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2025年3月 生成AI→AIエージェント 知っておくべき全知識と未来戦略

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はじめに

2025年現在、AIの進化は「生成AI」から一歩進み、「AIエージェント」と呼ばれる自律型のタスク実行へと急速にシフトしつつあります。
この記事では、AIエージェントの概要と主要な技術動向を整理するとともに、注目すべき導入のポイントや実装のヒントを紹介します。AIエージェントが本格化し始めたこのタイミングで、技術やツールをキャッチアップしておくことは大きなアドバンテージとなるでしょう。
この記事を通して生成AI→AIエージェントへの移り変わりを体感してほしいのと、みなさんの業務や私生活の何かのヒントになれば幸いです。

AIエージェントとは

AIエージェントとは、従来の生成AIのように質問に答えるだけでなく、自ら考えて計画を立て、自律的に行動する次世代のAI技術です。
特徴は以下の通りです。

  • 自律的な行動:人間が細かく指示しなくても、自分で判断し作業を進めます
  • 積極的な環境との関わり:外部のシステムやAPIと連携し、複雑な業務やワークフローを独自に管理します。
  • 推論・計画・実行の能力
    • 推論:情報から状況を理解し、適切な判断をします
    • 計画:目標達成のために複数の手順を立てます。
    • 実行:計画に沿ってツールやソフトウェアを操作し、タスクを進めます。
  • 自己改善能力:過去の行動を振り返り、将来の行動を最適化します。
    こうしたAIエージェントの登場により、調査・分析だけでなく「継続的な業務アシスタント」としての活用が具体的に視野に入っています。

AIの急速な変化

AIエージェントを語る前に、これまでのAIの急速な変化について見ていこうと思います。

生成AIモデルの変遷

2022年にOpenAIからChatGPTが公開されて以降の、OpenAI, Anthropic, Googleの生成AIモデルの変遷を整理しました。ここ数年の変化の凄まじさと、特に2024年のGPT-4o以降のスピード感がものすごいことがわかります。印象としては、Reasoningモデルと呼ばれるo1が登場して以降、AIでできることが広がって来ています。

リリース日 OpenAI Anthropic Google
2022年11月 ChatGPT(GPT-3.5)公開。対話特化の無料チャットボットとして提供開始 - -
2023年03月 GPT-4 リリース(第4世代GPT、テキスト+画像入力対応、精度と多様性向上) Claude 1 初公開(クローズドベータで提供開始) -
2023年07月 - Claude 2 リリース(一般公開、100Kトークン長文対応) -
2023年12月 - - Gemini 1.0 発表(Ultra/Pro/Nanoの3種、マルチモーダルAI)
2024年02月 - - Gemini 1.5 公開(Proモデル、MoE採用、128K→100万トークン文脈)
2024年03月 - Claude 3 リリース(20万→100万トークン文脈、性能大幅向上) -
2024年05月 GPT-4o マルチモーダル対応(テキスト、画像、音声、動画)をネイティブに実現。高速かつ低コスト提供 - -
2024年06月 - Claude 3.5 提供開始(性能改善。UI操作エージェント機能「Computer Use」導入) -
2024年07月 GPT-4o mini GPT-4oの小型版。約8Bパラメータで、低コストかつ非常に高速な応答を実現。GPT-3.5 Turboを上回る性能 - -
2024年09月 o1‑preview 推論特化モデル。内部で長い思考チェーン(チェイン・オブ・ソート)を生成し、科学・数学問題で大幅性能向上 - -
2024年12月 o1 (正式版) o1‑previewの改良版。推論精度と信頼性がさらに向上
o3 / o3‑mini o1の後継。より深いチェイン推論を採用、o3-miniは小型で低コストながら専門的タスクに特化
- Gemini 2.0 一部公開(エージェント機能強化。ツール使用・画像生成・音声出力に対応)
2025年02月 GPT‑4.5 汎用性と信頼性をさらに強化。事実誤り(幻覚)の低減、対話や文章生成に最適化、最新ツール連携機能を搭載 Claude 3.7 リリース(思考深度と応答速度を切替可能なハイブリッドモデル) -

OpenAIが定義した5段階レベル:

それでは、現在のAIの状況がどうなっているのかAGI(人工汎用知能)をゴールとした場合のマイルストーンで見ていきましょう。このLevel分けはOpenAIが定義したものとなっています。昨年12月時点でLevel2のReasonerには到達していると言われています。

