環境もコードで管理できます。

弱み

  • 依存ツールの多さ: VSCode、Docker、Dev Containers拡張機能が必須となります。
  • 学習コスト: DockerとDev Containersの知識に加え、VSCodeの操作にも慣れている必要があります。
  • リソース消費: 3つの方法の中で、VSCode自体のリソース消費も加わるため、最も多くのリソース(CPU、メモリ、ディスク)を必要とする可能性があります。
  • 初期設定の複雑さ: .devcontainer の設定を最適化するには、ある程度の試行錯誤が必要になる場合があります。

まとめと比較

項目 1. WSL直接インストール 2. WSL + Docker/Podman + devcontainer up 3. WSL + Docker + VSCode Dev Containers
セットアップ容易性 高い 低い 中程度 (VSCodeが支援)
環境の隔離性 低い 高い 高い
環境の再現性 低い 高い 高い
VSCode統合 限定的 なし (手動接続) 完全
学習コスト 低い 中程度 (Docker/Dev Containers) 高い (VSCode/Docker/Dev Containers)
リソース消費 低い 中程度 高い
チーム開発適性 低い 高い 非常に高い

どの方法を選ぶべきか?

  • 個人開発で、手軽に試したい、環境汚染をあまり気にしない場合: 1. WSL直接インストール が最も手軽です。
  • 環境の再現性や隔離性を重視したい、チーム開発で環境を統一したい、VSCode以外のエディタも使う可能性がある場合: 2. WSL + Docker/Podman + devcontainer up が適しています。Docker/Podmanの知識があれば、堅牢な開発基盤を構築できます。
  • VSCodeをメインの開発環境としており、最高の開発体験と環境の再現性を両立したい、チーム開発の効率を最大化したい場合: 3. WSL + Docker + VSCode Dev Containers が最適です。初期設定の手間はありますが、長期的な開発効率は最も高くなるでしょう。

このGWにかけてWindowsをClaude Codeでどのように動かすか試行錯誤していましたが、3つ目のVSCodeのExtension「DevContainers」を使う方法が個人的に一番しっくりきました。この記事に記載したとおり、WindowsでClaude Codeを活用する方法はいくつかあるので、みなさんが置かれている環境やみなさんのスキルを見てどのアプローチにするか決めて試していただけると嬉しく思います!

Accenture Japan (有志)

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