Clineっておいしいの?おいしいです!
プログラミング補助からAIエージェントへの進化
これまでのプログラミングにおけるAI活用といえば、「GitHub Copilot」や「Cursor」が代表的な存在でした。これらのツールは、入力中のコードや指示をもとにAIがコード片を提案する、あるいは要件を満たす小規模なプログラムを自動生成するなど、“補助”としての役割を担ってきました。最終的に候補を採用するか、どのように修正するかは開発者が判断する必要があり、あくまでAIは「効率化の手段」という位置づけにとどまっていたといえます。
一方で、近年話題になっているのが「Cline」のようなAIエージェント型のツールです。従来の“補助ツール”を超えて、AIがプログラムの作成からエラー修正、動作確認までを主体的に実行する仕組みを備えています。つまり、人間がコードの候補をチェックするプロセスを大幅に減らし、より自律的に開発工程を進められる可能性があるのが、このAIエージェントというコンセプトの特徴です。
Clineとは何か
ClineはVisual Studio Code(以下、VS Code)の拡張機能として提供されているAIエージェントです。VS CodeはMicrosoft製の統合開発環境であり、導入障壁の低さで多くの開発者に支持されています。Clineを導入することで、これまでの「プログラム補助」という枠を超え、AIエージェントがコードを積極的に書き・修正し・動作チェックを行う新しいワークフローを手に入れることができます。
選択可能なLLMと、運用上の注意点
Clineでは使用する大規模言語モデル(LLM)を選択できます。プログラミングに強いとされる「Claude 3.5 Sonnet」を利用できるほか、複数のLLMに対して単一のAPIでアクセスできる「OpenRouter」にも対応しています。OpenRouter経由で複数のLLMを切り替えながら使える点は、大きな柔軟性をもたらしますね。
また、「DeepSeek-V3」というモデルを利用することも可能です。Claude 3.5 Sonnetと同等のプログラミング精度を持ちながら、コストが約1/10に抑えられるという大きなメリットがあります。ただし、学習データとして利用される可能性があるため、個人情報や機密情報を取り扱う場合には細心の注意が必要です。
AIエージェントの可能性と導入のポイント
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自動化の広がり
従来のプログラミング補助ツールは、AIが開発者にコードのヒントを与える役割が中心でした。ClineのようなAIエージェントは、コード生成から修正、動作検証までの開発フローを一貫してカバーできる点が特徴です。 -
VS Code拡張機能
VS Codeの拡張機能として提供されているため、導入障壁が低く、気軽に試せるのがメリットです。 -
複数LLMの活用
OpenRouterを経由することで、複数のLLMを必要に応じて選択できます。開発内容やコストに合わせてモデルを切り替えるなど、柔軟な運用が期待できます。 -
リスクと管理体制
AIがコードを自動生成・修正する過程では、機密情報が外部に流出するリスクや、誤って学習データに含まれてしまうリスクがあります。プロジェクト要件や利用規約を十分に確認し、適切な管理体制のもとで運用する必要があります。
Clineの導入方法
VS Code
下記、Microsoftのページからダウンロードできます。
Cline
VS Codeのアイコン「Extensions」をクリックして検索ボックスで「Cline」と入力して検索します。
一番上の、「Cline (prev. Claude Dev)」の「Install」をクリックするとClineがインストールできます。
すると、VS CodeのActivity BarにClineが追加されます。
初期設定
LLMの選択とAPI Keyの設定をします。ここでは、OpenRouterのAPI Keyを設定しました。
OpenRouterは下記からアカウントを作ってAPI Keyを発行できます。従量課金です。
API Keyを設定して「Let's go」をクリックすると下記画面となり、初期設定完了です。
Clineを使ってみる
作りたいアプリをリクエストしてみましょう。
ティッカーシンボルACNの株価の日足チャートをリアルタイムに表示するWebページを作って。
このような形で、開発者に確認しながらガシガシプログラミングしてくれます。(確認不要とするオプションもあります。「Auto-approve」をOnにします。)
実際に構築された画面はこちらとなります。サイズを要修正ですが、いいかんじに作ってくれましたね!
まとめ
「GitHub Copilot」や「Cursor」を代表とするこれまでのコード補助ツールは、あくまでも“候補の提示”が中心でした。ClineのようなAIエージェントは、そこからさらに踏み込み、コードを書き・修正し・動作まで確認する自律的な開発スタイルを実現します。今後、このようなAIエージェント型ツールが普及すれば、ソフトウェア開発の効率は飛躍的に高まると考えられます。
一方で、利便性が高まるほどセキュリティやプライバシーのリスクも無視できません。機密情報や個人情報を扱う場面では、運用時に十分な体制を整えたうえで導入を検討する必要があります。これからのプログラミングは、AIをどのように使いこなすかが、開発者の価値を大きく左右していくと言えるでしょう。
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