  • Level1: Conversational AI (会話型AI)
    • GPT-4.5、Claude 3.7 Sonnet、Gemini 2.0など
    • チャットボットといった会話型AIでインターネット上の知識をベースとしており知識量が膨大
    • 2022年11月に達成
  • Level2: Reasoners (人間レベルの問題解決能力)
    • GPT-o1, o3、Claude 3.7 Sonnet Thinking、Gemini 2.0 Flash Thinkingなど
    • 外部ツールを使用せずに、博士号レベルの教育を受けた人間と同等の問題解決能力を持つ。知識量だけではなく、推論能力も持ち得ている
    • 2024年12月に達成
  • Level3: Agent (自ら考えて行動)
    • Manus、Computer useなど
    • 人の代わりに行動する。数日間、タスクを処理することも
  • Level4: Innovator (未知の発明)
    • 自らイノベーションを生み出し、新しい概念を創造する。仮説検証をみずから行う
  • Level5: Organization (組織の業務遂行)
    • 人間による監視なしで、企業や政府のあらゆるタスクを自ら管理する。ルーチンワークから戦略的意思決定、プロセス最適化まで、すべてをAIが統括する


これまでの「会話型AI」から「Reasoner」レベルの推論能力を獲得しはじめた結果、複数ステップを自動でこなすAIエージェントが自然な流れで登場しました。特に2024年頃からは外部ツールの高度な活用長期的タスクの自律実行が実験的に行われています。

AIのIQの急速な向上

AIのIQも急速に向上しています。最新の状況を見ると、OpenAI o1 proとClaude 3.7 Sonnet ExtendedがIQ110となっていてトップを走っています。既に中央値であるIQ100を超えており、今後もどんどん賢くなっていくことが予想されます。

https://trackingai.org/IQ

AIエージェントの精度

それでは、AIエージェントに話しを戻します。

AIエージェントの精度がどのように測定されているか

AIエージェントと言われても、それがどこまでの精度なのか、実業務や私生活でどこまで活用できるのか中々判断しづらいです。そこで定量的にAIエージェントの精度を見るベンチマークがあります。ベンチーマークでは、主に以下の能力が測定されていると言われています。

  1. 計画と推論能力:複雑な目標を小さなステップに分解し、順序立てて実行できるか
  2. ツール活用能力:データベース検索やカレンダーなどの外部ツールを適切なタイミングで使えるか
  3. 長期記憶と文脈理解:長い対話や複数のステップにわたる情報を保持できるか
  4. 堅牢性と適応力:予期せぬ状況や指示の変更に対応できるか
  5. 人間らしい対話:社会的規範やポリシーを守りながら自然な対話ができるか
  6. マルチモーダル理解:テキスト以外の情報(画像やGUIなど)を理解・操作できるか
    これらの能力は、考えてみれば、実業務や私生活でAIが実用的に機能するために不可欠な要素ですね。

評価ベンチマークの種類と概要

それでは、具体的にどのようなベンチーマークがあるのか見ていきましょう。各社網羅的ではないですが、下記いずれかのベンチマークを使って精度をアピールしていることが多いです。新しいモデルやAIエージェントが発表された際は、ベンチマークの特徴を意識して見ていくと面白いですよ。

WebArena

ウェブサイトでの作業をAIが自力でこなせるかを測定します。オンラインショッピングや予約などの複数ステップのタスクを、実際のブラウザ環境をシミュレーションして評価します。フォーム入力やナビゲーションなどの基本的なウェブ操作の成功率が主な指標です。
https://webarena.dev/

ToolBench

AIがツールやAPIを適切に使えるかを評価します。16,000以上の実世界APIを使った課題があり、AIが正しいパラメータでAPI呼び出しを行えるか、APIの出力を理解して次のステップに活かせるかを測定します。

AgentBench

8つの異なる分野(OS操作、データベース検索、ウェブショッピングなど)でAIの能力を総合的に評価します。環境を理解し、それに応じた行動を取れるか、複数回の対話を通じて課題を解決できるかが測られます。

HELM

スタンフォード大学による基盤モデル評価の枠組みです。精度だけでなく、信頼性、堅牢性、公平性、有害性、効率性など7つの指標で多角的に評価しています。

EAI Bench

企業の実際の業務環境でのAIパフォーマンスを測定します。例えば、WorkBenchは会議のスケジュール調整やレポート分析など、実際の職場での業務を模倣したタスクを提供します。

