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外部組織が提供するクラウドや生成AIの座学トレーニングにコストをかけても成果は疑問 オンライン教材を活用しよう

2025/02/15に公開

アクセンチュア株式会社テクノロジーコンサルティング本部金融サービスグループ アソシエイト・ディレクターの青柳雅之です。私は金融サービスグループのクラウドに関するプラクティスのリードとして、クラウド人材の育成にも関わっています。

私は外部組織が提供するクラウドや生成AIの座学トレーニングのコストに興味があります。この高額の座学トレーニングは本当にこれだけのコストをかけて効果はあるのだろうかと思ってしまうのです。
一方で、実際には教育コンテンツの開発にはコスト、つまり人工がかかってしまうというのはあります。

なぜ教育コンテンツ開発にコストがかかるのか。

教育を提供する組織があえて高く売っているのではなく、教育を実施するにもそれなりのコストがかかっています。

・単純にパワーポイントの作成枚数が多い。
・座学トレーニングの回数が多ければそれだけ講師が動くの工数がかかる。
・教育コンテンツの動画を取る場合は、資料修正や言い間違いに従う撮り直しが多い。
・一度作れば使いまわしが効き、使いまわす回数が多ければ座学1回あたりの教育コンテンツ作成コストは低減していく。しかし、それが見えないのでそれなりの一定の価格でクライアントに提供を行う。

座学トレーニングの成果は0とは言いませんが、かけるコストが巨額であるほど、それに見合った効果を出すのが難しくなります。

どのように教育のコストを下げるのか

システム開発の成果物にフォーカスする

教育を行う目的は、自分たちが内製化によってシステムを開発できるようにすることです。そこから逆算しましょう。何が必要でしょうか。例えば次のようなものでしょう。

・設計のガイドラインや設計書などの成果物テンプレート
・すでにベストプラクティスベースで要件定義リストがあり組織に合わせてカスタマイズすればよい状況。設計書もクラウドの各サービスで用意する。
・生成AI活用のためのプログラミングの知識
・コーディングのパターンがあればよい。

1つのシステムを作り上げるのに必要なこれらの成果物を用意し、実際に何かを作ることで最短で必要な知識が得られると思います。人によって、どこが分からないかはバラバラです。自習が出来る人もいます。それらの事情を無視して大量の教育コンテンツを使った座学を全員に行うのは極めてコスト効率が悪いと思います。

どこにコストをかけるか、外部に何を作ってもらうか、と言えば、上記のテンプレートとガイドラインでしょう。これらを理解するための教材で最小限の物を作ってもらい、技術を理解するためには次の節で説明するオンライン教材を活用します。

オンライン教材を最大限活用する

例えば、AWSだとSkill Builder、Google CloudであればGoogle Cloud Skills Boostといったオンラインの教育リソースがあります。これらはあらかじめ幅広い人数に対してグローバルで提供をすることを考えており、コスト自体は非常に安価です。ハンズオンラボもあります。教育を考える側(つまり、あなたの組織)は、こういったオンライン教材の中でどれを社員に実施させるべきかを考え、その実施結果をトラッキングすることです。

上記のオンラインリソースをアクセンチュアの私のプラクティスでも活用しています。独自の教材は作っていません。例えば、いくつかのプロジェクトで作成した作成物を汎用化して教材にすることはありますが、教材を作る観点でかかる工数は汎用化するところだけです。
オンラインリソースの中ではハンズオンを多用していますが、誰がどこまでやってるかを管理するリーダーを置いています。これはコストですが、座学を皆に展開するよりもはるかに低いコストです。

教育を受ける側の意識を変える

教育コンテンツの作成を外部に依頼する場合にこだわりがあるとそのコストが大きくなります。ありもので間に合わす、と言う考えが重要です。
・自社にテーラーメードな、例えば自社のシステム構成も含んだ教材にしてほしい。
・教材の見た目もこだわりがある。
・大人数に対して外部講師が座学を行う。

しかし、上記のオンラインリソースを展開しっぱなしにして社員の自己学習に任せて何もしない組織は多いです。これだと成果は何も出ません。少なくとも目標の受講率を決め、それをトラッキングし、受講していない人に受講を促すことが必要です。

まとめ

新しい技術が出てくると、すぐにお金をかけて外部に委託して教育しよう!という考えになりがちですが、今一歩立ち止まって、なるべく安くできないかを考えるべきでしょう。

Accenture Japan (有志)

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