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AI新製品は「著作権無視」が戦略になりつつある。GeminiとSoraに見る、AIの大航海時代

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注意:これは所属企業の見解とは全く関係のない、一個人の意見です。

AI企業、初手で著作権無視しすぎじゃね?

昨日アップデートがあった、GoogleのGeminiに搭載された画像生成AIモデルのnano banana。
驚くべきことに、アップデートした途端の2025年11月21日現在では、著作権や肖像権を完全に無視した画像を生成できるようになってしまっています。

例えばこちら、名前は伏せますが、某超有名アニメキャラクターと、某米国大統領の生成画像です。あまりに露骨なのでめっちゃモザイクかけてますが。

MAKE MAGIC GREAT AGAIN.

著作権侵害は、もはやAI界隈の新たなマーケティング戦略なのでは?

初手で著作権侵害をすると、「あのキャラが生成できる!楽しい!」となります。
するとどうなるか?

話題になる→SNSなどで拡散される→初期のユーザー数を一気に伸ばせる

という大きな流れを生み出せます。初期ユーザー数はサービスの生死に直結する大問題。その一手としてやっているのでしょう。

実は、10月に出たSora2(動画生成AI)でも使われていた戦略でして。
日本の有名なキャラクターを簡単に生成できることが、話題にも問題にもなりました。
実際に、初期に取っていた記録がこちらです。


左のみ版権キャラではない、その他は見たらなんとなく分かる?

そして、この戦略には、やばそうなタイミングでクリーンな環境に変更して逃げ切るという出口があります。

Sora2も、初日は話題をかっさらってから、問題が紛糾した2日目で「はい、版権モノ出せない調整しました。これでいいでしょ?」という動きをしてます。
(この動きは事前に2つの版、「版権モノを出せる版」「出せない版」を作っていないと絶対できないので、意図的な動きだったことが透けて見えます。)

実はこの戦略って過去からあった

皆が知ってるサービスでいうと、YouTubeでしょうか。

今でこそ「うちはクリーンで、著作権侵害は許しませんよ」みたいな顔をしてますが、過去には大量の違法アップロード動画が存在しました。アニメとか、映画とか。いわゆる海賊版ですね。

それに惹きつけられてユーザー数を伸ばし、十分にプラットフォームとして成り立つようになった段階で、「うちはクリーンなんです」という顔をして、著作権を正式に認めたもの以外は一掃したという過去があります。

典型的な、「ルールを破ってでも初期はユーザーを増やす」「いけるタイミングになったらクリーンにして逃げ切る」という動きですね。

ただし、今回はGoogleという巨人がやってしまった

Sora2はOpenAI社です。新興のAI企業で、ここ数年の存在感は別格です。
しかし逆に言うと、OpenAI社はまだまだ「新参者」「チャレンジャー」であり、別の脅威にいつ潰されるか分からないという立ち位置でもあります。
であるからこそ、あえてリスクを取る戦略もありうるのです。
(やっていいかっていうとダメだろと思いますけどね)

YouTubeも今やGoogle傘下ですが、当時はインターネット界隈の新参者でした。
こちらも、新参者がリスクを取ってでもサービスを軌道に乗せる、という構図でしょう。

それに対して、今回はGoogleがやった。
Google(Alphabet社)は、30年近くインターネット業界を牽引してきた巨大企業で、世界トップクラスの資本を持ち、インフラレベルで全世界のあらゆる層にその存在が浸透しています。
その巨人は、別にこんな戦略を取らなくても、普通にサービスをリリースして動けますし、仮にAIサービスが失敗しても全然死なないくらいの企業体力があります。

しかし、今回はその巨人が著作権無視に踏み切っている。これはどういうことか?
「Google様がやったんだ、この戦略やっていいんだ、俺たちも続こう!」
こうなるの、目に見えてませんかね?

明確に違法だけど、ルールだけでは守れない時代に来ている

著作権無視は明確なルール違反です。どんなにサービス利用規約だのを主張しても、明確にその上位概念の法律として違法です。

しかし、日本と海外で、ルールに対する捉え方に決定的な違いがあります。

  • 日本:ルールは守ろう。思考終わり。
  • 海外:ルール違反のペナルティより、ルールを破ってでも得られるメリットの方が大きいか?

今後、Googleほどの大企業がこの方向に舵を切ったことで、どんどん「ルールを破ってでも得られるメリット」を追求する企業が増えるでしょう。

今後は様々な立場で、ルールを明記することと、そのルールをいかにして守らせるか、そのルールを逸脱する戦略はありか、など、今まで以上に権利や義務や違反や利益がグチャグチャと入り乱れる時代に突入していくのでしょう。

まさにAI大航海時代。弱肉強食の原理が、もう我々の手元の端末まで来てしまいました。
生き残れるよう、我々も牙を研ぎ澄ましていきましょう。

Accenture Japan (有志)

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