GAIA(General AI Assistant benchmark)

Meta AIなどが開発した総合的なAIアシスタント評価ベンチマークです。人間には簡単だがAIには難しい466の多様な現実的タスクで構成されています。ウェブブラウジング、コード実行、推論などの幅広い能力を測定し、AIが一般的なアシスタントとしてどれだけ有用かを評価します。
https://arxiv.org/pdf/2311.12983

GAIAの結果

ManusサイトでもアピールされているGAIAを注目して見ましょう。ベンチマークでの主要AIエージェントのパフォーマンスは以下の通りです:

  • 人間(平均): 約92%
  • GPT-4(ツール/プラグイン付き): 約15%(複数ステップのツール使用で苦戦)
  • Hugging Face Autonomy Agent: 33%
  • Microsoft "OpenAI-oo" Agent: 38%
  • Google LangFuse Agent: 49%
  • H2O.ai h2oGPTe: 65%(2024年後半時点での最高水準)
  • Manus AI(Monica): 約86.5%(開発者の主張値、2025年初頭・現在ベータ版)

これらの数値は、タスクを正確に完了した割合を示しています。注目すべきは最新のAIでも人間のパフォーマンスには及ばないことです。一方で、Manusの登場などにより急速に進化していることもわかります。今後、このGAIAのベンチマーク結果が人間に限りなく近づいてくると、実業や私生活に耐えうるAIエージェントとなっていくと考えられます。

Manusで公開されているGAIAの結果

ギャップを埋めるためにどのような研究が進められているか

常識的推論の欠如

課題: 「丁寧なメールを書く」など、背景知識や暗黙の了解が必要なタスクでAIは苦戦します。
研究: GAIAのような「人間には簡単だがAIには難しい」タスクを中心とした評価基準の開発と、より大規模な事前学習による常識的知識の獲得が進められています。

長期記憶の問題

課題: 長い会話や複数ステップの作業で初期の指示や詳細を忘れがちです。
研究: 大規模なコンテキストウィンドウ(Claudeの100kトークンなど)や外部記憶システムの開発、記憶を効率的に管理する階層的なアーキテクチャの研究が進んでいます。

非構造化入力への対応

課題: 曖昧な指示や皮肉などの理解が苦手で、「行間を読む」能力に欠けます。
研究: より多様な実世界データでの訓練や、あいまいさを検出して明確化を求める機能の開発などが行われています。

判断力の不足

課題: 企業ポリシーと配慮のバランスなど、微妙な判断が必要な場面で失敗しがちです。
研究: τ-Benchなどコンプライアンスと判断力を評価するベンチマークの開発や、ポリシー遵守とユーザー要求のバランスを取る訓練方法の研究が進んでいます。

エラー回復の難しさ

課題: 人間は小さなミスにすぐ気づいて修正できますが、AIは自己修正能力に欠けています。
研究: 「思考の木」(Tree of Thoughts)のような計画手法や、強化学習を用いた自己修正能力の向上、エラー検出と回復のためのフィードバックループの構築などが研究されています。

今後の展望

ベンチマークの進化

単なる「成功率」だけでなく、対話の質、長期的な一貫性、人間との協働効率なども含めた総合的な評価方法が発展すると予想されます。より長期間(数日〜数週間)のタスク実行能力や、複数のドメインにまたがる課題への対応力を測るベンチマークも登場するでしょう。

技術発展の方向性

AIエージェントは以下の方向に進化すると考えられます:

  • より強固な記憶システムの実装
  • 複雑なタスクを階層的に分解する計画能力の向上
  • 外部ツールやAPIをより柔軟に活用する能力の強化
  • エラーの自己検出と修正能力の向上
  • 人間の意図理解と適切な対話能力の向上

人間とAIの協働モデル

一方で、完全な自律性を目指すよりも、当面は人間とAIの協働モデルが現実的という考え方もあります。例えば:

  • AIが下書きを作成し、人間が確認・編集する
  • AIが日常的な業務を自動化し、判断が必要な箇所で人間に介入を求める
  • AIが情報収集と分析を行い、人間が最終判断を下す
    このようなハイブリッドアプローチにより、AIエージェントの限界を補いながら生産性向上を実現できる可能性がありそうです。

