Salesforceの権限管理:データアクセス制御の基本
先日からSalesforceについて勉強し始めました。勉強する中で、よく出てきて重要そうな権限管理についてまとめてみました。
Salesforceのセキュリティの概要
Salesforceは、企業が顧客関係管理(CRM)を効率的に行うための強力なツールです。しかし、顧客データや営業情報などの機密情報を扱うため、適切なデータアクセス制御が不可欠です。
データアクセス制御は、セキュリティの確保、コンプライアンスの遵守、業務効率の向上に寄与します。
Salesforceの権限設定の種類
Salesforceでは、データアクセス制御のために以下の権限設定が使用されます。
- 組織の共有設定(OWD: Organization-Wide Defaults)
 - ロール階層
 - 共有ルール
 - 手動共有設定
 
1.組織の共有設定(OWD: Organization-Wide Defaults)
組織の共有設定(OWD)は、Salesforceのオブジェクトに対する基本的なアクセス権限を定義します。これにより、レコードアクセスのベースラインが設定され、すべてのユーザーに対するデータアクセスの基本的なルールが決まります。
設定項目とアクセスレベル
- 公開/参照のみ: 全ユーザーが参照可能
 - 公開/参照・更新可能: 全ユーザーが参照・更新可能
 - 非公開: 所有者と上位ロールのみ参照可能
 
組織の共有設定は、内部ユーザーと外部ユーザーに異なるアクセスレベルを設定することができます。また、階層ごとに異なるアクセスレベルを設定することも可能です。これにより、組織内のデータアクセスを柔軟に管理することができます。
組織の共有設定の例
例えば、取引先オブジェクトの共有設定を「非公開」に設定することで、取引先のデータを所有者とその上位ロールのユーザーのみがアクセスできるようにすることができます。これにより、機密情報の漏洩を防ぎ、適切なアクセス権限を管理することができます。
2.ロール階層
ロール階層は、組織の階層構造に基づいてデータへのアクセスを制御します。上位ロールは下位ロールのデータにアクセス可能であり、各ユーザーには1つのロールが割り当てられます。
ロール階層を使用することで、上位ロールのユーザーは下位ロールのユーザーが所有するデータにアクセスすることができます。これにより、組織内のデータアクセスが効率的に管理されます。
ロール階層は、プロファイルとは独立した権限設定であり、レコードレベルのアクセス制御を担当します。上位ロールは下位ロールが所有するすべてのレコードにアクセス可能です。
ロール階層の例
例えば、営業マネージャーが営業担当者の商談データにアクセスできるようにするために、営業マネージャーを営業担当者の上位ロールに設定します。これにより、営業マネージャーは営業担当者の商談データを閲覧および管理することができます。
3.共有ルール
共有ルールは、条件に基づくアクセス権の自動付与を行います。組織の共有設定に自動的な例外を設定する仕組みです。
共有ルールの種類
- 所有者に基づく共有ルール: 特定の所有者(ユーザー、ロール、公開グループ)のレコードを共有
 - 条件に基づく共有ルール: レコードの項目値に基づいて条件を設定し共有
 
各オブジェクトに最大300件の共有ルールを定義可能(条件に基づく共有ルールは最大50件)。共有ルールは、組織の共有設定が「非公開」の場合に特に重要な役割を果たします。
共有ルールの例
例えば、特定の地域の商談を営業チーム全体で共有するために、商談オブジェクトに条件に基づく共有ルールを設定し、地域フィールドの値に基づいて商談を共有します。これにより、特定の地域の商談が営業チーム全体で効率的に管理されます。
4.手動共有設定
手動共有は、個別レコードの柔軟な共有を行います。特定のレコードを特定のユーザーやグループと共有する機能です。
手動共有設定の主な特徴
- 「共有」ボタンの利用: ページレイアウト上の「共有」ボタンから設定可能
 - 共有先の柔軟な選択: 特定のユーザー、公開グループ、ロールと共有可能
 - 例外的なアクセス権付与: 他の共有設定ではカバーできない個別のケースに対応
 
手動共有は、他の共有設定を補完する最も柔軟な共有方法です。組織の共有設定や共有ルールではカバーできない個別のアクセス権付与の手段として重要です。
手動共有設定の例
例えば、特定のプロジェクトに関連する取引先データをプロジェクトチームのメンバーと共有するために、取引先レコードの「共有」ボタンを使用して手動で共有します。これにより、プロジェクトチームのメンバーが必要なデータにアクセスできるようになります。
権限管理のまとめ
Salesforceの権限設定は、データアクセス制御の基盤となる重要な要素です。組織の共有設定(OWD)は、全ユーザーに対する基本的なアクセス権限を定義し、ロール階層は組織の階層構造に基づいてデータへのアクセスを制御します。共有ルールは条件に基づくアクセス権の自動付与を行い、手動共有設定は個別レコードの柔軟な共有を可能にします。
| 権限設定 | 定義 | 役割 | 具体的な例 | 対象者 | 
|---|---|---|---|---|
| 組織の共有設定 (OWD) | 基本的なアクセス権限を定義 | レコードアクセスのベースライン | 取引先オブジェクトの共有設定を「非公開」に設定 | 全ユーザー | 
| ロール階層 | 組織の階層構造に基づくアクセス制御 | 上位ロールは下位ロールのデータにアクセス可能 | 営業マネージャーが営業担当者の商談データにアクセス | 上位ロールのユーザー | 
| 共有ルール | 条件に基づくアクセス権の自動付与 | 組織の共有設定に自動的な例外を設定 | 地域フィールドの値に基づいて商談を共有 | 特定の条件を満たすユーザー | 
| 手動共有 | 個別レコードの柔軟な共有 | 特定のレコードを特定のユーザーやグループと共有 | 取引先レコードをプロジェクトチームのメンバーと共有 | 特定のユーザーやグループ | 
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