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生成AI×メモの重要性から、出社回帰の風潮を眺める

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この記事は「リモート vs 出社」の二元論で是非を語るものではありません。
伝えたいポイントは生成AI時代こそ、人間が“メモを取る”意味は爆発的に高まっている、という事実です。
ここから一部界隈でニュースにもなりホットな出社回帰も、1つの合理性が生まれるものと考えています。


🎯 本記事のお伝えポイント

  1. 生成AIは「感情のコンテキスト」を読めない。
  2. メモ を残せば、その欠落を補完できる。
  3. SECIモデル を介せば、メモ×AI で知識創造サイクルが“爆速”化する。
  4. 出社回帰 は、“メモが自然発火する場”を再構築する合理的ムーブと捉えられる。

1. なぜ AI では埋まらない “感情のコンテキスト”?

生成AIがどれほど高性能でも埋められないものが、
──それは なぜ、その情報が“あなたにとって”大切だったのかという感情です。

  • その場限りの思い付き
  • 話の流れから感じる違和感
  • ふと浮かんだ「なぜ?」という問い

これらは数値やテキストに落とし込めない、極めて人間的な揺らぎです。
メモ は、その揺らぎを 外部記憶 として固定し、後の AI 解析に耐える“座標”を与えてくれます。


2. 「知」が形になるプロセスの深堀

メモを残すだけでは、まだ知識の種の状態です。
そこから「知」として如何に育てていくのか。
この問いに対する一つの理論的な解が、1990年代に日本の経営学者・野中郁次郎氏らが提唱したSECIモデルです。

(注)ChatGPT調べ
1990 年代、日本の経営学者 野中郁次郎氏らは、
経験や直感で形成された 暗黙知 と、ドキュメントや図表として共有される 形式知螺旋状に循環 しながら組織の知を創造する――というフレームを提唱しました。
これが SECIモデルと呼びます。「日本発の知識創造理論」です。

このフレームワークを基に、メモを取るという行為にAIが介在することで違いが生まれてきます。


3. SECIモデル × メモ × 生成AI ―― “爆速スパイラル”の実装図

SECIモデルに落とし込んだ際、生成AIが介在しない場合/する場合の違いを構造化します。

フェーズ 人がやること(AIなし) AI が加速する具体タスク どこが速く/深くなるか
S Socialization(共同化) ・会話中に気になった発言をメモ帳に走り書き
・記憶に頼って後でまとめるが、忘れたり曖昧になる
1. 音声ストリームをリアルタイム文字起こし(Whisper 等)
2. 感情トーン解析 → “熱を帯びた話題”をハイライト
🔹メモ漏れゼロ化
🔹議論のツボを瞬時に抽出
E Externalization(表出化) ・違和感や仮説をなんとなく言葉にする
・一文だけメモして満足し、構造化は後回し
1. “Why?” の再帰質問を自動生成 → 思考を深掘り
2. メモを構造化マークアップへ変換(Key/Issue/Idea など)
🔹言語化の粒度が均一化
🔹暗黙知→形式知の損失を最小化
C Combination(連結化) ・過去のノートを検索して類似テーマを手作業で発掘
・知識の結びつきは記憶頼み
1. ベクトル検索で類似ノート推薦
2. 関係性を自動グラフ化(ノード=概念、エッジ=関連)
3. 最新リサーチ/社内ナレッジを API 経由で補完
🔹リサーチ⇒瞬時統合🔹“偶然の重ね合わせ”が指数的に増える
I Internalization(内面化) ・週末に KPT や振り返りメモを書く
・来週に活かす問いを考えるのに時間がかかる
1. KPI や感情ログを可視化(ダッシュボード化)
2. リマインダー/習慣化コーチング(GPT アシスタント)
3. 反省メモ→次サイクルの問い抽出してレトロスペクティブの効率化
🔹学びの定着率向上
🔹ループ周期が短縮

ポイント
メモ暗黙知→形式知 のインプットに、
生成AI形式知→再統合 を爆速にする。


4. 出社回帰は “メモが生まれる機会” を再構築する

ここまで見てきたように、メモとは感情の揺らぎや“問い”をすくい取る行為です。
そして、それをAIと組み合わせることで、知識創造が加速されていきます。
では、その“問い”が最も自然に生まれるのはどこか?――その答えの一つが、出社による“場”の共有です。

✨ 暗黙知は「空気」を含む

  • Zoom では拾えない、人の動きや小話、周りの議論・視線の流れ。
  • 微細な非言語情報が、「あれ?」という違和感や“問い”を呼び起こす

✨ 出社は「火種の着火装置」

  • 雑談が “なぜ?” の気づきを生み、メモという 火種 を作ります。
  • 生成AI × メモのサイクルが起動し、知識創造がスパイラルアップ。

結論:出社回帰はノスタルジーではなく、知識創造の合理的インフラ再構築 と捉えると知識構築論から合理性を導き出せます。


5. いますぐ試せる 3 ステップ

  1. 対面で気づいた“もやもや”を 60 秒以内にメモ
    • お手元にモバイルアプリを常備。「消える前に掴む」ためにすぐメモ取り。
  2. 帰宅後、メモを AI に“問い”ごと渡す
    • 「背景を整理して」「5つの Why で深掘りして」とプロンプトを打ち込む。
  3. 週次で SECI を回す“ふりかえり会”を設計
    • 生成AIがサマリを提示→チームで議論→暗黙知を再出力する。

6. まとめ ── “メモ×AI×出社” で作る新しい知

  • メモ:揺らぎと感情を外部化する、唯一無二の感情が入った知識の種にする。
  • 生成AI:種を高速に芽吹かせ、拡張する触媒にする。
  • 対面での場(出社):種が勝手に蒔かれる、偶発性を生む土壌となる。

といった構造を考えると、場として位置づけ作るのは重要と捉えられます。
対面での場を作る設計は、組織としての知の創造に欠かせないものでありますね。

Accenture Japan (有志)

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