AIエージェントの種類

それでは、現在どのようなAIエージェントが世に出回っているのか見ていきましょう。

カテゴライズ

直近でも非常に多くのAIエージェントが世に出回っており、中々カテゴライズが難しいものの理解を深めやすくするためにカテゴライズしました。

  1. 汎用AIエージェント
    1. 主に単一タスク向けAIエージェント
      ユーザーのリクエストに基づいて特定のタスク(主に調査や分析)を実行するAIエージェント
    2. 主に繰り返しタスク向けAIエージェント
      定期的なタスクやワークフローを自動化するAIエージェントで、コンピュータシステムやアプリケーションとの対話が中心
  2. 業界/タスク特化型AIエージェント
    特定の業界やプロフェッショナル領域向けに調整されたAIエージェント

1. 汎用AIエージェント

1.1. 主に単一タスク向けエージェント

ChatGPT (Deep Research)
  • 概要: 2025年3月に提供開始された機能で、詳細な調査質問に対して複数の情報源から情報を収集し、整理されたレポートを作成します
  • 特徴: 複数ソースからの検索、大量情報の要約、ソース引用の試み
  • 料金: ChatGPT Plus(月額$20)で利用可能、週10クエリまたは月10クエリの制限あり。Pro版は月額$200で月120リクエストまで対応
    https://chatgpt.com/
Gemini (Deep Research)
  • 概要: Googleの提供するAIで、2025年に大幅なアップグレードが行われました
  • 特徴: 2025年3月から全ユーザーに無料提供、2.0 Flash Thinking Experimentalモデルで強化され、より優れた推論、分析、レポート作成が可能
  • 料金: 無料
    https://gemini.google.com/
Perplexity (Deep Research)
  • 概要: リアルタイムのウェブデータ取得に特化し、多様なソースから情報を要約して、ソース引用付きの検証済み回答を提供
  • 特徴: わずか2-4分という短時間で広範な検索、複数ソースの評価、情報の統合を自律的に実行
  • 料金: フリーミアムモデル(ログインユーザーに1日5クエリ無料)、Pro版はクエリ制限なしで1日500クエリまで可能
    https://www.perplexity.ai/
GenSpark
  • 概要: 専門AIエージェントが調査を行い、Sparkpagesと呼ばれるカスタマイズされたウェブページを生成するAIエージェンエンジン
  • 特徴: バイアスやSEO主導のコンテンツのない、公平で高度にパーソナライズされた検索結果を提供
  • 料金: 無料
    https://www.genspark.ai/
Grok (DeepSearch/DeeperResearch)
  • 概要: xAI社開発のGrok AIは2025年3月にDeepSearch機能を導入
  • 特徴: 膨大な知識から真実を探求し包括的な調査レポートを生成、「プリセット」機能で検索結果を絞り込み、X(旧Twitter)からリアルタイム情報の取得、画像生成、ドキュメント処理など多機能
  • 料金: 当初はXプラットフォームのサブスクリプションに紐づけられている
    https://grok.com/

1.2. 主に繰り返しタスク向けエージェント

ChatGPT (Operator)
  • 概要: Operator、Tasks、AgentSDKのComputer use機能を通じて、コンピュータ作業の自動化を提供
  • 特徴: ウェブブラウザとの自律的な対話で検索、旅行予約、食料品注文などを実行。Microsoft 365、Slack、Google Workspaceなどとの統合も可能
  • 料金: OperatorはChatGPT PlusとProユーザーに提供、Tasksは段階的にPlus、Pro、Teamユーザーに展開
    https://operator.chatgpt.com/
Anthropic (Computer use)
  • 概要: コンピュータシステムと外部ツールとの対話を可能にする「Computer use」機能とModel Context Protocol (MCP)を開発
  • 特徴: AIがSlack、GitHub、PostgreSQL、Cloudflareなどと連携。Claudeが人間のようにコンピュータと対話(画面表示、カーソル操作、クリック、タイピング)
  • 料金: 不明(情報なし)
    https://docs.anthropic.com/en/docs/agents-and-tools/computer-use
Opera (Browser Operator)
  • 概要: Opera ブラウザに搭載された、自然言語指示に基づいてブラウジングタスクを実行するネイティブAIエージェント
  • 特徴: フライト予約やウェブ検索などをプレーンな言語指示で実行。クライアントサイドでの処理を重視し、プライバシー保護とパフォーマンス向上を実現
  • 料金: 2025年3月にプレビュー、近い将来に完全リリース予定
Google Project Mariner
  • 概要: Chrome統合型AIエージェントで、Gemini 2.0の能力を活用したマルチステップタスク自動化
  • 特徴: 画面上の全ての要素(テキスト、コード、画像、フォーム)を理解し、音声指示にも対応。リアルタイムでの複雑なウェブサイトナビゲーションと操作
  • 料金: 2025年3月時点では少数の信頼されたテスターグループのみ使用可能
Manus
  • 概要: Monica社が2025年3月6日に発表した、完全自律型の汎用AIエージェント
  • 特徴: レポート作成、データ分析、コンテンツ生成、ウェブサイト作成など多領域に対応。完全自律性、マルチドメイン専門知識、リアルタイムクラウド操作、マルチモーダル機能、高度なツール統合を実現。特に、複数エージェントの協業が秀逸で、例えば、会話にはClaude、計算には専用モデルといった使い分けが行われ、効率と精度を高めています
  • 料金: 2025年3月時点では招待コードが必要な限定ベータ版として提供
    https://manus.im/

2. 業界/タスク特化型AIエージェント

2.1 ソフトウェア開発エージェント

Cursor AI
  • 概要: 開発者の生産性向上のためのAI搭載統合開発環境(IDE)
  • 特徴: プロジェクト全体のコンテキスト理解、IDE内統合AIチャット、予測カーソル配置とコード提案、マルチファイル編集、自然言語からの関数生成
  • 料金: 無料トライアル提供、有料プランは月額$25から
Roo Code
  • 概要: 完全無料の自律型AIコーディングエージェント
  • 特徴: コードアクション、コードバージョン保存用チェックポイント、カスタムファイルモード、インテリジェントなタスク処理、設定可能なAI動作、温度制御機能を提供
  • 料金: 完全無料
Cline
  • 概要: IDEに直接統合される自律型コーディングエージェント
  • 特徴: ファイルの作成・編集、コマンド実行、ブラウザ利用、デュアルモード実行、MCP統合、各種LLMサポート、テスト実行・分析、Git操作、ドキュメント更新
  • 料金: LLMに接続するためのAPIキーが必要
Claude Code
  • 概要: Anthropic開発のターミナルベースAIコーディングアシスタント
  • 特徴: MCPとの統合、コードベース検索、ドキュメント読み取り、ファイル編集、新コード作成、テスト実行、GitHubへのコミット
  • 料金: LLM(おそらくClaude-Sonnetシリーズ)に接続するAPIキーが必要
Devin
  • 概要: 独立してコードの作成、テスト、デバッグが可能な自律型AI開発者
  • 特徴: 経験からの継続的学習、ウェブからのドキュメント検索、NotionやJiraとの統合
  • 料金: 月額$500から
    https://devin.ai/
Replit Agent
  • 概要: Replit開発プラットフォームに統合されたAIエージェント
  • 特徴: UIの構築・編集、プロジェクトブループリント設定をサポート。JavaScriptスタック向けのビジュアルエディタとエージェントタイムラインメッセージを導入
  • 料金: Replitの各種サブスクリプション階層で提供
    https://replit.com/ai

2.2 AIエージェント開発プラットフォーム

Dify
  • 概要: 2025年3月に導入された、ワークフロー内でLLMが自律的な決定とタスク処理を行う機能
  • 特徴: カスタマイズ可能な「エージェント戦略」プラグインロジックモジュールを通じてLLMの思考とツール使用を指示
  • 料金: 月$59~
    https://dify.ai/jp
Oracle AI Agent Studio
  • 概要: 2025年3月に導入されたFusion Applications向け包括的AIエージェント作成・管理プラットフォーム
  • 特徴: エージェントテンプレートライブラリ、チームオーケストレーション、拡張機能、LLM選択、Fusion統合、サードパーティシステム統合、セキュリティフレームワーク
  • 料金: 不明(情報なし)
Mind Studio
  • 概要: コーディング不要でAIエージェントの構築・実行が可能なプラットフォーム
  • 特徴: Chrome拡張機能でどのウェブページでもAIエージェントの利用が可能、AIエージェントストアの閲覧、既存エージェントのコピーとカスタマイズ
  • 料金: 不明(情報なし)

2.3 マーケティングAIエージェント

Adobe Experience Platform Agent Orchestrator
  • 概要: 2025年3月にAdobeが導入した、セールスとマーケティングチーム向け10種類のAIエージェント搭載システム
  • 特徴: 顧客体験、販売、マーケティングライフサイクル全体の各種タスクをサポート
  • 料金: 不明(情報なし)
Adobe Marketing Agent for Microsoft 365 Copilot
  • 概要: Microsoft 365 Copilot内でキャンペーンパフォーマンスレポートや資産を直接作成できるエージェント
  • 特徴: PowerPointやWordなどのMicrosoftアプリケーション内での作業に対応
  • 料金: 不明(情報なし)
Brand Concierge
  • 概要: Agent Orchestrator上に構築された、消費者を購買プロセスに誘導するエージェンティックアプリケーション
  • 特徴: テキスト、音声、画像を通じた誘導とAIパワード推奨機能
  • 料金: 不明(情報なし)

AIエージェント時代に求められるスキルや考え方

これからAIエージェントの活用が求められてくる状況の中で、我々はどのようなスキルや考え方を持っておくべきでしょうか。この辺を最後に見ていきたいと思います。

求められるスキルと具体的なアクション

1. AIリテラシー:AIの基本を理解する

今すぐできるアクション:

  • 週に1回、30分だけでもAIツール(ChatGPT、Microsoft Copilotなど)を実際に使ってみる
  • SNSで、AI有識者をフォローしてみる
  • 社内や業界のAI活用事例を調べてみる

2. 効果的な指示出し:AIに上手に仕事を任せる

今すぐできるアクション:

  • 日常業務の中で「この作業をAIに任せるなら、どう説明すれば良いか」を考える習慣をつける
  • 同じ質問でも、指示の出し方を変えて結果がどう変わるか実験してみる
  • 自分の業務で最も時間がかかる作業を1つ選び、AIに任せる方法を考えてみる

3. 批判的思考:AIの提案を評価できる力

今すぐできるアクション:

  • AIが出した回答に「なぜ?」「本当に?」と疑問を投げかける習慣をつける
  • AIの回答と他の情報源(専門家の意見、書籍など)を比較してみる
  • AIが出した提案の「限界」や「前提条件」を常に考える習慣をつける

4. 人間らしい創造性と共感力

今すぐできるアクション:

  • 定期的にブレインストーミングの時間を設け、AIの助けを借りつつも自分のアイデアを生み出す
  • 同僚や顧客との対話に集中する時間を意識的に増やす
  • 「この状況で相手はどう感じるだろう」と考える習慣をつける

大切な心構え

1. 学び続ける姿勢

今すぐできるアクション:

  • 上記「#1 AIリテラシー:AIの基本を理解する」と同じ

2. AIをパートナーとして考える

今すぐできるアクション:

  • 「AIに仕事を奪われる」ではなく「AIと一緒にどう働くか」という視点でチームと話し合う
  • 自分の業務の「AIに任せたい部分」と「自分が集中したい部分」を明確にリストアップする
  • チーム内でAI活用のベストプラクティスを共有する仕組みを作る

3. 倫理的な視点を持つ

今すぐできるアクション:

  • AIを使う際に「このデータを使って良いのか」「誰かを傷つけないか」を常に考える
  • 社内でAI利用のガイドラインがあれば確認し、なければ作成を提案する
  • プライバシーやセキュリティに関する基本知識を学ぶ

4. 変化に強くなる

今すぐできるアクション:

  • 日々の業務で「これが変わったらどうしよう」と不安に思うことをリストアップし、対応策を考えておく
  • 変化を前向きに捉える習慣(「これで何が良くなるか」を考える)を意識的に培う
  • 新しいスキルを1つずつ身につける計画を立てる
    大切なのは、AIを「脅威」ではなく「可能性を広げるツール」として捉えること。AIが得意な反復作業や情報整理をAIに任せることで、あなたはより創造的な思考や人間関係の構築、重要な意思決定など、人間にしかできない価値ある仕事に集中できるようになります。

おわりに

AIエージェントの台頭は、我々にとって“恐怖”ではなく“新たな可能性”を広げる大きな転機です。自律的なタスク実行や高度な推論能力をAIが担ってくれることで、エンジニアはよりクリエイティブな領域に専念できるようになります。
まずは小さなPoCやツールの導入から始め、実運用に耐えうるかどうかを試すのがおすすめです。この記事が皆さんの「AIエージェント時代」に向けた取り組みのヒントになれば幸いです。

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Accenture Japan (有志)

Discussion

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